そんなこと考えてたの〜?!
昨日、サキちゃんに、嫌われてしまったと、彼女の言葉を聞いて私は思った。
あの瞬間、確かに私の世界は音を立てて崩れ去っていた。
本当にあの時はそう思い、絶望の淵に沈んでいた。
彼女を離したくなかった。
どこにも行ってほしくなかった。
幼馴染として、お互いのすべてを知り尽くしているはずの私たちの聖域に、土足で踏み込んできたあの泥棒猫——伊藤優花里。
あの女が現れてから、私達のすべてが狂い始めた。
サキちゃんは騙されている。
あの冷徹な仮面の裏で何を企んでいるか分からない女に、私の大切なサキちゃんを奪われるわけにはいかない。
だからサキちゃんを監視した。
束縛した。
それが私の彼女に対しての愛し方であり、サキちゃんをあの女から守る唯一の手段だったのに……
思いもよらず、サキちゃんは、あの女を庇って私を拒絶した。
昨日から、部屋の隅で私は膝を抱えていた。
サキちゃんの隣に立てない人生なんて、呼吸をしているだけの死体と同じだ。
もうどうなってもいい、このまま消えてしまいたい……そう絶望の淵に沈んでいた。
涙が止まらなかった。
けれど、サキちゃんは私のために来てくれた。
ドア越しに響く、震えるけれど真っ直ぐな声。
「わたしは鏡子ちゃんが大好き! だからまた一緒に登校したい!」
その言葉が、凍りついていた私の心を一瞬で溶かした。
やっぱり、サキちゃんには私しかいないんだ。私だって、大切な人はサキちゃんしかいない。
床に倒れ込んだサキちゃんを抱きしめた。
伝わってくる体温、昔からの懐かしい匂い。
これこそが私の、私だけの居場所。
(……サキちゃん。もう二度と、あなたにあんな顔はさせないよ)
そう心に誓う。
私はあの泥棒猫から、絶対にサキちゃんを取り戻すんだ。
それが、彼女にとっても、私にとっても一番の選択なんだ。
サキちゃんは私にとって、もう親友なんて言葉じゃ収まらない。
恋人以上の存在。
私達二人は運命共同体なんだ。
「サキちゃん……愛してる。もう一生、離さないからね」
私の腕の中で、少し戸惑いながらも抱きしめ返してくれたサキちゃん。
その優しさに甘えながら、私の胸の奥では、昨日までの絶望がどす黒い執着へと姿を変えて燃え上がっていた。
ううん、これは執着なんかではなく、これが私の彼女に対しての本当の愛なんだ。
見ていてくださいね、伊藤先輩。
サキちゃんの「隣」は、最初から最後まで私の特等席、あなたなんかに絶対に立たせてあげない。
サキちゃんを玄関先で見送りながら、私は改めて彼女を私の元から離さない様にと、固く心に誓った。
サキちゃんの笑顔は私だけのものなんだ。
優花里の助言を元に、鏡子のことを考えて、優しく接したサキ。
しかし、その優しさが逆に鏡子の心に火をつける結果に。
優花里はこうなる事を予想していたのでしょうか?




