69: 手の中 (レオンハルトside)
いつもながら、誤字脱字報告ありがとうございます!!
腕の中で、スースーと安らかに寝てしまったアオイを見て、呆れると共に愛しさと安堵を強烈に感じた。
追いかけて、追いかけて、やっと捕まえた。
小さい頃は側にいるのが当たり前だと思っていた。年頃になってそれが当たり前じゃないんだと気付いて、手を伸ばしたのにはぐらかされた。本気で囲いこもうとしたら、全力で逃げられた。
それでも諦めず追いかけて……。
やっと手に入れた。
そうとうヤバい奴になっていた自覚はある。
でも、さんざん逃げ回っていたくせに、いざというときに呼んだのが俺だったのは、自惚れでも自意識過剰でもなく、そういうことだと思っていいんだろう。
抱き締めたまま、ゴロンと横になる。
ヤバい。
暖かい。柔らかい。いい香りがする。かわいい。顔がニヤける。
このままずっと寝顔を見ていられそうだが、そうもいかない。
「アラン、レナルドに伝えてくれ。アオイも連れて行く、と。そしたら、お前も休め」
襖の向こうから「はっ」と小さく返答があり、気配が消えた。
更には天井にも言わねばならない。
「ハヤテ、リンと共に来てくれるか?」
しばしの沈黙の後、「御意」と小さく残してこちらも消えた。
さすがの俺も聖魔法を最大出力で使ったから、魔力はもうほぼカラッポだ。
アオイとの同調魔法で補わなければ、ヤトから闇を引き剥がせなかった。
あのまま、闇に呑まれるのもヤトの望みだったのかもしれない。でも、悪いが俺はアオイのためにヤトを助けた。
あの暗闇の中で見たアオイの闇。ヤトが呑まれていたら、また自分を責めただろう。
前から知ってはいたが、謙虚を通り越して自己肯定感が低すぎる。
王国の貴族でももっと尊大な態度の娘はいるというのに。
アオイの過去のトラウマや、特殊な環境と立場のせいだとは思うが、俺のことも信用されていないようで癪にさわる。
でも、今俺の腕の中でスヤスヤと眠る顔は安心しきっているように見える。
寝落ち、なんて警戒してる奴の前でしないだろう。
とりあえず、今のところはこれでいいか。
一番大切な宝物を抱き締めて眠る。
もう二度と逃がさない。
彼女が嫌がっても、地の果てまでも追いかけて、必ずこの手の中に……。
心地よい寝息を聞きながら、俺も眠りに落ちる。今までの人生の中で、最高に幸せな眠りだと、思いながら。
短いですが、とりあえずここで一旦区切ります。次回からは2章突入!
よろしかったら、まだレオとアオイの物語にお付き合い下さいませ。




