第28話 「婚約をする男」(中編)
その日の午後ーー
現場。
現場に着いても、不機嫌そうにしてまったく仕事をしないユージの姿があった。
それを見た、シュウヘイが小さな声で聞く。
「加藤さん何かあったんですか?」
「ヤシーのヤツめっちゃ怒ってません?」
ひどく疲れた感じでヒロシが答える…
「どーも今度は、結婚するとか言ってるよ…」
「えっ?マジすか」
隣にいたトモヤも食いつく。
呆れた感じでシュウヘイが言う。
「何でまた結婚なんすか?」
「どーせ、いい様に騙されてんでしょ?」
「いや…俺も一応先輩だから心配になってね、怪しくないですか?って聞いたら…ああなった」
「多少攻めすぎたとは思うけど…」
トモヤが笑いながら言う。
「ほんとガキですね、あのオッサンだきゃ」
「もう、ほっといたらいいんじゃないですか」
その言葉に、ヒロシが真顔で答える。
「ちょっと前にヤシーが言ってたんだけど…」
「エリって女がもし裏切ったら…絶対○すって言ってたんだよね」
「教えてくれないからって勝手に、Googleア○スで家の位置まで調べてるらしいし、何かリアルじゃない?」
(あの男ならやりかねん…)
シュウヘイもトモヤもそう思いはしたが、怖くて口にはしなかった。
そんな話を三人がしている背後から、怒声が飛ぶ!!
「あーイライラする!カトゥさっきの続きや!!」
咄嗟にシュウヘイとトモヤが割って入る。
「林さん、何怒ってるのか分からないですけど、加藤さんにキレるの筋違いでしょ」
「加藤さんは心配してくれただけっしょ」
「なんやお前らカトゥの味方かい!」
「俺の敵になるんやな、覚悟しとけよ!!」
ヒロシが呆れた感じで諭す。
「あのですね林さん、何でいつも敵か味方の二つしかないんですか?」
「後輩が先輩の心配したらダメなんですか?」
「あん!心配?お前エリの悪口ゆーただけやろ」
シュウヘイが口を挟む。
「第三者の俺らからしたら、林さんには悪いけどその話メチャクチャ怪しいんすけど」
「加藤さんは、それを伝えようとしてくれただけでしょ!どこにキレる必要があるんです」
トモヤも続く。
「大体元旦那いるのに、結婚もしてない人間に簡単に150万も催促します普通…」
「うっ、グッ…」
どうやら本人も《《そこ》》が引っ掛かっていたらしく、何も言い返せない。
「な、なら悪口なんか言わんと最初から心配してるって言えやボケ!」
(だから何回も言ってんだろ、このバカ) ×3
三人はイラッときたが面倒なのでこれ以上の問答はやめた。
「じゃ、じゃあ俺はどーすりゃええんや」
ユージの問いかけを、トモヤがバッサリ斬る。
「何で俺らにばっか頼るんすか、自分の人生でしょ自分で好きに決めたらいいじゃないすか」
どうやら若いトモヤは我慢の限界だったらしい…
「な、なっ…何でやと、お前らが心配しとるゆーたんやろーが!」
トモヤが、小さくタメ息をつく…
「俺らが心配してんのは、林さんがとんでもない事しでかすんじゃないかって事っすよ!」
「裏切ったら殺○、とか言ってるの知ってんすよ!」
「なっ…おま、当たり前やろーが!こっちは人生、捧げとんじゃ!!」
「裏切るなら、それくらいされても当然やろ!!」
(マジでヤベーなコイツは…)
収拾がつきそうにないとみて、ヒロシとシュウヘイが間に入る。
「まぁ林さんもちょっと落ち着いて下さい」
「トモヤもちょっと落ち着こーや」
鼻息が荒くなった二人を二人がなだめる。
その時だった!…
「離せやカトゥ!もう分かったわ」
「婚約して逃げれんようにすりゃえーんやろが!!」
突然叫びだすユージ…
「うおぉぉぉ…婚約じゃあぁぁぁ!」
その雄叫びと同時に終業のベルが鳴り響いたーー
まるで……
《《人生》》のゲームセットのような光景だった。
今回も最後まで読んでいただき感謝いたします。




