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第24話 「恐るべし、その男」 

突然だが、ユージの会社の後輩たちは子煩悩(こぼんのう)が多い。




加藤ヒロシもその一人ではあるが、

一見地味なこの男、栗園シュウヘイは実は密かにスゴかったーー




愛妻家であり、子供の面倒もよく見る、そして何より家事も炊事もそつなくこなす。


(※そつなくこなす…物事を要領よく、無難にやり遂げるという意味)





まさに、松岡○宏もビックリ!




      “ 家政夫のクリゾノ ”



                なのだ!!




今回はそんな彼の夫婦が経験した『分かると怖い物語』をお話しよう……。





シュウヘイの娘は【バレーボール】をやっている。

スポーツ好きの彼は、妻と共に子供の習い事にもいつも全力でサポートしている。



強豪チームに所属する娘は、まだ小学校低学年ながら有望な人材らしい。




その日は、近隣の町のチームが一堂に会する大きな大会だったーー



試合会場の大きな体育館には、多くの選手、父兄や関係者でごった返していた。





その時!


豪快なエンジン音と共に、一台の黒塗りの車が会場に入ってきた。



確かに駐車場は満車状態ではあったのだが、その車は何事もなかったかのように駐停車禁止スペースに駐車をした。



バンッーー



車から一人の男が降りてきた、全身黒のスウェット、ハンドポケット、周りが振り返るほどのイキり(よう)ーー



しかし、シュウヘイは気づいてしまった...





(ヤシーじゃねーかよ…何でこんなとこにいるんだ?てゆーか常識無さすぎだろアイツ!)




すると突然大衆を気にもせず…




「○○○どこやーっ」



どうやら人を探しているらしいが、全くデリカシーの欠片(かけら)も品性もない。



そして、その横には似たような体型、似たような顔で何かに怒っている(ばぁ)さんが立っている…どうやら母親らしい。





(プッ…そっくりだな)



シュウヘイは思わず吹き出しそうになった。




とりあえずの忙しさもあり、シュウヘイは見て見ぬふりのまま会場へ…




妻と合流した途端妻が言う。




「シュウヘイ変な人がいる」


「ずっと変な目で、女の人見てる…」


「あっ!あの人、ほらこっち見てる」





シュウヘイは振り返るーー






          ……ヤシーだった。





「えっ?ずっとこっち見てるよ気持ち悪い…」





「いや…あの…一応会社の先輩なんだよね」


「ちょっと挨拶してくるわ」





「えっ?ゴメン先輩だったんだ…一緒に挨拶行くよ」





「いい!」





「えっ?だって先輩でしょ挨拶しとかなきゃ」





「いーからお前は先に中入ってろ!」



そう言うとシュウヘイはユージのもとへ向かう。





「オ、オザース」






「ん?おーゾノおったんかい」






(嘘つけ気付いてたくせに…)




「何してんすか林さん?」





「いや姪っ子の試合あるけ、試合は大抵来とるよ俺は」






(見たことないし)





「で?一人かゾノ?」





「ええ…まぁ」





「……ふーん」





「じゃあ娘の試合あるんで失礼します」



シュウヘイは急いでその場を後にした。





結局その後すぐにユージの姿は体育館から消えていた……車と共に。





その後試合の終わった娘と合流すると娘が言った。




「ねぇパパ!太っちょのオジサンとお友達?」



「ずーっとママのこと見てたよ、笑いながら」




!!?




その言葉で背筋に冷たいものが走るーー


夫婦はゆっくりと顔を見合わせた。





確かに先日、今日嫁と試合に行くとヒロシには話したが、その時ユージは離れた所にいたはず…





恐るべし、モレノの奥義(おうぎ)ーー




     【盗み聞き】





季節外れのリアル怪談を体験した栗園夫妻だった……




今回も最後まで読んでいただき感謝いたします。



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