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超人顕現!?

 その日の夜、夏休みの課題をすべて終えた報告を優花里さんへ入れた。


「サキ、頑張ったわね」


「ありがとうございます、優花里さん!」


「ところで……今日も、後藤さんは来たの……?」


 声のトーンがわずかに下がった。

(これは、もしやヤキモチってやつなのかな? この人もこの人でヤンデレ気味なところがあるから、話題を変えないと不穏な方向に話が逸れてしまう……!)


「あ、はい、来てくれました。分からないところを教えてもらって。ところで、優花里さんの予備校はどうなんですか?」


「平日は毎日通っているわよ」


「じゃあ、学校の課題はいつやるんですか?」


「あれは3日で終わらせたわ」


「3日!? 2年生は課題が少ないとか……ないですよね?」


「たぶん、去年と同じくらいだったと思うわ」


 ひぇ……。こちらは朝から晩まで鏡子ちゃんに付きっきりで教えてもらいながら、10日近くかかったというのに。


「課題を早く済ませないと、予備校の勉強ができないから」


 なにそれ、予備校のハードな勉強をして、さらに学校の課題も秒殺して? よくそんなスケジュールでアニメを見たりわたしと会ったりする時間があるな、この人は……。こ

 ういう人を超人というのだろう。

 やっぱり住む世界が違いすぎるよ。


「それと、別荘のことなんだけど……」


 来た! わたしの貞操の危機!? 一緒にいられるのは楽しみなんだけど、「それ以上のこと」って一体……!


「お盆明けの土日はどうかしら?」


「あ、はい! 多分大丈夫だと思います! 予定が入りそうでも全力で阻止します!」


「そうなの! よかったわ。嬉しい……サキ」


「は、はい」


「二人の、いい思い出にしましょうね……」


「は……はい……」

 なんだ、このとろけるような物言いは……?


 電話の向こうで、優花里さんが蛇の目みたいに縦の瞳孔になって、舌が二つに割れて、妖艶な笑みを浮かべるラミアになっちゃってる姿を想像しちゃうんだけど……!


 楽しみだけど、正直ちょっと怖いよ。

  お盆までに、もし何かあっても拒否できるくらいの筋力というか、身体を鍛えておこうと誓うわたしでした。


 ……でも、その前に鏡子ちゃんと一週間、わが家で過ごすんだよね。 蛇の次は、忠犬(時々ヤンデレ)か……。わたしの夏休み、ハードモードすぎない?


 優花里さんとの電話を終え、ふとスマホを見ると鏡子ちゃんからのRINEが溜まっているのに気がついた。


 「うわ、何通来てるんだよ……」


 最初の一通はお風呂に入っている頃だった。その後、優花里さんと長電話をしていたので、合計で40分ほど放置してしまったことになる。その履歴が恐ろしい。


『サキちゃん?』

『いますか? おーい、サキちゃん?』

『何かあったの?』

『大丈夫?』

『返信ないの寂しいよ』

『何かあったかもしれないなら、そっち行こうか?』


(……それはヤバい! 夜中に鏡子ちゃんが突撃してきたら心臓が止まる!)


 わたしは慌てて指を動かした。

「ごめんね、お風呂に入ってたり、美嘉と話したりしてたから!」 送信すると、一秒も経たずに既読がつき、返信が返ってきた。


『よかった〜! 何かあったのかと思ったよ〜』


 たった40分、されど40分。鏡子ちゃんを少しでも待たせたり心配させたりすると、すぐにヤンデレのスイッチが入ってしまう。本当に気をつけないと。


『ごめんね、なんだった?』

『前に海に行こうって言ってたと思うんだけど、課題も終わったことだし、今度の土曜日とかどうかな?』

『大丈夫だよ、じゃあ茜も誘おうか? わたしから声をかけるよ』


 すると、いつもは即レスの鏡子ちゃんから10分ほど返信が来なかった。珍しいな。 もしこれが逆の立場なら、「どうしたの?」って数通は送られているんだろうな……なんて考えていると、ようやく返信があった。


『茜、来れないんだって』


 え……? なんで? もしかしてこの10分の間に、彼女に直接確認してたの? その直後、わたしのスマホに茜からRINEが届いた。


『サキ……今鏡子から「土曜日部活だよね?」って電話があったから「次の土曜は珍しく無いんだよ」って答えたら、「その日はどんな誘いがあっても一歩も外に出ないで。出たらどうなるかわかってるよね?」って言われたんだけど……土曜日って何かあるの?』


 ……怖いよ、鏡子ちゃん。茜も大事な友達なんだよ……。 わたしは震える手で茜に返した。「うーん、その日はもしかしたら鏡子ちゃんから何か特別な連絡があるんじゃないの? 分からないけど……」


『鏡子に聞こうとしても、「茜は知らなくてもいい」って低い声で言うだけなんだよ……』


 鏡子ちゃん、茜に対しても優しくしてあげてよ! 可哀想じゃん! うちら三人って、いつからこんなに歪な関係になったんだろう。

 仲良し三人組じゃなかったっけ?

 とりあえず、怯える茜をなんとかなだめ、鏡子ちゃんへRINEを送る。


『茜、そうなんだ。残念だね……。じゃあどこの海に行こうか?』


 茜、すまん! わたしも自分の命が惜しいんだ……!


雲乃須くものす海岸とかどうかな?』


 その名前を聞いた瞬間、わたしの頭の中に小学生の頃の情景が浮かんだ。

 あそこは確か、昔、鏡子ちゃんとお互いの家族で一緒に行った場所だ。


 あそこならいいかも。電車で行けてそんなに遠くないし、思い出の場所だしね。


『いいよ、雲乃須にしよう!』

『やったー! 楽しみだよ!』


 喜びを爆発させる鏡子ちゃんのスタンプ。


 うん、茜への仕打ちさえ除けば、本当に可愛くていい子なんだけどね……。



とりあえず、優花里さんは超人という事です。

鏡子ちゃんのヤンデレ度合いもさらに強まっていきますね。

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