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ある転移者の人生~王国から見捨てられた俺は地道に最強目指します~  作者: ナイトさん
第一章 赤鬼の悪魔

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第21話古代遺跡突入

遺跡の最奥。

空気が、明らかに違った。

重い――いや、“沈む”。

「……なんだよ、これ……」

思わず声が漏れる。

呼吸するだけで、肺に何かが絡みつくような感覚。

魔素とは違う。

もっと――濁っている。

「気をつけろ」

低い声。

振り向くと、ガルドが前に出ていた。

その背中だけで分かる。

今までとは別人レベルの緊張感。

「ここから先は……本物だ」

静かに、だが確信を持って言う。

その時だった。

――カツン。

乾いた音が、奥から響いた。

全員の動きが止まる。

次の瞬間。

「……来たか」

誰かが呟く。

暗闇の中から、“それ”が現れた。

小さい。

子供ほどの体格。

だが――

「……は?」

アナシュの思考が、止まる。

赤い。

全身が、血のような赤。

そしてその目は――

「……空っぽ……?」

感情が、ない。

生きているのに、生きていないような目。

「そいつが……」

ガルドが低く呟く。

「赤鬼の悪魔だ」

――その瞬間。

空気が“潰れた”。

「ッ……!!」

全員が膝をつきかける。

圧。

存在だけで押し潰されるような感覚。

「……嘘、でしょ……」

エリナの声が震える。

「こんなの……戦う相手じゃない……!」

『……桁が違う』

リードの声すら、わずかに重い。

『これは“戦闘力”という次元ではない』

(……なんだよ、これ……)

鑑定を試みる。

「……鑑定――」

だが。

ノイズ。

視界が歪む。

『――ERROR』

『対象の解析に失敗しました』

『ステータス――概念外』

「……は?」

理解が追いつかない。

(概念外……?)

「見えるか?」

ガルドが短く聞く。

「……見えない」

「だろうな」

即答だった。

その目は、すでに“覚悟”を決めている。

「お前らは下がれ」

「は!?何言って――」

「下がれ」

圧のある一言。

空気が凍る。

「これは……俺たちの領域だ」

そう言って、前に出る。

その背中に――

圧倒的な存在感。

「……鑑定」

思わず、アナシュはガルドを見る。

視界に情報が浮かぶ。

『ガルド・ヴァルガス LV63

HP:4200/4200

MP:180/180

SP:2100/2100

平均攻撃力:3200

【サブスキル】『戦闘技術(極)』『剛力』『鉄壁』『威圧』『見切り』『統率』

【魔法】なし

【技】大断撃/地砕き/連続破砕/戦陣指揮』

(……は?)

言葉を失う。

(強すぎるだろ……)

今まで見てきた誰よりも、圧倒的。

エリナすら霞むレベル。

(これが……Bランク……)

だが。

それでも。

赤鬼の悪魔は――

一歩も動いていない。

ただ、立っているだけ。

それだけで。

「……チッ」

ガルドが舌打ちする。

「やっぱりか」

次の瞬間。

――消えた。

「な――」

誰も反応できない。

ドンッッッ!!!

衝撃。

ガルドの体が吹き飛ぶ。

「がっ……!!」

壁に叩きつけられる。

「ガルドさん!?」

一撃。

たった一撃で。

あのガルドが――

「……今の、見えたか?」

誰も答えられない。

アナシュも。

エリナも。

レインですら。

「……クソが」

ガルドが立ち上がる。

口から血を吐きながらも、笑っていた。

「最高じゃねぇか……」

その目は――戦士の目。

だが。

「――次で終わるぞ」

レインが低く言う。

「これは戦いじゃない。“処理”される」

冷静な判断。

正しい。

だが。

「……じゃあどうすんだよ」

アナシュが呟く。

誰も答えない。

その沈黙を破ったのは――

「……俺が行く」

「は?」

全員が振り向く。

「クライン、お前――」

「分かってる」

震える足。

それでも、前に出る。

「勝てないのは分かってる」

拳を握る。

「でも――」

赤鬼の悪魔を見る。

その“空っぽの目”を。

(こいつ……)

(戦ってる顔じゃねぇ……)

(……苦しんでる顔だ)

「放っておけねぇだろ」

静かに言う。

リードが、わずかに息を呑む。

『……我が主』

「行く」

一歩、踏み出す。

その瞬間。

赤鬼の悪魔の目が――

わずかに動いた。

「……あ」

初めて。

“反応”した。

アナシュを見た。

ほんの一瞬。

ほんの一瞬だけ――

そこに、

“人間の感情”が、揺れた。

「……やっぱりな」

アナシュは、笑った。

「お前――人間だろ」

空気が凍る。

ガルドも、レインも、エリナも。

誰も動けない。

赤鬼の悪魔が――

初めて、口を開いた。

「……コロ……シテ……」

掠れた声。

壊れた声。

だが確かに――

“意思”があった。

アナシュの目が、見開かれる。

(こいつ……)

(助けを求めてる……!)

拳を握る。

「……分かった」

静かに言う。

「助けてやるよ」

その言葉に。

赤鬼の悪魔の目が――

わずかに揺れた。


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