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中途半端な休憩後は倍以上疲れる

 書き溜めしたいけど一話書いたら疲れてそれ以上書けない。誰か無尽蔵の体力とやる気を下さい。

 ウオプへ走り出した一行。

 馬車一台に一人づつ馬を操る御者が三人。先頭の馬車に眠っているリリスとカイル、真ん中の馬車に依頼主のシークさんとその弟子のタンリーさん、後ろの馬車にリリスのゴーレムが乗っている。一方、僕とランディが馬車の前、最後尾にエンリカが外を走っている。


 まだ平地とはいえ道は平坦じゃない。足元に気を付けないと細かい段差に転んで馬や馬車に轢かれる事になるし、急に襲って来る魔物や賊を警戒しないといけない。しかも通常の馬車の倍以上の速度。実践経験が無い僕が疲れない訳が無い。




 なんとか一時間走った後、馬の為の小休憩を取る。小休憩と言っても馬にリリスのポーションを飲ませたら直ぐに再び走り出す。

 数分間ではランディ達はともかく、僕はまともに休む事が出来ない。疲労を引きずったまま動き出した。




 休憩後僅か数分、先程までとは桁違いの疲労が蓄積されていく。

 リズム良く息を吸って吐き出す。それだけしか意識出来ない。目線が徐々に下を向く。

 馬車の前を走るのに精一杯で、周りの音が聞こえなくなる。

 息を吸うリズムが崩れてその場凌ぎの呼吸になっていった。






 果てしなく長く感じた一時間を走り切りる。

 馬車が止まった途端、地面に倒れ込む。


 これまで、体力トレーニングはこなしてきた。ある程度の長時間は走れるようにはなっている。

 しかし、いつ出て来るか分からない脅威、慣れない地面、今日の寝不足と今朝の騒動で体力的に万全では無いところに休み切れない休憩が決定打になっていた。


 大の字で寝ていると心配したランディが近づいてきた。


「エド、大丈夫?この先は道も悪くなるし魔物も増えるから中に居る?」


 息が絶え絶えになって喋ることができない為、サムズアップをしながら首を振って「走り切りたい」と表現することしかできない。


「そうか、分かったよ。次の休憩は食事の為に長めに止まるよ。索敵は僕らに任せて頑張ってね」


 僕の意思が伝わったのか目まで笑っている笑顔で僕の手を引き起こす。

 そして僕達は再び走り出した。





―――――――――――――――――――――





 走り出してどれくらいの経っただろうか。前回の休憩地点の明るい森が次第に鬱蒼とし始め、道が獣道に変わっていく。






 森を進み始めて暫く、ランディが馬車を止める合図の魔法を空に放つ。

 御者が馬を操って緩やかに速さを落とし、僕たちは止まった。


「エド、2時の方向、魔物だよ。こっちに向かってきてる。あまり強く無い奴だからやってみて。危なくなったら助けに入るから」


「…はい。…やってみます」


 息を絞り出して返事をする。


 ランディは魔術師だが、全く息を切らしていない。恐らく後ろのエンリカも同様だろう。力の差をしみじみ感じる。

 疲労状態での戦闘訓練はした事はあるが、ここまでバッテバテの疲労では勿論無い。ランディ達は僕の事を考えて訓練に付き合ってくれているのはとても有り難いが今はやめて欲しいのが率直な感想だ。

 ただ、僕がNOと言えるはずもなく、何回か強く息を吐き、疲労限界を超えて逆にフワフワしてきた身体を整え、魔物に備える。

 足音的に四足歩行、速さは馬車以上。大きさは僕よりやや大きい。


 音を立てずに近づく為だろうか、足音が止まる。絶対に逃げてはいない。


 集中を切らさずに警戒していたその時、2m近い魔物が飛び出してきた。

 僕を狙った魔物の初撃を身を捻り、ナイフを使って受け流す。


 万全な状態でも簡単に流せない程の重さが伝わって来た。疲労困憊状態ならば相当気合を入れないと受け切れない。あと何回受け流せるか。また、自分で倒し切れるか。これが本当の戦闘。強いものが勝ち(生き)、弱いものが負ける(死ぬ)。弱肉強食の世界に鳥肌が立つ。


