告白
夜になり、ユウセイはスルトの部屋で今日あったことを話した。
「お〜、仲良くなれたならよかったよ。俺もボードゲーム部入ろうかなー?」
「おっ、入ろうよ!」
「…よし決めた! 入ろっと!」
「やった!!」
次の日の放課後。
今日、スイハは剣の自主練をするということで、ユウセイはスルトと部室に向かおうと廊下を歩いていた。
「あ、あれナティじゃね?」
スルトが言った。
スルトはユウセイからナティのことを聞いたので名前を知っていた。
「あ、ほんとだ」
少し歩くと、ナティが朱色のセットされた髪の毛で背が高い男と一緒に歩いていた。
「あの背高いやつ誰だ?」
「知らないなー」
「まぁ行こうか」
「うん」
「あ、ユウセイ。こっち来てこっち」
ナティは抑えながらもユウセイに届かせようとしている声で言った。
ユウセイとスルトはその声に反応し、ナティに近づいた。
「どうしたの?」
「あれ見て」
ナティはそう言いながら前に指を差した。
指を差した先を見ると、スイハと赤髪の男が一緒に歩いていた。
「は?」
「なんか、大事な話あるから校舎裏に来てくれないィ? って呼ばれてたんだよ」
ナティは吐息混じりの声で言った。
「歩こ。ていうかそれバカにしすぎでしょ」
ナティの横にいた朱色背高がそう言い、抑えめな声量で笑った。
「え、そう?」
ナティはそう言いながら歩き始め、みんなも歩き始めた。
「てかさ、君誰? ユウセイの友達?」
「そうだよ。俺はヌスミ・スルトってんだ。君のことはユウセイから聞いてるよ。ナティでしょ? 友達になろーよ」
「いいよ。よろしく」
「よろしく」
「こいつはタイソって言って、私の彼氏なの」
「どうも、ジュルイ・タイソって言います。よろしくお願いします」
朱色のセットされた髪の毛で、背が高く、朱色の瞳をしている男が言った。
「よろしくお願いします」
そうこうしていると昇降口に着いた。
皆んなは上靴から外履きに履き替え、スイハと赤髪男の後を追った。
「おい告白されるんじゃないか?」
スルトがユウセイの耳元で囁いた。
(そんなん分かってるよ。どうしようどうしようどうしよう)
そのまま皆んなは追い続けると、人気がない部室棟の裏に着いた。
スイハと赤髪の男は向かい合った。
皆んなはバレないように物陰に隠れて様子を見ていた。
「あのさ、俺さ、スイハのこと好きなんだよね。これマジで、だからさ、付き合ってください!」
赤髪男は頭を下げ、手をスイハのほうに伸ばした。
スルトがユウセイに向かって口パクで何かを言った。
(なんだよ!!)
ユウセイはすぐにスイハのほうを見た。
「ごめんなさい」
スイハは頭を下げた。
2人は頭を上げた。
「ちっ、あっそ」
赤髪男は歩いて去っていった。
「ねぇ、気づいてるよ」
スイハはユウセイたちの方に顔を向けた。
「バ、バレてたか〜」
ナティはそう言いながら物陰から出た。
皆んなもそれに続き出た。
「当たり前でしょ。鍛えてるんだから。てか、ユウセイたちもいたの?」
「うん。見かけて、つい」
「そこまでは気づかなかったか〜、あはは」
「誰かまで当てれたら人間超えてるって」
スイハはそう言い、にこりと微笑んだ。
そのスイハの笑顔を見て、ユウセイはこう思った。
(か、可愛い)
「俺ヌスミ・スルトって言います! スイハだよね! 俺もボードゲーム部入ったんだ! よろしくっ」
「あ、よろしく。シュメラ・スイハって言います」
次の日。
今、1のAの剣の授業が始まった。
剣の先生である、黒髪で怖い顔の男、ディエーラ・ズンダルトが喋り始めた。
「今日からは基本グループに分かれて授業を行なってもらう。今までは基礎を学ばせてきた。お前たち1人1人の実力を考慮し、グループを分けた。グループ数は3つだ。1つ目、下位グループ。2つ目、上位グループ。3つ目、魔グループだ。名前を呼ばれたら右のスペースに座れ」
ユウセイは魔グループで名前が呼ばれた。
魔グループは1のA30人中、ユウセイを含めた5人だけだった。
その5人の前に茶髪のセンター分けで、茶色の瞳の、爽やかそうな男の人がやってきた。
その茶髪男が喋り始めた。
「どうもー、初めまして。私はタユール・ショーンと申します。このグループの先生ですっ。よろしくお願いしますっ」
「よろしくお願いします」
ユウセイと赤髪の女が返事をした。
「ちょっとー、もう3人は返事してくれないの??」
「そういうのいいから早くしてください」
青髪で髪が所々跳ねていて、死んだような目に、死んだような黒い瞳をしている男が少し強めに言った。
