トップとの話し合いを好きな人は居ない皆無だと思う件 Part2②
先日素振りを20回ほどした後バッティングセンターで60球バッティングをしたら左肩に違和感が………まだピチピチのアラ20なのに。悲しいです。予定より遅れたのもそのせいです。
「謁見のご用意が整いました。扉を開けます」
「あ、はい。お願いします」
大きな扉がゆっくり開かれる。
30メートルほどシワや汚れひとつ無い真っ赤な絨毯。脇には乱れが全く無い姿勢の騎士。そしてヒリヒリするほど引き締まった空気。思わず鳥肌が立つ。
絨毯の先には数段上がった上に見惚れてしまうほど美しく、力強く、立派な玉座が佇んでいる。その玉座に君臨する王様。この距離でも腰を引いてしまいそうなオーラが漂う。
これが王様。ランディ達、じっちゃん、ギルドマスターや【黄蛇の蟻穴】でいた2体のボスモンスターとも違う感覚。これが王の風格なのか。
一歩づつ慎重に歩を進み、階段の少し前で跪く。
「面を上げよ」
見た目通りの威厳に満ち溢れた声。背筋を自然に伸ばしながら顔を上げ、王様の顔を見上げた。
苦労を感じさせる皺が刻まれているが不思議と老いは感じさせない。そして齢60近くとは思えないほどの鍛え上げられた強靭な肉体。
「我はロシキエス王国国王ヴィクトール・ゼノビア・ロキシエスである」
「あっ、僕はエドワード・クレイです」
「っっっ!」
王の側に立っていた40前後の見た目に茶髪を短く切りそろえ、鍛え上げられた肉体を持つ近衛の人に睨まれる。
自己紹介しただけなのに…。
「はっはっは!我は構わぬ、アロンゾ」
「ッッッッ!陛下のご厚意に感謝しなさい」
近衛のアロンゾさんは唇を噛み締めた後吐き出すように僕に言ってきた。
何かよく分からないけど取り敢えず頭を下げておく。
「やはり其方は面白くて興味深い」
王様は高らかに笑った。
何が面白いのか、僕には分からない。キングジョークなのだろうか…。
「お言葉ですが陛下、お時間が迫っているので本題に入りましょう」
「そうであったなすまぬ、エドワード」
「いえいえ、お気になさらず」
王様は姿勢を姿勢を正すと咳払いをしてハキハキとした声で話し始めた。
「エドワード・クレイ、大会の活躍見事であった」
「ありがとうございます」
跪いたまま頭を下げる。
「我は武闘祭の来賓になっておる。今回は海の国セクランでの開催だ。そこで新人探索者大会優勝の其方に護衛を頼みたい」
世界中の強者が優勝を目指す武闘祭、毎年来賓になっている国王の護衛(と言ってもほぼ同行するだけ)を新人探索者大会の優勝者一行が行う。初代新人探索者大会優勝者からの習わしで初代優勝者の名前から通称ステファニー・ロスターとして新人の登竜門と言われている。
そういえばじっちゃんもやったって言ってたっけ?じっちゃんすごいな。
「謹んでお請け致します」
僕の言葉を聞くと王様の口角が少し上がった。
近衛のアロンゾさんが大きく響き渡る声で説明を始めてくれる。
「出発は1週間後、3日後の日没までに候補を通達して欲しい。候補を詳しく調べ、護衛の可否と一緒に集合場所を極秘に届ける」
そんな事言われても僕が一緒に行きたい人達はすでに決まっている。
「因みにエドワード・クレイを除いた悪魔の聖騎士のメンバーは却下になっている」
僕の全身に電流が走った。
大きく目を見開き、情けない顔をしているだろう。
(え?アロンゾさんマジで言ってる?)
「探索者ギルド主催の大会に出入り禁止の者たちが大会優勝者の褒美を受ける訳にはいかん」
は?出禁?何やったのあの4人。逆にどうやったら出禁になるのか教えて欲しい。
呆けている僕に対して隠しきれない怒りを最低限に抑えたアロンゾさんが口を開く。
「《水色の悪魔》は違うが他の3人はそれぞれとんでも無いことをしでかして出禁になっている!」
マジか!?………でもよく考えてみたら想像できなくも無い。逆にリリスだけ出禁になってないことの方が驚きだよ。1番なりそうなのに。
「何があったかは自分で聞け!」
「っ、はい」
本当に僕1人で行くことになるの?知り合いいないし。…1人で行くくらいなら別に僕は行かなくていいかな?
「僕のメンバーはダメですか…」
「すまぬの、我は構わぬのが他の民に示しがつかん。この通りだ」
王様は玉座に座ったままだが、綺麗な姿勢で頭をゆっくりと下げ始めた。
1番近くでそれを見たアロンゾさんが大慌てに陥る。
僕も信じられない光景で頭がパニックになった。
「陛下!陛下のようなお方が頭を下げる事はありません」
「そうです。悪いのはランディ達です」
「貴様は黙れ!」
なんで僕はアロンゾさんに怒鳴られたんだろうか?
うん!なおさら1人では行きたくない。だったらやる事は1つ。
「陛下(?)要望よろしいでしょうか?」
「よい、我にできる事ならば力添えをしよう」
「僕、護衛を辞退したいです。僕は王都に来て短く、知っている人もメンバー以外にいません。1人で行くのであればより多くの人に護衛される方がどちらにとっても有意義だと思います」
「何言っている!」
「よい、アロンゾ」
王様の一言で激昂寸前のアロンゾさんがピタリと止まった。これが王のカリスマか…。
「其方の願い、聞き入れよう」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げて謁見の間から立ち去った。
この国の名前初登場!それに気がついたら10万字突破!
何故ランディ達が出禁になったのかは悪魔の聖騎士日記へ!




