第22話王宮への三叉路
目覚めると、すでにお昼になっていた。警戒しながら久しぶりに帰った自宅だったが、特に変わった様子もなく爆睡した。
それに、初日のアルバイトはクタクタだった。イルテたちのおかげで、退屈はしなかったがな
「面会謝絶・・・?」
「お見舞いに行ったら、断られてしまったの・・・」
昨日、酒場でフルールが言っていたことだ。なら、今日の予定はどうしよう。
そういや、ヴィアって酒場に住んでるのか?行って、聞いてみよう。
軽く、余りもので食事を済ませ、酒場に向かう。
「こんにちはー」
「開店前ですよ・・・、あら、ロットさん・・・」
フルールがキッチン奥から出迎えてくれた。
「昨日は世話になったな!」
今日は酒場で情報収集だ!昨日客から聞いた話だと、明日10月31日は予定通り、アイスゲームが行われるそうだ。
あんな事件が起きたのに、そもそも俺は出るべきなのか――?
しかし、出る以外に選択肢もない。
「ヴィアとディヴィの手がかりを探してる、警察が来る前に協力してほしいんだ。」
「ヴィアはここに、住んでたのか?」
素直に聞いてみた。
「そうですね、ヴィア姉様は‥‥私の義父ルガンが連れてきた女性です・・・」
なに・・・?
夕方に休憩が取れます・・・その時まで、2階で待っていてください・・・。
ここは、大人しくしたがっておこう。フルールには悪いが、勝手に手がかりを探させてもらうか。
「豪華だな‥‥」
1階は簡素な酒場なのに、2階はまるで王宮だ。元貴族だったりするのか?謎が深まるばかりである
たしか、奥の部屋って言ってたな。従業員室が0~6の番号、シャワールーム、客間となっている。奥の部屋――ここが客間のようだ。
「ここだ」
シャワールームの隣りに位置する。中は談話室のような感じだった。貴族の宿屋っぽいイメージをもった。
「さすがに、覗いたりはしないが調べさせてもらうぜ。」
早速、部屋に監視カメラや盗聴器がないか確認する。――なんでシャワールームの隣りなんだろう。
「よし、安全は確保した。ん・・・?隣から声が聞こえてくる」
「おーほっほっほ! 見なさいケイ、このキメの細かい泡を! 令嬢たるもの、髪の一本にまで慈しみを持って洗わなければなりませんわ。さあ、大人しくこの私に頭を預けなさいな!」
「……。……ふあ。……イルテ、声、響く。……お風呂、眠い……。……適当で、いい……」
ケイは湯船の縁に腰掛け、こっくりこっくりと首を折る。
「ちょっと、寝るんじゃありませんわよ! 石鹸が目に入ったらどうするのです! ほら、俯いて!まったく、13歳にもなって自分の髪も満足に洗えないなんて、本当に手のかかる子ですわね」
文句を言いながらも、イルテの手つきは驚くほど優しい。細い指先で、ケイの頭皮を丁寧にマッサージするように洗っていく。兄妹でもいるかの如く慣れた手つきだ。
「……。……イルテ、指、気持ちいい。……そこ。……ずっと、やって……」
「調子のいいことを言わないの! 私はあなたのメイドではありませんのよ? ……でも、まあ、あなたの髪は細くて柔らかいですから……こうして洗ってあげていると、なんだか……小動物のお世話をしている気分になりますわね。おーほっほ!」
「……。……イルテ、おっぱい、当たってる。……邪魔。……顔、ぶつかる....」
「なっ……!? な、何を言っていますの、この不届き者は! 私の発育は、もうすでに完成の域に……ああっ、動かないでくださいまし! 泡が飛ぶではありませんか!」
「……。……。……(返事がない。湯船に落ちかけている)」
「……もう、本当にわがままなガキんちょですわ。……でも、まぁ。起きてる時よりは、少しだけ.....可愛げがありますわね(小さく微笑みながら、お湯でそっと泡を流す)」
「 さあ、ケイ! 流し終わりましたわ、シャキッとなさいな!」
後ろからケイの身体を支えるが、完全に弾力に乗っかっている。
「……ん。……。……イルテ、次、体。……洗って....」
「おーほっほっほ! 図に乗るのも大概になさいなーーっ!」
ドタバタ
シャワールームから楽しそうな声が聞こえてきたがあえて無視して捜索を始める。
これは、本だ。表紙に身に覚えがある。
ペラッ
アーサー王伝説。王様が騎士に裏切られる話だっけ。ページを進めるとボロボロの絵本だった。
なんじゃこりゃ、読めねえ。さっさと本棚に戻す。
ん?間に何か挟まってるぞ。本棚の隙間に紙が見える。
「これは・・・」