「確かにそうだねっ。じゃあまずは移動しよっか」
5人は先生の後についていった。
着いた場所は他の特訓場より少し小さめだが、5人で使う分には十分広い特訓場だった。
「ここは他の壁よりも頑丈に作られてるから、多少魔力をぶつけても、斬撃波を放っても大丈夫だよっ。てことで、実は、もうあなた方1人1人のメニューを考えてありまーすっ」
ショーンはメニュー用紙を5人に見せた。
「じゃあこれ1枚ずつ配りますね」
ショーンは5人にメニュー用紙を配った。
「じゃあそれ読んで、それぞれ始めっ。いつでも先生呼んでもいいからねーっ」
ショーンはそう言った後、隅に移動して床に座った。
ユウセイは渡されたメニュー用紙を見た。
(まずは剣を10回振ろう。か)
ユウセイは剣を10回振った。
(次は魔力を速く、頭と首以外の全身に流して、剣を振る)
ユウセイは息を大きく吸った。魔素がユウセイの体内に入っていった。
ユウセイは胸の中心に力を入れた。25秒後、ユウセイの胸の中心に魔力ができた。ユウセイが魔素を魔力に変換したのだ。
基本的に魔素は体内に入れると、胸に集まりやすい。
基本的に、魔素を魔力に変換すると、変換した部位を起点として、身体中へと魔力が広がっていく。
ユウセイの体内に魔素が消えた。
ユウセイは、今身体内にある魔力を維持しながら息を吸った。魔素がユウセイの体内に入って、また魔力に変えた。
(きつい)
ユウセイは剣を振った。少し振る力が強くなっていた。ただそれだけだった。
「ユウセイ君っ、君は振るまでが長いね。もっと速くしないとっ」
ショーンがユウセイの方に歩きながら言った。
「いや、でも、魔力に変換できるだけでも凄いですよね?!」
「凄いよ〜、君の年齢でそこまで使えるのは凄いっ。凄いんだけどね〜、実際の戦闘じゃ負けちゃうよね? 凄いんだけど勝てないと意味ないからねっ」
「まぁ、そうっすけど、どんだけ時間かかるんですか」
「できるまでやる。それだけだよっ。じゃあユウセイ君は、剣の特訓、魔の特訓をやった後に魔力を込めて剣を振ろう」
「はい」
授業が終わり、ユウセイは教室に戻ると、もうスイハは席に着いていた。
ユウセイは自分の席に着いた。
「あ、ユウセイ、どうだった?」
話しかけてきたのはスイハだった。
「それが、すぐに魔力を込めて剣を扱えって言ってきたんだ。すっごくきついよ」
「んー、でもそれが1番強いんじゃない?」
「そうだね」
「まぁ無理に強くなる必要はないよね。強くなりたくて特訓したかったらすればいいと思うよ。でもそれは授業外での話し。授業はちゃんとやろうか」
「うん。確かに。そうだね」
(今まで通り、特訓全振りじゃなくて、特訓、ボードゲーム、読書、そして、スイハと遊ぶ。えへへ。 これでいいや。授業頑張ろ!)
とある休み時間、スルトがユウセイの席に来た。
「おいっ! お前魔力使えんのかよ!?」
「ねぇちょっと、声がでかいよ!」
「あ、ごめん。でさ、お前魔力使えんのマジかよ。すげーな。何で言わなかったんだよ! おいおい」
スルトは肩をユウセイの肩に2回当てながら、明るくいじるような感じで言った。
「ごめん、言う機会なかったから」
「これからは隠し事禁止だぜ。まぁ言いたくないことは言わなくていいけどさ」
「うん。ありがとう」
「でちょっとこっちこい」
スルトはそう言いながらユウセイの手を軽く引っ張った。
「うわっ、何」
ユウセイはスルトに引っ張られ、スルトの席まで連れてかれた。
スルトは自分の席に座った。
「何?どうしたの?」
ユウセイは言った。
スルトが小声で話し始めた。
「いやボードゲームでユウセイとスイハをチームにして、ユウセイがスイハを守ったら惚れるんじゃない?! って思ったんだよ。どう?」
「いやーさすがにそんなんじゃ惚れられないと思うなー」
「そうか、 取られるかもだぞ! スイハ」
「え」
「さっき告白されてたじゃん。スイハ人気なんじゃない?! 取られるかもだぞ! どうすんだ!」
「……告白までの勇気が出ないんだ! 断られるのが怖いんだ!」
「そうか。俺が助けてやろうか?」
「え、いいの?!」
「前言っただろ、何でも頼れって。暇なんだよなー俺。まぁお前が決めろよ」
(…緊張するし、怖いし、死にそうになる…だけど、自分でスイハと付き合いたい!!)
「…分かった。まだいいよ。まだ自分でやりたい。ありがとうスルト」
「おうよ! 頑張れよ」
「うん。マジでありがとう」




