第8話希望の星ホープ刑事
「メールが来たのは今朝だッ!!ヴィアはまだ生きてるッ!!!!」
「一人より、二人でいた方が安全です!私も一緒に行きます。」
頼む、無事でいてくれ。
「よし、まずは酒場だッ……!!」
「飛ばしますよ!!」
ブロロロロ……
夕暮れの物陰から静かに蠢く、赤い影があった。
成り行きをずっと見守っていたのだろう。ロットに財布を投げつけたフードを被った人物が、息を潜めていた。
「やっと見つけたわ!」
◇ヴァロン酒場店内
「……いない?」
「昨晩、友人の家に泊まると言ったきりだ。それ以降は見ていない」
酒場のマスターは無骨に答えた。
「アイスゲームの戦略を練るんだと」
「そもそもあいつはどこに住んでる」
「彼女は2年前に、ここにやってきて働いてる。どこに住んでるかは知らん」
んな、適当な……採用はどうなってんだ!
「と、とにかく。どこへ行ったのか探しましょう!」
すかさずドイルがフォローする。
「南だ、いつもその方角に帰ってる」
「よしっ!ドイル運転を代われ!」
「免許持ってるんですか!?」
ブロロロッ……!!
「……まずいですね」
「なんだってんだ?」
「こっちはアーサーさんの遺体があった付近です。恐らく……」
「ポリか」
警察が検問を敷いてやがる。ご苦労なこった。
「この辺を担当してる、たぶんホープですよ。迂回しましょうか」
「怪しまれる。このまま行こう」
「……って何してるんですか!?」
ギュロロロ!無理やりアクセルを全開にする。
既に車が2台止まっている。
ピピーッ!
「はい、はーい止まって」
若くはない。30代くらいのチャラそうなポリ公だ。
「今ねこいつらを探してるの、配達員のロットと自称探偵のドイル」
「ここだけの話、彼らは殺人犯なんだ」
「……知らないな。見たこともない」
空気に切れ味が存在するのか、長い沈黙が走る。
「……………………」
「心なしか、顔が似てるような……?」
俺達は精一杯の変顔を作った。
「うーん、怪しいからちょっと来てくれる?」
「逃げるぞッ!俺のドラテクを見せてやるぜ!」
再び、アクセルを全開に踏み倒すッ!
パンッ——
拳銃が消炎を上げた。
「で?……なんで逃げたの」
「ひぇえ……決して怪しいものじゃないんです」
「そうそう、名乗っていませんでしたね。俺は担当の……」
◇ナタール警察署内別室
――後ろタイヤを弾丸1発で狙い撃ちって、一体何者なんだよ。
さっきの30代くらい警官とは別人だった。中年の太ったおっさん。
「どーもー、ロットさんにお聞きしたいことがありましてね。いや私は、ナタール署のホープと申します」
「はぁ……」
「疑ってるわけじゃないんですよ。ただね、今バタバタしてますから、ちょっとお話をと思いましてね」
こりゃ疑ってるな……。
「昨晩、酒場でアーサーさんとお話ししてましたよね——」
「ああ……」
「その後どこ行ったのか、ご存じありませんか?」
「生憎、一緒に店を出て別れてそれきりだ」
「ほーほー。そうですか。そうですか」
メモを取りながら、わざとゆっくり話してるのか。イライラするなこいつ。
「では、ヴィア女史について」
ヴィア……。
ダンッ!!!!
「こんなことしてる場合じゃない!ホープと言ったな、ヴィアが行方不明だ」
「えーえー。その件についても順を追って説明しますから」
「本名ヴィア・アストレイア、18歳。昨晩、酒場で仕事のあとに行方不明……」
ホープは手元のメモに目を落としたまま、淡々と続けた。
「その後、川で惨殺死体が発見されました」




