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第20話 「訴えられた男」(中編)

     【調停期日通知書(呼出状)】



調停(家事調停)が始まると、家庭裁判所から「特別送達」という郵便で、主に期日通知書、調停申立書の写し、事情説明書、回答書(※進行に関する照会)が届く。



これらの書類には調停の日時、場所、相手方の主張が記載されている。



決して無視は出来ない…。






翌日ーー



昼休みーー喫煙所。




昨日以上に、不満をあらわにしたユージと牛田タツオの姿があった。




「おいユージ気持ちは分からんでもないが、どんな理由であれ今回は手を出したお前が悪い」



「とりあえず俺の知り合いの弁護士さん紹介してやるから話だけでも聞きに行ってこい」





「いや…金かかるやないすか」





「安心せー初回は無料だとよ」





「ま、まぁ…牛っつぁんがそこまで言うなら行ってきますわ」





「現金な奴やの…」



「おいユージ1つ言っとくぞ!この件に関しては人にベラベラ喋んなよ!!」





一瞬ムッとした表情を浮かべるが…



「分かってますよ子供じゃあるまいし…」




そう言ってユージはトボトボと喫煙所を後にした。





しかしーー



この話はその日のうちに社内中の知る事となっていた。



タツオは一瞬固まったがポツリと(つぶや)く。




「やっぱアイツに喋んなってのが無理な話か…やれやれ」







その日の夜ーー




「ちょ、ちょっと待ってーやエリ!」




「は?もういいから」




「いや…誤解だって俺何も悪くないもん」




「はぁ?妹殴った上に顔蹴ったんだよね?」


「女殴る奴マジ無理!」


「二度と連絡してくんなクズ」





「いや、違うんだってそこまで強くやってないけ」


「あのクズが大袈裟に言ってるだけだし」





「クズはアンタでしょーが!」


「とりあえずアンタとはもう終わりだから!!」




プツッーー通信を切られた。




「クソッ何でや、何で俺がこんな目に遭うんや…」







次の日ーー





昨日より更に色濃く……不満を全身からあらわにしているユージの姿があった。



エリにフラれたショックも上乗せされて一睡もできなかったようだ…




そこへ牛田タツオがやって来た。




「ユージなんやその顔?」




「牛っつぁん……何で俺ばっかりこんな目に遭うんすか!」


「エリには二度と連絡してくんなって言われるしロクな事ないじゃないすか!!」





「ワシに当たんなや、全部お前が()いた種やろ」


「それに良かったやないか、あのクソ女と別れられて」


「マジでよく考えてみーや、お前を本当に大切に思ってる女なら、絶対こんな時だからこそ支えてくれるもんなんだよ」


「結局あのクソ女はお前をカモくらいにしか思ってないゆーことやろ」





「エリに限ってそれはないす!!」


「牛っつぁんは何も分かっとらん」



少し興奮気味にユージが叫ぶ!





タツオは一瞬黙るが…



「まぁ、そりゃええがユージお前弁護士さんのとこへは行ったんか?」





「は?行くわけないっしょ!俺は何も悪くない」


「そんなんよりエリの方が問題なんすよ!!」





人の心配を気にもせず…


   その日は来ることになる。







数週間後ーー



第一回調停にて。



彼は実の妹にーー



      

      “1000万”




            請求された。





「は?嘘やろ?……」


「何でや?」




   ーー第一回調停終了ーー





結局ーー




   “ 何も分かってない ” のは




     タツオではなく、この男であった……。




今回も最後まで読んでいただき感謝いたします。



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