第18話中層の支配者
中層の奥に足を踏み入れた瞬間――
空気が変わった。
「……これ、別物ね」
エリナが低く呟く。
「さっきまでと違うな……重い」
呼吸するだけで、体に圧がかかる。
『魔素濃度がさらに上がっている。ここからが本番だ』
リードの声が静かに響く。
その時――
ガシャッ
金属の擦れる音。
「……来る」
影から現れたのは――
全身を骨の鎧で覆った魔物。
「スケルトンナイト……!」
剣を構え、ゆっくりとこちらへ歩いてくる。
だが――
“ただのスケルトンじゃない”。
「……鑑定」
視界に情報が走る。
『スケルトンナイト(中層個体) LV18
HP:600/600
MP:0/0
SP:700/700
平均攻撃力:980
【サブスキル】剣術/耐久強化/不死性
【特性】痛覚なし・関節破壊で停止』
「硬いな……!」
「任せなさい」
エリナが踏み込む。
「はぁっ!!」
――キィン!!
剣と剣がぶつかる。
「っ……重い!」
スケルトンナイトの一撃を、エリナが受け止める。
だが押されない。
むしろ――
「遅いわよ」
一瞬で懐へ。
「斬ッ!!」
――バキンッ!!
関節を正確に破壊。
スケルトンナイトが崩れ落ちる。
「……相変わらずバケモンだな」
「褒め言葉として受け取っとく」
軽く笑うエリナ。
だが、その直後――
ズルッ……ズルッ……
地面から“何か”が這い出してくる。
「……今度は何だよ」
それは――液体のような魔物。
「スライム……?いや、違う」
色が黒い。
そして――
空気が歪む。
『気をつけろ』
リードの声が鋭くなる。
『魔力を喰う個体だ』
「……鑑定!」
『ブラックスライム(中層変異種) LV20
HP:450/450
MP:300/300
SP:∞
平均攻撃力:300
【サブスキル】魔力吸収/自己再生
【特性】物理攻撃半減・魔法吸収』
「……最悪だな」
「魔法効かない系ね」
エリナが剣を構える。
「斬るしかないってことか」
だが――
剣が触れた瞬間。
ジュウッ……
「っ!?」
「魔力が……吸われる!?」
『触れるな。削られるぞ』
「じゃあどうすんだよ!」
『“純粋な衝撃”で吹き飛ばせ』
「……なるほどな」
拳を握る。
「行くぞッ!!」
踏み込み。
「烈風拳!!」
風を纏った拳が叩き込まれる。
――ドォン!!
衝撃でスライムが弾ける。
再生しようとするが――
「連撃!!」
エリナの高速斬撃。
分裂した核を一瞬で破壊。
――消滅。
「はぁ……めんどくさい敵ね」
「中層、こんなんばっかかよ……」
『その通りだ』
リードが淡々と言う。
『だが――』
少しだけ間。
『この先に“主”がいる』
奥へ進む。
魔物の数が減る。
代わりに――
静かすぎる。
「……これ、完全に」
「ボス前ね」
エリナが剣を握り直す。
そして――
広い空間に出た。
天井が高く、円形の部屋。
中央に――
“それ”はいた。
巨大な体。
牛の頭。
筋肉の塊のような腕。
巨大な斧を持つ存在。
「……ミノタウロス」
エリナが低く呟く。
『来るぞ』
リードの声と同時に――
ドンッ!!
地面を踏み砕き、突進してくる。
「速っ――!?」
「下がって!!」
エリナが前に出る。
「鑑定!!」
『ミノタウロス(中層ボス) LV28
HP:5000/5000
MP:100/100
SP:2500/2500
平均攻撃力:3800
【サブスキル】怪力/突進/闘争本能/再生(小)
【特性】怒り状態で攻撃力上昇』
「……強すぎだろ」
「でも――やるしかない」
エリナの目が鋭くなる。
「クライン、正面は任せるな」
「ああ」
拳を構える。
ミノタウロスが咆哮する。
「グォォォォォ!!」
空気が震える。
圧が、違う。
だが――
アナシュは一歩踏み出す。
「……来いよ」
『いい判断だ』
リードが呟く。
『これは“勝てる戦い”だ』
エリナが笑う。
「死ぬ気でいくわよ」
「ああ」
二人同時に動く。
中層ボス戦――開幕。
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