急募、ここから入れる保険
腰が痛くてなかなか動けない。ピッチピチの21世紀産まれなのに(涙)。
パーティ登録の為に1時間前に去ったギルドへ再び赴いく。
道中でも十分衆目を集めていたが、ギルドの扉を開けた途端に道中とは比べ物にならない視線が一斉に向けられた。主にランディとエンリカに。
「げ、悪魔の聖騎士だ!」
「チッ、リーダーが抜けたとかで最近来てなかったのに」
強面の探索者達の顔がやや引き攣り、避けるように道を開けた。
うーーーーーむ。
何したのこの人達。明らかに避けられてる様な反応じゃん。
ランディとエンリカの2人は内心バックバクの僕と外野のことは気にせず、つい先程探索者登録をした人の窓口へ歩き出す。僕は2人の背中を恐る恐る追った。
「パーティメンバーの追加をしたいんだけど良い?」
「アッ、こっ、こんにちは。悪魔の聖騎士で宜しいですね?」
えっ、受付の人の笑顔も引き攣っちゃってるじゃん。この人達、ちゃんとした探索者だよね?犯罪者じゃないよね?まあこんな堂々と入るって事は大丈夫か。
「ところで、どなたをパーティに入れるんですか?」
「ああ、この子。エドワード・クレイだ」
怖いくらいのにっこり笑顔で答えたランディの前に出る。
「あっ、えっ、エドワード君ですよね?つい先程探索者登録をしたばかりの。あなた方はBランクパーティ、実力だけならAランクに匹敵するんですよ?本当によろしいのでしょうか」
やっぱりそう思いますよね!受付のお姉さん!新人がBランクパーティに入るなんて考えられませんよね!もっと言ってやってください!
「なにか文句あるのかな?(にっこり)」
こわ!顔は笑顔だが目が笑ってない。背筋が震える様なオーラが出ている。
あっ、いや!ランディ、さっきのは言葉の綾というかですね。っていうかランディって面接の直前まで寝てた二人よりやばい?
ランディの凍てつく視界に入りたくない僕は素早くエンリカの後ろに移動する。
「そうよ、私達が選んだんだからごちゃごちゃ言われる筋合いないんだけど」
「い、いえ、そんなことございません。大変申し訳ございませんでした」
受付さん、僕も同じ気持ちだよ。うんうん。お姉さんとは仲良くなれるかもしれない。あっでも僕コミュ力低いんだった。
「じゃあ登録お願いね。それとなんか依頼あるかな?」
「それが今日から丁度、Bランク以上で依頼を探しているパーティが居たらギルドマスター室まで読んでくれと伝言があります。どうされますか?」
「う〜ん。どうする?エンリカ?」
「そうね、話くらいは聞いてあげても良いんじゃない?」
ランディがくるりと回り後ろで縮こまっていた僕に声を掛ける。
「エドはお金渡すからギルド出たすぐそこにある店で装備揃えておきな。あそこは質も良いし人柄も信頼できる。店主に悪魔の聖騎士のシンボル見せると良い物見せてくれるから自分に合うの買ってね。お金は気にしなくて良いよ」
「そうね。あと、依頼次第ですぐ出るかもだから準備しといてね」
「えっ、すぐ行くんですか?初日ですけど」
僕の言葉を聞いた二人は頭の上に?が浮かび上がる。
「当たり前よ。パーティなんだから」
「うんうん」
ですよね〜。なんか20分位でこの二人の性格は大体分かってきたわ。
「じゃないわ!そうだけどそうじゃない!Bランクの依頼に僕がついて行ったら死ぬよ」
なんて言えるはずも無い。怖い。そもそも言える勇気あったらとっくに抜けてる。
「わっ、分かりました」
「終わったらギルド内のカフェで待っててね」
行ってしまった。僕は初日からギルドマスターには極力会いたくないから良かったかもだけど。取り敢えず依頼が簡単なものであります様に。
大通りに面していて尚且つ容易に真似できない高級感を醸し出している店。
恐る恐る扉を開く。
カランコロン
扉に取り付けられた鈴の音が店内に響き渡る。
数秒後、年で白くなった髪を後ろで束ね、顎髭を生やした老人が出てきた。
「なんだ、新人か、ウチのは高いぞ。新人にはとてもじゃないが手が出せん。新人にオススメの店紹介してやる。だから帰った帰った」
いるいる。こういう店主。でも身の丈にあった店紹介してくれる良い人じゃん。
イメージ通りの店主に感動した後、言われた通りシンボルの形のペンダントトップを見せる。
店主の顔つきが変わった。
おっと、悪魔の聖騎士本当にどんな人なの?
