11話初めてのダンジョン②
静寂の中、ゴブリンを倒した直後――
「……はぁ……はぁ……」
息が荒い。
(思ったよりキツい……)
エリナは平然としている。
その差が悔しい。
(どれくらい差があるんだ……)
「……鑑定」
小さく呟く。
視界に情報が浮かび上がる。
『エリナ・ブルーム LV7
ステータス
HP:520/520(緑)
MP:0/0(青)
SP:480/480(黄)
平均攻撃力:800(赤)
【サブスキル】『戦闘技術』『瞬発強化』『直感』
【魔法】なし
【技】斬撃、連撃、踏み込み強化』
(……やっぱりか)
「どうしたの?」
エリナが振り返る。
「いや……やっぱお前強いな」
「当然でしょ」
即答だった。
「私はスキルなんて持ってない分、全部積み上げてきたんだから」
その言葉に、少しだけ重みを感じた。
この世界の人間は――スキルを持たない。
だからこそ、サブスキルと技を極める。
「お前らって全員そうなのか?」
「そうよ。スキルなんて使えるのは“転移者”だけ」
「……そうか」
改めて実感する。
(俺は……特別なんだな)
だが同時に――
(それでも負けた)
赤鬼の悪魔。
ゴルド。
強い奴らはみんな、スキルなんて使っていなかった。
『勘違いするな』
リードの声が割り込む。
『スキルがあるだけで強いわけではない』
(……分かってる)
拳を握る。
その時。
奥から気配。
「まだ来るわよ!」
再びゴブリンが現れる。
今度は三体。
「……来いよ」
構える。
その瞬間――
『鑑定』
リードが促す。
視界に表示。
『ゴブリン(ダンジョン個体)LV3
ステータス
HP:120/120(緑)
MP:20/20(青)
SP:90/90(黄)
ATK:65/65(赤)
【サブスキル】『群体行動』『奇襲』
【技】連携攻撃』
(やっぱり連携してくる……!)
左右、そして後ろ。
囲む気だ。
「チッ……!」
だが――
『落ち着け』
リードの声。
『数を見ろ。動きを読むのだ』
視界を広げる。
呼吸を整える。
(右、左、後ろ……)
(先に動くのは――)
「そこだッ!」
踏み込む。
「疾風脚!!」
一体を吹き飛ばす。
エリナがすぐに追撃。
「はぁっ!」
斬り伏せる。
「連携、悪くないじゃない」
「たまたまだ!」
だが――
悪くない。
今まで一人で戦ってきた俺にはなかった感覚。
(これが……パーティか)
戦いが終わる。
静寂。
そしてまた――
体の奥に流れ込む感覚。
「……また来た」
『魔素の取り込みだ』
少しずつ。
確実に。
強くなっている。
エリナが剣を肩に担ぐ。
「で?どう?」
「……正直、舐めてた」
「でしょ?」
ニヤリと笑う。
「でも」
顔を上げる。
「悪くない」
エリナが満足そうに笑う。
『いい兆しだ』
リードの声。
『貴様は今、“戦いながら成長する段階”に入った』
(……ああ)
ダンジョンの奥を見る。
暗い。
深い。
まだまだ先がある。
『ここからが本番だ』
『スキルを持つ者と、持たざる者』
『その差を――どう埋めるか』
拳を握る。
「……行くぞ」
「当然」
エリナが前に出る。
二人で進む。
ダンジョンの奥へ。