「そいつはシャープベア。鋭い牙と爪を持ち毛皮に覆われた体だけどそこまで速くない。Eランクの魔物だよ」


 傍で見守っているランディが魔物の解説をする。


 Eランクの魔物相手は、自分だと厳しい。それはランディも分かっているだろう。しかし、危なくなったらフォローしてくれるなら積極的に攻めよう。


 シャープベアの懐に飛び込む。

 シャープベアも負けじと突進をしてくる。

 右手の爪でと引っ掻きを左側に避けると隙だらけの首がある。


 行ける!


 ナイフを逆手に持ち、シャープベアの首を狙い突き刺す。

 いや、突き刺すはずだった。

 疲労で力が入らない右手にあったナイフが後方にクルクルと宙を舞う。

 右手は力無くシャープベアの首を叩いた。

 シャープベアは鋭い牙で噛みつこうと身を捩り、僕に向けて首を伸ばす。

 回避をしようとするも、完全には避けきれない。全力の一撃を放とうとしたため、確実に攻撃を喰らってしまう。


「やば、やられる」


 なんとか致命傷を避ける事に心血を注いだ。その瞬間、噛みつこうとしてきたシャープベアの頭が落ちて首から血が吹き出す。


「危ないところだったわね」


 最後列に居るはずのエンリカが知らぬ間に立っていた。

 エンリカは剣に付いた血を払って鞘に仕舞う。


「Gランクでこれだけ出来れば上出来だよ」


「あ、ありがとうございました」


 エンリカが助けてくれなければ致命傷を喰らった。これが実戦、一瞬の油断で死ぬ。


「パーティだから助け合わなきゃね」


「そうよ」


 当たり前の様に二人が言う。

 何事もなかったかの様に僕達は動き出した。






―――――――――――――――――――――






「今日はここらで野営しようか」


 ランディの言葉で水辺の近くで一行は足を止めた。


 現在、太陽は半分隠れて鬱蒼とした森は赤と黒に包まれている。


 あの後、特に魔物の襲撃も無かった。

 昼食時に飲んだリリスの疲労回復ポーション(人間用)の効果もあってか、今日は何とか完走できた。




 夕食を食べる。昼前に狩ったシャープベアの肉が余っていた為、その肉と野菜を煮込んだ物を食した。

 魔物は思ったよりは美味かった。

 しかし、ここらに止まってから少し気掛かりなことができている。

 誰でも良かったが、隣に居たリリスに聞いてみる事にした。


「リリス、さっきから商人と御者の皆さんが少し落ち着かないのですが。何故かわかりますか?」


「ここら、盗賊、出る。やられてる。探索者、Dランク」


 思わず目を見開く。

 疲労の影響で出た眠気が爆散した。


 えーーー!?何でそんなとこで野営するの!?


「指名手配、居る。賞金、欲しい」


 いやいやいやいや、貴方達だけなら大丈夫かもしれませんが僕はGランクだし依頼人方に至っては非戦闘員なんですよ!それにリリスだってそんな前出る役割じゃないでしょ!


「安心。起こす、襲撃時」


「わ、分かりました」


 その後、押し切られる形でテントの中で眠りに着いた。

 僕は疲労を考慮して見張りを外れ、他の四人で交代する事にするらしい。


 どうか出ませんように。


 心の中で祈って目を閉じた。










 焚き火の火も消えかかった夜、リリスに肩を揺らされた。


「起きろ」


「んー」


 僕は横になりながら欠伸をして目を擦る。


「来た。盗賊。捕まえる」


 僕の体は一瞬で覚醒した。


 そういえば言ってたね。そりゃ来るわ。僕が盗賊だったらカモとしか思えないもん。

 何とか今日間に合った。

 最近、キリがいいところまで進めたくて時間がない。

 カイルにもっと喋らせたいがなんか違うとなって喋らせる事ができない。

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