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最高の出会い

 次の日


 ユウセイは教室に入った。

(また水色ショートヘアの子と話してる。仲いいんだな)


 ユウセイは自分の席まで行き、机の右側に剣を置いた。


「ねぇ、君がユウセイだよね?」


 ユウセイは声がした方を見た。

 そこには、スイハと喋っていた水色ショートヘアで、つり目、黒い瞳の子がいた。


「昨日私がユウセイに話しかけてたところ聞いてたらしくて、友達になりたいんだって」

「あ、そうなんだ。よ、よろしく」

「あれ〜、もしかして緊張してるの〜?」

「ちょっと、少しだけ、人見知りなんだ」

「そうなんだ。まっ、よろしく〜」

「うん」

「スイハと仲良くしてやってね」

「はい、もちろん」

「よろしい」

 水色ショートヘアの子は喉を締めたような声で言った後、楽しそうに笑った。


「ナティ、5分前だよ」

 スイハはいつもよりワントーン低い声で、水色ショートヘアの子に言った様子だった。


(うわ、その言い方好き。 てかナティ? 水色ショートヘアの子の名前か?)


「もっといたいぃ!」

「ダメなもんはダメ、遅れないように余裕を持って行動しなさい」

「も〜、分かったよ〜。バイバイ」

 水色ショートヘアの子はちょっと拗ねたように言い、後ろの扉のほうに向かって行った。


「うん、じゃあね」


 水色ショートヘアの子は教室を出た。


「ごめん、圧強かったでしょ?」

 スイハはユウセイのほうを見て言った。


「いや、大丈夫だよ。あの子名前なんて言うの?」

「あ、まだ言ってなかったか。ごめん。ヤマダ・ナティって言うの」

「ヤマダ・ナティね、ありがとう。ねぇ、スイハってさ、部活なんか入ってる?」

「いや、部活動はやってないなー」

「よかったらさ、一緒にボードゲーム部入らない?」

「え! ボードゲーム好きなの?」

 スイハは食いつくように言った。


「うん。好きだよ」

「え! 私も好きだよ!」

「え!そうなの!? めっちゃ嬉しい。一緒に入ろうよ」

「参加たまにでもいいんだよね?」

「うん、いいらしいよ」

「じゃあ入ろうかな」

「よっしゃ!! うっれし! 一緒にボードゲームやろ」

「いいよ。でも、今日は剣の自主練したいから、明日でいい?」

「もちろんいいよ」

「ありがとう」




 次の日の放課後。


「じゃあ行こっか」

 ユウセイはスイハに向けて言った。


「うん」


 ユウセイとスイハは部室棟の2階にある、ボードゲーム部の部室に向かった。


 2人はボードゲーム部の部室扉の前まで来た。

「じゃあ入ろっか」

「うん」


 ユウセイは扉を開けた。

「失礼します」

「失礼します」

 スイハがユウセイに続けて言った。


 中は校舎にある教室と同じような教室で、6人の生徒がおり、席を合わせてボードゲームをしていたようだった。


「なんだ? 見ない顔だな、入部希望者か?」

 部室内にいた制服を着ている黄緑髪でメガネの男が、ユウセイたちのほうを見て言った。


「はい」

 ユウセイは返事をした。


「そっちの女もか?」

「はい」

 スイハも返事をした。


「分かった」

 黄緑髪メガネは棚から2枚の紙と2本の鉛筆を取り、机に置いた。

 置かれた紙は入部用紙だった。


「これに必要事項を記入して職員室に行き、顧問のスグンダル先生に渡せ。そしたら入部完了だ」

「分かりました」

(なんか感じ悪いな。苦手なタイプだ)


 黄緑髪メガネはボードゲームを再開し始めた。

 ユウセイとスイハは鉛筆を手に取り、入部用紙に必要事項を記入し始めた。


(よし、これでおっけー)

