重なる気配
久々の連日投稿!
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ヴィクトール・ゼノビア・ロシキエスがエドワード・クレイを見て第一に思った事は驚きであった。
国王として人を見る目は培ってきたがヴィクトールの目にはエドワードは新人探索者大会で優勝するにははっきり言って弱すぎると感じた。魔道具の映像上で見るよりもオーラが無い。それと同時に非常に興味深くもある。
客観的に見てエドワードが優勝する可能性は1番低いと感じた。
初戦の相手のモーブ・ボームは昨年の優勝者であり、モーブ有利。
準決勝のジョーン・トーマスとは盗賊のエドワードにとって正に相性最悪。しかし計算され尽くした作戦か幸運か相性不利を打ち破った。
決勝のジェーン・スミスは3人の中では1番相性が良いが最近実力を伸ばしている魔術師の1人。激戦の末に優勝を勝ち取っている。
そして今回の謁見の時が来た。ここ数年、否、即位してから1番楽しみな優勝者の1人であった。
実際にこの目で見て驚いた。強者特有の『オーラ』が無いと。今回の優勝は幸運の結果だと。あの性格からは考えにくいが我の目を欺くほどオーラを隠しているのか。
勘違いかもしれないが新人探索者大会優勝者であり半世紀前ながら未だ語り継がれる王都の英雄ステファニー・レーヴェンと重なる気配がある。強さも性格も何もかもが違うのにも関わらず。
一つ確かなことは謁見前よりも興味が深まった事だ。
更に人間性も面白い。何故あのような精神的に強く無いものがわざわざ王都でも有数の悪魔の聖騎士に入ったのか。そして栄光であるステファニー・ロスター入りを断ったこと。
ヴィクトールは考えた。どうやればエドワード・クレイを護衛に出来るかを。
数分の時を経て未だ怒りが収まらない近衛のマニュエル・アロンゾに話しかけた。
「今回の護衛に代役として準優勝者のシェーン・スミスを指名したい。謁見の用意を頼む」
「!!!」
驚愕して意見したいけど立場上言葉が出せないマニュエルに続ける。
「雑事は我の時間を削る。苦労をかけるがどうしても頼む」
「っっっ!承知いたしました」
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国王陛下は素晴らしい国王だと贔屓目抜きにマニュエル・アロンゾは思う。
このロシキエス王国は政治の最終決定権が国王陛下にある。しかし国王陛下が権力を振り翳すことは無い。
常に国民第一に動き、時には専門家の意見に耳を傾け、時には貴族の意見に耳を傾ける。時にはご自身の経験から導き出された意見を下のものに説得する事もある。
そして我儘なご要望は近衛になってから一度あるか無いかだ。
その国王陛下がこれほどまで強く言うとは。私にはただの礼儀を知らない田舎者だと感じたエドワード・クレイだが、何かあるのか。
仕事終わりに珍しくワインを嗜みながらマニュエル・アロンゾは今日の出来事を振り返った。




