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来るところ間違えました。〜新人探索者、最きょうパーティに入る〜  作者: 海万満
第一章《新人探索者》エドワード・クレイ
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中途半端な休憩後は倍以上疲れる

 書き溜めしたいけど一話書いたら疲れてそれ以上書けない。誰か無尽蔵の体力とやる気を下さい。

 ウオプへ走り出した一行。

 馬車一台に一人づつ、馬を操る御者が三人。先頭の馬車に眠っているリリスとカイル、真ん中の馬車に依頼主のシークさんとその弟子のタンリーさん、後ろの馬車にリリスのゴーレムが乗っている。

 一方、僕とランディが馬車の前、最後尾にエンリカが外を走っている。

 まだ平地とはいえ道は平坦じゃない。足元に気を付けないと転んで馬や馬車に轢かれる事になるし、急に襲って来る魔物や賊を警戒しないといけない。しかも通常の馬車の倍以上の速度。新人の僕が疲れない訳が無い。


 なんとか一時間走った後、馬の為の小休憩を取る。小休憩と言っても馬にリリスのポーションを飲ませたら直ぐに再び走り出す。


 休憩後数分も経っていない時、先程までとは桁違いの疲労が蓄積されていく。

 段々と馬車の前を走るのに精一杯で、周りの様子を確認できなくなってきた。


 果てしなく長く感じた一時間を走り切りる。

 馬車が止まった途端、地面に倒れ込む。

 これまで、体力トレーニングはこなしてきた。長時間走れるようにはなっている。

 しかし、いつ出て来るか分からない脅威、慣れない地面、今日の寝不足と今朝の騒動で体力的に万全では無いところに休み切れない休憩が決定打になっていた。

 心配したのかランディが尋ねて来る。


「エド、大丈夫?この先は道も悪くなるし魔物も増えるから中に居る?」


 息が絶え絶えになって喋ることができない為、サムズアップをしながら首を振って「走り切りたい」と表現することしかできない。


「そうか、分かったよ。次の休憩は食事の為に長めに止まるよ。索敵は僕らに任せて頑張ってね」


 僕の意思が伝わったのか目まで笑っている笑顔で僕の手を引き起こす。

 そして僕達は再び走り出した。





―――――――――――――――――――――





 走り出してどれくらいの経っただろうか。前回の休憩地点の明るい森が次第に鬱蒼とし始め、道が獣道の様に変わっていく。


 茂みの中を進む列を止める。


「エド、2時の方向、魔物だよ。こっちに向かってきてる。あまり強く無い奴だからやってみて。危なくなったら助けに入るから」


「はい。やってみます」


 ランディは魔術師だが、息を切らしていない。恐らく後ろのエンリカも同様だろう。

 疲労状態での戦闘訓練はした事はあるが、ここまでの疲労は勿論無い。僕の事を考えて訓練に付き合ってくれているのは有り難いが今はやめて欲しいのが率直な感想だ。

 NOと言えるはずもなく、何回か強く息を吐き、疲労限界を超えて逆にフワフワしてきた身体を整え、魔物に備える。

 足音的に四足歩行、速さは馬車以上。大きさはそこまで大きくはない。


 足音が止んで少し経つ。確実に逃げてはいない。音を立てずに近づく為だろう。


 集中を切らさずに警戒していたその時、2m近い魔物が飛び出してきた。

 僕を狙った魔物の初撃を身を捻り、ナイフを使って受け流す。

 万全な状態でも簡単に流せない程の重さが伝わって来る。疲労困憊状態ならば相当気合を入れないと受け切れない。あと何回受け流せるか。また、自分で倒し切れるか。これが本当の戦闘。強いものが勝ち(生き)、弱いものが負ける(死ぬ)。弱肉強食の世界。


「そいつはシャープベア。鋭い牙と爪を持ち毛皮に覆われた体だけどそこまで速くない。Eランクの魔物だよ」


 ランディが魔物の解説をする。

 Eランクの魔物相手は、自分だと厳しい。それはランディも分かっているだろう。しかし、危なくなったらフォローしてくれるなら積極的に攻めよう。


 シャープベアの懐に飛び込む。

 シャープベアも負けじと突進をしてくる。

 右手の爪でと引っ掻きを左側に避けるという隙だらけの首がある。


 行ける!


 ナイフを逆手に持ち、シャープベアの首を狙い突き刺す。










 はずだった。

 疲労で力が入らない右手にあったナイフが後方にクルクルと宙を舞った。

 右手は力無くシャープベアの首を叩く。

 シャープベアは鋭い牙で噛みつこうと身を捩り、首を伸ばす。

 回避をしようとするも、全力の一撃を放とうとしたため、確実に攻撃を喰らってしまう。


「やば、やられる」


 なんとか致命傷を避ける事に心血を注いだ時、噛みつこうとしてきたシャープベアの頭が落ち、首から血が吹き出す。


「危ないところだったわね」


「Gランクでこれだけ出来れば上出来だよ」


 エンリカとランディが成果を讃える。

 エンリカの右手には剣が握られていた。


「ありがとうございました」


「パーティだから助け合わなきゃね」


「そうよ」


 当たり前の様に二人が言う。そして何事もなかったかの様に馬車は動き出す。






―――――――――――――――――――――






「今日はここらで野営しようか」


 日が沈もうとしている。ランディの言葉で水辺の近くで一行は足を止める。

 あの後、特に魔物の襲撃も無かった。

 昼食時に飲んだリリスの疲労回復ポーション(人間用)の効果もあってか、今日は何とか完走できた。


 夕食を食べる。昼前に狩ったシャープベアの肉が余っていた為、その肉と野菜を煮込んだ物を食した。

 魔物は思ったよりは美味かった。

 しかし、少し気掛かりなことができている。

 誰でも良かったが、隣に居たリリスに聞いてみる事にした。


「リリス、さっきから商人と御者の皆さんが少し落ち着かないのですが。何故かわかりますか?」


「ここら、盗賊、出る。やられてる。Dランクが」


 思わず目を見開いた。

 えーーー!?何でそんなとこで野営するの!?


「指名手配、居る。お金、欲しい」


 いやいやいやいや、貴方達だけなら大丈夫かもしれませんが僕はGランクだし他の人に至っては非戦闘員なんですよ!それにリリスだってそんな前出るタイプじゃないでしょう!


「安心。来たら起こす」


「わ、分かりました」


 テントの中で眠りに着く。今回は疲労を考慮して見張りは他の四人でやる事になった。どうか出ませんように。










 焚き火の火も消えかかった夜、リリスに起こされる。


「来た。盗賊。捕まえる」


 やっぱり来ますよね。

 何とか今日間に合った。

 最近、キリがいいところまで進めたくて時間がない。

 カイルにもっと喋らせたいがなんか違うとなって喋らせる事ができない。

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