 ユウセイは書き終わり、スイハを見た。

 スイハもちょうど書き終わった様子だった。


「じゃあ、職員室行こうか」

 ユウセイはスイハに言った。


「うん」


 2人は部室を出て、職員室に向かい始めた。

「ねぇ、さっきの人感じ悪くなかった?」

 ユウセイはスイハに言った。


「え、まぁ言い方サバサバしてたからね。無駄なく必要な事しか言ってなかったからそこはちゃんとしてるなと思ったけど。ユウセイが苦手なだけなんじゃない?」

 からかうように言った。


「まぁ私もああいうタイプ苦手なんだけどね」

 スイハはそう言った。


「確かに。 スイハってちゃんとしてるね」

「普通にしてるだけだよ? 迷惑かけないように、平穏な生活を送れるように」

「やっぱすげーや」

「普通だよ!」



 ユウセイとスイハは職員室扉の前に着いた。

「ねぇ、ノックしなよね。さっきしてなかったでしょ。大事だよ」


(あー、忘れてた)

「あ、そうだよね。分かった」


 ユウセイは職員室の扉をノックし、扉を開けながら言った。

「失礼します」

「失礼します」

 スイハもユウセイに続けて言った。


「どうされましたか?」

 職員室にいた胸がものすごく大きく、長い黒髪の女性教員らしき人物が、ユウセイたちのほうを見て言った。


(おっぱいでっか!!)

「あの、これ」

「入部届ね。顧問の先生誰か分かる?」

「…なんだっけ」

「スグンダル先生だと思います」

 スイハが、胸でか黒長髪を見て言った。


「あー、それだ。スグンダルだ。スグンダル」

「ちょっと先生つけなって」

 スイハは少し焦った様子で言った。


「あ、ごめん」

 ユウセイは謝った。


「スグンダル先生ですね。分かりました。じゃあ渡しときますね」

「「はい、ありがとうございます」」

 ユウセイとスイハは口を揃えて言った。


 2人はボードゲーム部の部室に向かい始めた。

「ねぇ、ノックしたあとは返事や扉が開くのを待つのが基本でしょ。あと先生の名前呼び捨てってどういうこと?!」

「あ、ごめん。慣れてなくて」

「慣れてない?」

「うん」

(…言ったら嫌われるかも、言ったら嫌われるかも、言ったら嫌われるかも、…嘘つけばバレないのに、…言わなかったらバレないのに、…だけど…言わないで付き合うのは、嫌だ!!)


「小3の時、いじめられたんだ。それで、イラッときちゃってさ、そいつらをボコボコにしたんだ。そいつらの骨、折れたり、砕けたりしてたと思う。俺よりも強い奴が止めてくれて、何とか殺さずに済んだんだけど、あのままやってたら殺してたと思う。それで少年院に入れられて、小3だから本読み放題だったし、ちゃんとした食事も出てきたけど、1年間入ってて、それから外に出て、基本家で暮らすことになったんだ。それからここ入るまでは学校行ってないんだ」

(嫌われたくない、嫌われたくない、嫌われたくない!!)


「…そうなんだ。じゃあ、私が教えてあげる」


(え)


「常識や礼儀、勉強も教えてあげる」

「…いいの? これからも関わっていいの?」

「いいよ。しっかり、常識、礼儀、勉強、学んでよね」

 スイハは柔らかな笑みを浮かべた。


「うん、ありがとう。本当にありがとう!」

「人は殺すためにいると思ってない。私は最高の出会いをするためにいると思ってる。私はユウセイと会えて嬉しいな」

 スイハはそう言い、柔らかな笑みを浮かべた。


 ユウセイの足が止まった。

(…え、…嬉しい…?)

