第26話断絶そして新たなる地
光が、弾けた。
「――ッ!?」
視界が白に染まる。
エリナとレインの名前を叫んだはずなのに、声はどこにも届かない。
そして――
落ちた。
「……っ」
地面に叩きつけられ、しばらく呼吸ができなかった。
「はぁ……はぁ……ここ、どこだよ……」
起き上がる。
森。
だが普通じゃない。
空気が重い。
なんか、ずっと嫌な感じがする。
「……気持ち悪ぃな」
とりあえず周囲を見る。
誰もいない。
(エリナもレインも……いないか)
小さく舌打ちする。
「ステータスオープン」
『アナシュ・クライン
LV: 34(限界突破)
HP: 2800/2800
MP: 1000/1000
SP: 4300/4300
平均攻撃力: 2600』
確認。
問題なし。
「……まぁ生きてるだけマシか」
そう思った、その瞬間
(……なんかいるな)
視線を感じる。
でも、見えない。
音もない。
「……気のせいじゃねぇよな?」
少しだけ警戒して、ゆっくり振り返る。
――いない。
「いや、いるだろ絶対」
そう呟いた瞬間。
「いるぞ」
「――ッ!?」
声が、すぐ後ろからした。
反射で飛び退く。
そこに――
男が立っていた。
黒いマント。
剣。
それだけ。
見た目は普通。
……なのに。
(なんだこいつ)
分からない。
強いのは分かる。
でもそれ以上に――
“分からない”。
「面白いな」
男が言う。
「気づいたか」
「いや、気づくわ普通に!」
思わずツッコむ。
「気配消しすぎだろ!」
「そうか?」
本人は本気で分かってない顔をしている。
(なんだこいつ……)
「……で、誰だよ」
「ザック」
「いや短ぇよ!」
名前だけ。
情報ゼロ。
鑑定
「……鑑定」
試す。
『ザック
LV: ???(測定不可)
HP:???
MP:???
SP:???
平均攻撃力:???』
――見えない。
「は?」
もう一回。
ノイズ。
崩れる。
「いやなんでだよ」
普通に困惑する。
「バグってんのか?」
「見えねぇか?」
ザックが覗き込んでくる。
「いや見えねぇよ!」
「そうか」
あっさり納得するな。
「じゃあ試すか」
「は?」
次の瞬間――
視界から消えた。
「……は?」
一拍遅れて。
「遅い」
「ぐっ!?」
衝撃。
地面に叩きつけられる。
「ちょっと待て!!」
思わず叫ぶ。
「なんでいきなり殴ってくんだよ!?」
ザックは普通に答える。
「強さを見るためだ」
「説明しろよ先に!!」
意味が分からない
「もう一回行くぞ」
「いや待て待て待て!!」
全然待たない。
また消える。
「はや――」
ドンッ
吹き飛ぶ。
「ぐはっ……!」
(なんだこれ……)
強いとかそういう次元じゃない。
一方的すぎる。
「……お前さ」
地面に寝転がったまま言う。
「もうちょい段階踏めよ……」
ザックは少し考えて。
「すまん」
「軽いな!?」
「だが分かった」
ザックが言う。
「お前、そこそこ強いな」
「そこそこかよ……」
「この辺じゃ死ぬが」
「急に現実突きつけてくんな!」
「ついて来い」
「は?」
「一人だと死ぬ」
「いや急だな!?」
「来るか?」
シンプルすぎる。
(なんなんだこいつ……)
意味が分からない。
ペースもおかしい。
でも――
(強いのは間違いない)
リードが静かに言う。
『行け』
『この男は当たりだ』
「……分かったよ」
半分呆れながら立ち上がる。
「とりあえず説明はしろよな?」
「気が向いたらな」
「向けよ!!」
ザックは歩き出す。
何も言わずに。
アナシュはその後ろを歩きながら、ため息をついた。
「……なんかとんでもないのに絡まれた気がする」
だが――
その出会いは、確実に。
運命を変えるものだった。
高評価コメントお願いします




