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モブのアニオタJKだったわたし、ヤンデレ先輩と幼馴染に愛されすぎて困ってます! ~逃げても離してくれない百合な彼女たち~  作者: あさなゆうなぎ
第3章 一年の二学期

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○ルサイユのばら!!

 そして、わたしは嵐のような週末を駆け抜けた。


 土曜日はエオンでアニメートを巡り、鏡子ちゃんに「これサキちゃんに似合いそう!」と次々に服をあてがわれる着せ替え人形状態を楽しみ(?)、日曜日はわたしの強い希望で彼女の部屋での勉強会に持ち込んだ。二人きりの部屋で勉強……というのも別の意味で心臓に悪かったけれど、なんとか「学習」の体裁を保つことに成功したのだ。


 その間も、優花里さんとは朝の校門で視線を交わし、夜は彼女の予備校帰りに毎日電話をしていた。

 電話越しの彼女の声は、学園での凛々しさとは裏腹に、甘く、どこか寂しげで……そのギャップに、わたしのニヤけ顔はもはや定位置になりつつあった。


 そして時間は一気に進み、ついに学園祭の準備期間が本格的に始まった。


 放課後の教室。わたしたちのクラスは「お化け屋敷」ということで、わたしは家で見た、ホラーアニメの背景を簡単に描いたラフスケッチを参考に、不気味なお墓や吸血鬼の古城を背景パネルに描き込んでいく。


 (……正直、鏡子ちゃんが素顔で、優花里さんや美嘉や茜に向けてるあの「無」の表情を等身大パネルにするのが一番怖いと思うんだけどなぁ〜)


 そんな命知らずな冗談は、もちろん心の奥底に封印しておく。

 自分の命は、まだ次の冬アニメの新番組をチェックするために取っておきたい。


「ねえ、サキちゃん。ここ、何色で塗ればいいかな?」


 鏡子ちゃんはといえば、作業中ずっとわたしにぴったりとくっついている。

 指示を待つ彼女の吐息が耳元にかかる距離だ。

 手伝ってくれるのはありがたいし、彼女の塗る色は正確で綺麗なのだけれど……距離が近いよ。


「……えっと、そこは少し暗いグレーで……あ、鏡子ちゃん、ごめん、そこまでくっ付かれると、ちょっとだけ筆が動かしにくいかな……?」


「え? ごめんね、もっと近くで見たくて」


 そう言って、離れるどころかさらに密着してくる鏡子ちゃん。

 もはや重力の中心が彼女の方に寄っている気がする。

 大きな胸も当たり、非常に描きにくい。


 正直めちゃくちゃ描きにくいけれど、幸せそうにわたしの肩に、顎を乗せてくる彼女に「離れて」とは口が裂けても言えなかった。


 (優花里さんがこの光景を見たら、また「保護(監禁)」の二文字が頭をよぎっちゃうだろうな……)


 文化祭準備の喧騒の中、わたしは背中に感じる鏡子ちゃんの熱と、スマホの向こう側にいる優花里さんの独占欲を同時に感じながら、必死に吸血鬼の城を完成させていった。


 ある日の放課後。背景パネルに描き込む西洋風の古城のディテールを詰めるため、図書室に資料を探しに行くことにした。


 幸い、学級委員長の鏡子ちゃんは他グループへの指示出しで手一杯の様子。


「サキちゃん、すぐ戻ってくるよね?」


「うん、ちょっと本を見てくるだけだから」


 後ろ髪を引かれる(物理的に服を掴まれそうな)気配を感じつつ、わたしは足早に教室を抜け出した。


 実は、図書室へ向かう前にどうしても寄り道したい場所があったのだ。


 2年生の教室が並ぶ廊下。優花里さんのクラス、2-Aの前には、放課後だというのに異様な人だかりができていた。


(なにごと!? 芸能人でも来てるの……?)


 野次馬根性で隙間から覗き込んで、わたしは言葉を失った。


 教室の中央で、優花里さんと鈴木生徒会長が、劇のワンシーンを練習していたのだ。

 制服姿ではあるけれど、その立ち姿はまさに『○ルサイユのばら』の○スカルのよう。

 凛としていて、一分の隙もない。

 対する鈴木会長も、優花里さんの恋人役である王女様としての気品に溢れている。


「……あなたの剣は、誰のためにあるの?」


「……あなたを守る、そのためだけに!」


 美女と美女が火花を散らす真剣な芝居。

 練習だというのに、周りの生徒たちがうっとりと見惚れて、溜息をついているのも無理はない。


 (すごい……。あの人が、わたしの恋人なんだよ! みんな聞いて〜! あの格好いい人はわたしだけの彼女なんだよー!!)


 ……と、叫び出したい衝動に駆られるけれど、そんなことをしたら確実に全校生徒から袋叩きに遭う。

 ぐっと堪えて、心の中で「やっぱり綺麗なわたしだけの優花里さん」とガッツポーズを決める。


 けれど、あまりにも二人の演技が真に迫っていて、見つめ合う瞳に熱がこもっているのを見ていると、胸の奥が少しだけチリッとした。


 (……これって、嫉妬? もしかして、優花里さんが、鏡子ちゃんや、優魅ちゃんに絡まれているわたしを見る時って、こんな気持ちなのかな……)


 いつも独占欲を向けられる側だったけれど、舞台の上の「王子様」に群がるファンや、寄り添うお姫様役の会長を見て、初めて彼女の抱える焦燥感が理解できた気がした。


「……サキちゃん、何見てるの?」

 不意に、背後から温度のない声がした。


「ひっ!」


 心臓が口から飛び出しそうになって振り返ると、そこにはいつの間にか仕事を終えた鏡子ちゃんが、冷ややかな笑顔で立っていて。


「資料探し、ずいぶん時間がかかってるみたいだね?」

優花里の気持ちが少し分かったサキ。

しかしその直後にホラー展開が?!

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