 ユウセイの心臓が速くなっていた。身体が熱くなっていた。


「ユウセイ?」

 スイハは立ち止まったユウセイを見て言った。


 ユウセイの頭の中はショートしていた。


「どうしたのユウセイ?」

 ユウセイの顔はポカーンとしており、反応がなかった。


「ねぇ、どうしたユウセイ?」

 スイハはそう言いながらユウセイの両肩にそっと手を置いた。


 廊下を歩いていた生徒がユウセイたちのほうに視線を向けていた。


「ねぇ」

 スイハはユウセイの顔の前で右手を振った。


「ねぇってば」

 スイハはそう言いながらユウセイの両肩を掴み、軽く揺すった。


「あ、」

 ユウセイが喋った。


 スイハは揺すっていた手を止めた。

「大丈夫?」

 スイハが心配そうな声色で言った。


(ち、近い)


 スイハの顔はユウセイの顔に近かった。


「だ、大丈夫だよ」

「よかった〜ぁ」

「心配させてごめん。俺もスイハと会えて嬉しいと思って、嬉しすぎて止まってたわ」

 ユウセイは少し笑った。


「なにそれ」

 スイハも少し笑った。



 ユウセイとスイハはボードゲーム部の部室扉の前に到着し、扉を開けて中に入った。


「届けてきました」

 ユウセイは黄緑髪メガネを見て言った。


「そうか。僕はデンドニ・ワダル。よろしく。自由にボードゲームやっていいから」

 黄緑色のヨレヨレとした癖のある髪の毛、緑色の瞳で、メガネをかけている男がボードゲームをしながら言った。


 それに続き、他の生徒たちも自己紹介を始めた。


 ユウセイとスイハも自己紹介をし、全員が自己紹介を終えた。


 ユウセイとスイハはボードゲームが沢山置かれている棚の前に立った。

「どれにする?」

 ユウセイはスイハに聞いた。


「じゃあ、これしない?」

 スイハはそう言いながら、カードは命、というボードゲームを手に取った。


「これ好きなの?!」

「うん! もしかしてユウセイもだったりするぅ?」

「そうだよ!! 好きだよ!」

「やった! 嬉しい」

「俺も嬉しい」

(マジか、これ好きなの嬉しすぎる!)


 ユウセイとスイハはカードが命をやることにした。

 机をくっつけ、向かい合わせで座った。


 カードが命とは、マス目が描かれたボード上に自分の駒と相手の駒を1個ずつ置き、その駒はサイコロで動かすことができ、相手の駒も動かすことができる。

 最初は手札3枚所持で始まる。

 勝利条件は相手の10体力を0にした方の勝ち。

 マス目にはダメージを受けるマスや、カードを引けるマスなどがある。

 カードには駒を動かせるカードや、ダメージを与えれるカードなどがある。


「じゃあやろうか」

 ユウセイは言った。


「うん」


 2人は山札からカードを3枚ずつ引き、じゃんけんをした。

 ユウセイはじゃんけんに勝ち、後攻を選んだ。


 1ターン目の先行はサイコロかカード、どっちかしか使えない。


「さぁ、どうする?」

「んー、サイコロ振ろうかな」

 スイハはサイコロを振った。出た目は5だった。

「じゃあユウセイのうーごかそ」

 スイハはユウセイの駒を動かし、ユウセイに1ダメージを与えた。

「まぁ1ダメージだから」



 2人は楽しそうにカードが命をやっていた。



 ゲームが進み、2人の体力は同じで、2体力だった。

 スイハのターンが終わり、ユウセイのターンがきた。


 ユウセイはカードの効果で、スイハの手札を見て、唯一持っていたガードカードを捨てさせた。

「あ、もう」

「これでスイハは俺の攻撃を防げないから俺の勝ちだ」

 ユウセイはそう言い、持っていた2ダメージカードを出した。


 スイハの体力がゼロになった。

「あーもう」


 ユウセイは楽しそうに笑った。

「イェーイ!」

「悔しい」

 スイハは悔しげに眉をひそめていた。


(なにその顔、可愛い)

 ユウセイはそう思った。

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