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第8話 「スポーツを愛する男」

ある日の昼休み。



弁当のフタを開きながら。




「俺、最近バスケ行きよるんよ」



突然ユージが言った。





(またか…今度は何目的?)




周りにいた全員、極力目を合わさないようやり過ごす。




「社会人のやつなんやけど」



構わず続ける。




「へぇ…」


ヒロシが一応気を(つか)う。




「男女混合なんよね!」




やはり理由は “ そこ ” だった。





(アンタ…彼女一筋は???)




「彼女さん怒らないんです?」


ヒロシが珍しく攻めた。




すると少し興奮気味に反論する。




「お前と一緒にすんなカトゥ!」



「女の子おるけど友達だろーが!」





(ハァ…いるんだよねぇ、話しただけで友達って言うヤツ)




「女がおるってだけですぐ浮気者扱いしやがる」



「マジメか!」




言いたいことは山ほどあるがーー


ヒロシは反論せず弁当を食べる。




話は続くーー




「実はバレーもやりよる」




空気が少し止まる…





(嫌な予感…)




「【ハイキュー!!】見とったら無性にバレーやりたくてな」





(ん?本気か…)





「で!ママさんのやつ入った!」





(はい嘘っ!【ハイキュー!!】に謝れ!!)




やはりそうだった。



誰も何も言わない…




「レシーブの時のフォームが好きなんよね」



「それ見たくて入った」





(おっ、言い換えたな!?)



しかし誰も何も言わない。




少しして――




「でもスポーツってええよな」



「青春って感じで」



「汗かいて」



「お尻のラインとか…」





(出てる…出てるよ本音が…)




全員がそれとなくヒロシを見る。



ヒロシは呆れ顔で(うなず)く。




「そ…そうですね」



ユージは満足そうに笑う。




「俺、ほんまスポーツ好きやけ」



その言葉に全員が違和感を感じる。





(物は言いようだな…)



ヒロシは何も言わない。




「カトゥ今度来る?」




「…いや、大丈夫です」


即答だったーー




「まぁええわ」



「不純な動機で来られても周りが迷惑するしな」




そう言うと、ユージはファ○チキにかぶりつく。





 (そりゃアンタだろ)




「目の保養になるのに…」





(不純にも程があるなコイツは…)



やはり誰も何も言わない。




しかしーー


1つだけ確かなことがある。




この男は――



スポーツをしているのではない。



自分の行動を正当化する “ 理由 ” を追いかけている。



だが――


本人だけは、そこに気づいていない。



周りに迷惑をかけている人間というのは基本そんなものだ。




澄ました顔でユージは言う。




「俺、基本真面目やけーなぁ」




答えるものは誰もいない…




“ 真面目 ”その言葉だけが、悲しいくらいに浮いていた。

次回  第9話 「栗園シュウヘイという男」 (5/20 水)


今回も最後まで読んでいただき感謝いたします。

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