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第23話 「続・バイトを探す男」 

調停成立から数日後ーー



現場にて。




「いやぁ、やっぱ人間愛の為に生きるって最高やな」



誰に言うわけでもなく突然ユージが(つぶや)く。



誰も何も言わない…





「そーいやカトゥ、ゾノ」




突然思い立ったように二人を呼ぶ。




「はい…」


「何すか?」





「俺バイト始めることにしたけ、どっか良いとこないか?」


「エリに送ってやる金稼がんとな!」





(また始まったよ…)




「ないですね」


「ないす」



即答ーー


巻き込まれる前に二人は線を引いた。




「早っ!」


「何や使えんの」


「…まっ自分で何とかするか」





(コイツ…お前にだけは使えんとか言われたくないわ)



シュウヘイは喉元まで出かかった言葉を無理やり飲み込んだ。





それを察したヒロシが言う。



「コンビニで18時から22時くらいまで、週3もやれば5万くらいにはなるでしょ」




「は?無理!」




「え?」




「その時間は家におらんと怒られる」





(お前がバイトするって言い出したんだろーが)



シュウヘイが怒りでプルプルしている。





それを見たヒロシは更に続ける。




「林さん、そこまで林さんの都合で高時給のバイトって少ないと思いますよ」



「時給安くても自分の許容時間と環境重視した方が長続きするし、チリツモ精神ですよバイトは」



さすがヒロシである、良いことを言う。





しかし…ユージが鼻で笑う。



「あのなーお前ら働き方改革っての知らんのか?」



「本当に何も分かってない奴らやの」





(分かってないのはお前だよ!)



さすがのヒロシもイラッとした。




だがーー



横のシュウヘイはもう限界だったようだ。




「は?働き方改革くらい知ってますよ」



「てゆーか彼女からの電話待つ為に21時には家にいないと怒られる?何すかその理由、家にいなくても電話くらいできますけどね」



「絶対働く気ないでしょ!舐めてんですか仕事」





(言ってしまった…)



そう二人が思うより先に、ユージのスイッチが入った。




「おい!ゾノ」




目をカッと見開き早口で(まく)し立てるーー



「遠距離恋愛ってのはな、相手の時間に合わせてやることができなきゃ続かんのじゃ!」



「お前遠距離したことないやろ」





(そもそも遠距離関係なくね?てゆーか目がイっちゃってるよ目が……怖い)




「まぁ…ないすけど」





「ほらみろ!そんなんじゃお前、絶対遠距離とか無理やけ」





(何言ってんだコイツ…結婚してる俺が今さら遠距離するわけないだろ)





だがーー


シュウヘイはそれ以上は何も言わなかった…



興奮したサルのようにムキになっている姿が、とてつもなく気持ち悪かったからだ。





「俺はな平日はエリの為に21時には絶対家におるし、週末はいつ連絡があっても対応できるようにずっと家におる!」



「それが遠距離を成功させる方法やし、愛っちゅーもんやろうが」




目が完全にイってる。





(ただ他に相手してくれるヤツがいないだけなんじゃ…)



二人はそう思ったが面倒なので黙っていた。




結局、ユージが半ギレしただけでこの話は終わることとなった…




周囲の人間は改めて “ヤシー・モレノ” の恐ろしさと異常さを再認識した。




ヒロシとシュウヘイの二人も改めてこう思った……





(コイツはヤバすぎる…深く関わらんとこ)




現場に吹く風が一際(ひときわ)寒く感じる一同であった。

今回も最後まで読んでいただき感謝いたします。



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