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第26話 「偽りの名を冠する男」

世の中には多種多様な人間が存在する…




この物語の中でも一際(ひときわ)異彩(いさい)を放つのが皆さんもご存知のとおり…





【モレノ兄弟】である。





まことしやかに(ささや)かれる、噂と呼び名はすでに『都市伝説』と化していた…



(※まことしやか…真偽不明な事柄を、いかにも本当らしく語るという意味)





『実はまだ他にも“モレノ”っているらしいよ…』



『清潔な人は “モレノ”にはなれないらしいよ…』



『マウントとりすぎると “モレノ”予備軍になるらしいよ…』






など…


一人歩きを始めた、その噂もまた様々である。





しかし、並の変人程度では【モレノ】を(かん)することはできない。



(※冠する…ブランド名など、特定のタイトルを(かんむり)のように頭につけることで、意味を持たせる表現)






ここに一人の中年男がいる。



名前をーー




       【宮根屋(みやねや)オサム】

              (通称 チャピ())




43歳  【既婚】  





常々この男こそ第三の“モレノ”ではないかという噂が絶えない…




確かに彼は一見普通の中年男ではあるが、お金が(から)むと異様な執着(しゅうちゃく)を見せる…




確かに彼は“モレノ”になりうる、可能性は秘めているだろう。






しかし、この地には“モレノ三欠(さんけつ)”という言葉があるーー




簡単に説明すると、“モレノ”の名を(かん)する男たちに絶対不可欠な三つの要因(欠点)のことである。




非常識(ひじょうしき)


不道徳(ふどうとく)


易怒性(いどせい)


(※怒りの感情が高ぶりやすく、過剰(かじょう)に怒りやすい状態)





この三つを兼ね備えてはじめて、 “モレノ”を名乗れる覇者(はしゃ)となるのだ。





それから考えるとチャピ男は普通の中年男でしかなかった。






しかし、人の噂とは怖いもので…




勝手に、【チャピー・モレノ】の名は一人歩きを始めていた。





何故そうなったのか…



後日分かったことではあるが…



彼が、




      【チャピー・モレノ】




と呼ばれる裏側には、 “モレノ三欠(さんけつ)”の存在を知らない大衆心理が働いていたのだ。





確かに “モレノ”は往年のフィリピン人大女優『ルビー・モレノ』さんからきているらしいが…





それを履き違えた大衆によって彼は、 “モレノ”の名を勝手に背負わされたのだ。





だがーー


大衆が()き違えるのも、あながち間違いではない…



彼は本場のインド人やフィリピン人に、間違えて声をかけられる程に……





        “顔が濃かった“





それはもう日本人の域を、軽く飛び出す(ほど)に………





こうして彼は、本人の知らないところで…



偽りのまま “モレノ”の名を(かん)する男となった……







      【チャピー・モレノ】よ…



          

              永遠なれ……




今回も最後まで読んでいただき感謝いたします。



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