「けっ、あんた、アイツらのお使いなら帰れ」
あ、これはまずいかも。
ここは刺激しない様に落ち着いて。
焦らず今日の出来事を全て打ち明けた。
「という事で僕、今日登録したばかりの新人ですけどちゃんとした悪魔の聖騎士の新メンバーです」
「アイツら、よりにもよってなんちゅう奴入れてんだ。正気かよ」
それが普通の感性です。僕もそう思います。この店主さんとなら仲良くなれるかも。あっでも僕コミ(略)
「何分今日ここに来たばかりであの方達のこと知らないのですが、どんなパーティなんですか?」
「お前大丈夫か?入るパーティのことも知らないで」
ごもっともで。ぐうの音も出ないや。お腹が空いて腹の音はなりそうだけど。
「今日来たばっかなので。えへへ…」
「はぁー。分かってるお前さん?情報収集は探索準備の中でも大事なんだぞ!」
店主は大きく肩を落としてため息をつくと真剣な眼差しで言葉を発した。
「けっ別にお前の為に教えるんじゃないんだからな。俺が教えなかったせいでお前が死んだら俺が気持ち悪くなるだけだからな」
ん?この流れは俗にいうアレではないか?
この店主は結構なツンデレかもしれない。
「まず、アイツら、悪魔の聖騎士がウチの客、要するに他の探索者からなんと言われているか分かるか?」
「いっ、いえ」
「ある探索者は最恐と言う。ある探索者は最凶と言う。またある探索者は最狂と言う。さらに別の探索者は王都最強パーティの一つと言う」
「ふむふむ」
やばいやばいやばい。やっぱりやばいパーティ入っちゃった。しかもこの店に来る程の実力のあるパーティから言われている。
だけどもう抜けられないですよね………。
「話はこの辺にして装備見てやる。ナイフだけはそれなりに良いじゃねえか。他はサッサとやるぞ」
「よろしくお願いします」
買ったのは防具と罠解除用具セット。
上半身は防寒、防火に優れた素材のオレンジ色の長袖シャツに動きやすさを重視した灰色の防具。下半身は黒の地味なズボンに用具やポーションが入るポーチ。全体的に盗賊らしい身軽さ重視の装備にまとまった。
「さっきはあんなこと言ったが、アイツらは悪い奴らでは無いんだ。頑張れよ!」
「ありがとうございました」
店主の激励を受けてギルド内のカフェに行くと二人が既に待っていた。
凄まじい速度で駆け寄っえ来たエンリカに両肩を掴まれ、力強く揺さぶられる。
「依頼行くわよ!護衛依頼!」
脳が揺れる。
本編で書くとテンポが悪くなるのでここに書いちゃおうのコーナー!
1パーティーシンボルについて
パーティーシンボルはその人の所属を表します。また、万が一遭難、死亡の際の身元確認として使われます。
リリスが小さいシンボルをピアスにしてつけている理由は研究時にブレスレットだと邪魔になったり思わぬ事故の原因になる為です。
なお、リリス本人は寝る時に邪魔と感じる為、最近腰につけるか検討中。
2探索者の収入源について
探索者の収入は主に2パターンあります。
一つ目はダンジョン探索。そこで出る魔道具等の成果を売る等して収益を得ます。不安定ですが、当たった時は莫大なお金が入って来ます。
二つ目は依頼です。期間、お金が決まっていて安定して稼げる場合が多いです。依頼のランクは指定がなければ±1ランクまで、その他○○がいるパーティー、○ランク以上などの条件がつくことがあります。条件が厳しいほど、また要求ランクが高いほど依頼料は高くなっていきます。
ギリギリ今日中に間に合った。
これも全部腰のせい




