デトクリ蠍
今日も2話投稿です。
お気をつけください。
僕達は夕食を食べ、交代で見張りをしながら睡眠を取る事にした。
夕食は干し肉、乾パン、デトクリ蠍の鍋。因みにデトクリ蠍は身が岩の様に固く、とてもではないが食べられなかった。
食事も終わり、ランディ達は就寝の準備を始めている。
あれ?少し力が抜けてきた。それにすごく眠たい。疲れが出たのかな?
僕は気絶をする様に眠りに落ちた。
*
「見張り、リリスの番よ」
自分の名前を呼ぶ声と肩の揺さぶりで目を開けた。
「了」
いつも通りの短い言葉で返事をして、目を覚ます運動を兼ねてデトクリ蠍の残骸へと歩き出す。
どうしても納得がいかない点。それは何故、変異種がこんな奥に入り込んでいるのか。
岩を食べるデトクリ蠍は多くは無いが、報告例がある。
また、通常のデトクリ蠍の三倍ほどの大きさも魔物だという事を考慮すれば、考えられなくも無い。
鋏が四つの蠍系の魔物はデトクリ蠍では無いが、僅かにに存在が確認された事がある。
只、これらの三つを全て満たして大きさギリギリの穴を通って【黄蛇の蟻穴】のボス部屋まで迷い込むのは可能性はゼロに等しいだろう。
そこまでだと、人為的に改造されて連れてこられたと考えるのが自然になる。
「何故?」
顎に手を置き、デトクリ蠍の残骸を見下ろす様にして考える。
暫く考えた後、血液から何らかの薬物が投入されたかどうかを調べた。
結果は予想通り黒。
恐らく成長速度、食性、毒を弄り、更に無理矢理二つの鋏を作らせたと見える。
何故?
しばらく歩き回りながら考えた結果、一つの仮説に辿り着く。
『ダンジョン内を荒らす魔物が存在した場合、ダンジョンの難易度が上がるのか。また、ダンジョンに出現するモンスターに何か変化があるのか』
みたいな事を実感したのか。
ダンジョンを意図的に弄るのは重罪になる。
魔物の実験に関しては国の専門機関のみ許可されている。破れば勿論重罪。
現在の研究ではダンジョンは生きているという考えが主流。
ダンジョンの生存本能、それを刺激した場合どんな結果になるのか。他のダンジョンでも行っているのか。行っているとしたら現段階でどんな結果になっているのか。そして何処のどんな人がこの研究を行っているのか。
知りたい!
結果を見るだけなら無罪だから、錬金術師として知りたい。重罪には成りたく無いが、出来る事なら自ら行いたい。
それほど興味を持っていない分野ではあるが、錬金術師の血が騒ぎ、興奮しているのが分かる。
「楽しそうだね、リリス」
「おはよう。そんな顔久しぶりね」
「ん」
興奮冷めやまぬまま他の仮説を立てて考えているとランディとエンリカが起きてきた。外では既に夜が明けてきたらしい。




