表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブのアニオタJKだったわたし、ヤンデレ先輩と幼馴染に愛されすぎて困ってます ~逃げても離してくれない百合な彼女たち~  作者: あさなゆうなぎ
第3章 一年の二学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/119

涙のリリー!?

 優魅ちゃんは、感情の消えた瞳でわたしを見つめたまま、言葉を飲み込んだ。


 わたしはそのまま、縋るような視線を向けてくる優花里さんに向き直る。


 「優花里さん。今わたしが優魅ちゃんに言った通りです。わたしは、あなたの恋人なんです。優魅ちゃんはその可愛い妹、鏡子ちゃんは幼馴染の親友。……それは、前にも言った通りです」


 わたしの言葉が終わるか終わらないかのうちに、優花里さんの目から涙が筋になって溢れ出した。


 「サキ……サキ……っ!」


 彼女はリリーの衣装を涙で濡らしながら、壊れ物を扱うような手つきでわたしにしがみついた。


「ごめんね……ごめんね、サキ! わたし、不安で……もっとあなたを信用するべきだったわ……!」


 先ほどまでの凍りつくような独占欲はどこへやら、今はただ、愛する人に嫌われることを恐れる一人の少女に戻っていた。


 一方、優魅ちゃんはわたしの服の裾を、細い指先でそっと持ち上げた。


「『今は』……なんだよね。わたし、サキさんを諦めないよ。お姉様と別れるまで、いつまでも待ってる……お姉様と別れたら、絶対にわたしに来てよね」


 その瞳には、諦念ではなく、静かに燃え続ける執念が宿っている。


「でもわたしも、いつかお姉様からあなたを取るから。その時は……責任は、取ってもらいますから」


「はい。分かったよ。でも、今日みたいな強引なのは勘弁してね」


「……分かった」


 優魅ちゃんは小さく頷くと、名残惜しそうに指を離した。


 足元では、優花里さんがまだ子供のように泣きじゃくりながら、わたしの名前を呼び続けている。

 「うぇぇ……サキ、サキ……ごめんね、ごめんね……ひっく」


 (はぁ……。なんとか最悪の結末(物理的なやつ)は回避できたのかな。でも、お姉様は重度のヤンデレ化、妹は長期戦の構え。これ、根本的な解決には一ミリもなってない気がするよ……結局は先送りなのかな……?ダメだな、わたし)


 床で泣き崩れるリリー様(優花里さん)の背中を、わたしは困ったように、けれど優しく撫で続けるしかなかった。


 「サキ、ごめんね……だから嫌いにならないで……お願い、サキ……っ」


 いつまでもわたしの腰にしがみつき、子供のように泣きじゃくり続ける優花里さん。

 リリーの衣装のフリルが、彼女の涙でぐっしょりと濡れている。


「優花里さん、もう大丈夫ですよ。もう怒ってないですから」


 わたしはしゃがみ込み、彼女の柔らかな髪をそっと撫でた。


 さっきまでスマホを投げ捨て、「飼育してあげる」なんて冷酷に言い放っていたヤンデレ爆発お嬢様だとは、到底信じられないほどに、しおらしくなっている。


 (お嬢様だから、何不自由なく育ってきた分、自分の思い通りにならない事態に追い詰められると、どうしようもなく焦ってしまうんだろうな……)


 そんな彼女の危うさすら、今は少しだけ愛おしく感じてしまう。

 と、思ってしまうわたしは、既に毒されているのかもしれない。


「サキ……ありがとう、本当にありがとう……」


「お姉様、わたしは戻りますね」


 不意に、背後から優魅ちゃんの冷ややかな声がした。


「でも、絶対に諦めないですから。……それじゃあ、サキさん。また会いましょうね」


 そう言うと、優魅ちゃんはわたしの頬にちゅっと軽いキスを落とした。


「えっ?」


 流石にこの空気で唇を奪うのは避けたのだろうか。それとも、長期戦を見据えた彼女なりの「マーキング」なのだろうか。


 優魅ちゃんがエレベーターに消え、静かになった部屋で、わたしは優花里さんをゆっくりと立ち上がらせた。


 よっぽどわたしの「嫌いになる」という一言が効いたのだろう。彼女はさっきからずっと俯いたままで、風紀委員長としての、あの凛とした美人の面影もない。


「サキ……本当に、わたしを嫌いにならない……?」


 上目遣いで、捨てられた子犬のような瞳で見つめてくる。


 「もちろんです。大丈夫ですよ、優花里さん」


 「……っ、ありがとう」


 感極まったように彼女が抱きついてくる。そのまま、震える吐息と共に唇が重ねられた。深く、甘い、許しを請うような口づけ。


 (……はぁ。優花里さんはこれで一旦落ち着いたかな。でも次は……)


 優花里さんの背中に腕を回し、その温もりを感じながらも、わたしの脳裏には「鏡子ちゃんという最大の懸案事項」がこびりついて離れなかった。


なんとか今回は、決着(?)しました。

しかし、鏡子が次に控えています。

サキの心が休まる時は、まだまだですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