捨てたものが戻ってきた時、非常に困るものである
謁見の翌朝、気分転換を兼ねて軽い散歩をして家に帰ってきて、玄関で靴を脱ぐ際にメンバーではない靴に気付く。
この靴、誰のだ?
何処かで見たような気がするが、見覚えがギリギリ無い探索者用の靴を見て首を傾げているとランディが玄関まで出迎えてくれた。
「エドお帰り。お客さん来てるよ」
僕にお客さん?本当に誰?王都での知り合いはギルドマスターとアレックスしかいないよね?
疑問に満ちたままリビングの扉を開けると紫色の長い髪を持った決勝で当たったままの服装の少女が目に入る。黒を基調としつつおしゃれな短いワンピースにショートパンツとタイツ、そして紫と黒のローブ。少女は僕を見つけると急ぎ足で距離を詰めてきた。
「エドワード、早くからごめん!今時間ある?」
この人、新人探索者大会の決勝で当たった………名前からが…決勝の後色々あって思い出せない。喉元まで出かかっているのに。
こういう時は・・・
「えっと、なんて呼べば良い?」
名前を知ってるけどあまり親しくないからどう呼んだら良い?感を出しながらさりげなく聞く作戦!
「ジェーンで良いよ」
そう!ジェーン!ジェーン・スミスだった。ごめんね、頭から抜けてて。
「僕のことはエドで良いよ。エドワードはちょっと長いから」
こっちもフランクに返す事で名前を思い出せなかった事を闇に葬った。
「分かったエド。早速話なんだけど」
あのぉ、ちょっと近すぎませんかね?ジェーンさん。
距離を詰められたまま話し始めようとするジェーン。
「とりあえず座って話始めようか」
さりげなく間に入ったランディのおかげで呼吸を整えることができた。
本当にありがとうございますランディ。頭が上がりません。
僕とジェーンは正面に向かい合ってソファに座る。
「早速本題だけど国王の護衛を私達と一緒にして欲しい」
「え?」
理解が追いつかない状態になっている僕にジェーンは続ける。
「準優勝者の私より優勝者のエドの方が相応しい。知り合いがいないなら私のパーティと一緒ならどう?」
どうって言われても………知り合いいないより人見知りの方が問題だからな。ここは丁寧にお断りしようかな…。
「国王陛下もエドが護衛する事を心待ちにしておられるたよ」
そんな事言われたら断れないじゃん。
「エドも貴重な機会だしやった方が良いよ」
ランディまで!
あの王様、そこまで見据えて敢えて僕の申し出を受け入れたって言うのか!?
「……よろしくお願いします」
「後日連絡行くと思うからよろしく。絶対に遅れないようにね」
僕は苦笑いしながら家を去るジェーンを見送った。




