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四半期3位!!アイスマジック 死んだ少年が母の肉体で蘇り真相を追う!?  作者: 薬屋がいる限り1位無理!tanakatakusi
第2章 4女ディヴィアの誓い 学園ラブコメカードバトル編

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第21話空と海と大地と女

 本の隙間に、それは挟まっていた。

 1枚の写真。

 引き抜いて、光にかざす。

 色褪せた紙の上で金髪の少年と青髪の少女が、どこか知らない場所に立っていた。二人ともこちらを向いていない。まるで、撮られていることに気づいていないようだった。

 少年の横顔に見覚えがある。

 少女は——知らない。ヴィアじゃない。


 紙の質感が、指先に引っかかる。褪色の具合、角の擦れ方。随分と古いものだ。撮られたのは、おそらく俺が生まれるより前だろう。

 懐に収めて、部屋を出る。

 ――正面の執務室だ。


 廊下に意識を流す。イルテたちの気配は、もうどこにもない。それでも足音を殺して扉の前に立つと、予想通りだった。

 ガチン。

 鍵がかかっている。

 靴ベラの裏から、細い金属片を二本取り出した。自作のピッキングツールだ。鍵穴に差し込み、慎重に角度を探る。


 ガチャガチャ……

 カチャッ。

「……一発か」

 呟きが、自分でも間の抜けた声に聞こえた。もう少し手こずると思っていた。

 扉を押して、中へ入る。

 まず天井を見た。次に四隅。カメラの類は見当たらない。盗聴器は探しながらやるしかない。

 本だ。

 壁という壁が、床から天井まで本で埋め尽くされていた。書棚が三方を囲み、机の上にも、床にも、資料の束が積み上がっている。埃の匂いがした。長い時間をかけて積み重なった、紙と黴の匂いだ。

 手あたり次第に漁る。引き出し、棚の奥、資料の束、封筒の中身。

 机の底に手が届いた時、指先に紙の感触があった。

 剥がす。

 一枚の紙が、テープで貼り付けてあった。


 ▼ アイスゲーム優勝者への贈呈品リスト ▼


 ・不老薬アイス

 ・北極海洋および南極海洋の支配権

 ・ブランカ村 領土移譲権利書

 ・アストレイア女学院 在籍女生徒 一同


 動けなかった。

 どのくらい、そこに立っていたのかわからない。


 紙の上の文字を、もう一度なぞった。三度なぞった。読むたびに、背骨の奥で何かが冷えていく。優勝者への商品。北極と南極の支配権が。ブランカ村が。そしてアストレイア女学院の女生徒たちが、まるで家具の目録のようだ。

 懐にたたんで収める。手が少し震えていた。

 ――もう後には退けない。


 望むところだ。

 もう一度棚に戻る。並んでいる顔ぶれはどれも無難だった。「アイスの製法と歴史」「商業法・契約書の基礎」「ブランカの地理と気候」「薬草と薬効の辞典」——書店の棚に並んでいても不思議じゃない。

 だが一冊ずつ手に取ると、どれも背表紙が擦れていない。

 読まれた形跡がない。

 本棚の側面を軽く押した。ずると全体が横にずれた。裏にもう一段。

「アクマ学」「人体組成学」「波動力学」——背表紙を順に目で追いながら、俺は酒場のカウンターに立っていたマスタールガンの顔を思い出していた。10月23日。不愛想に酒を注いでいた男だ。

 この部屋を使っていたのが、あの男だとしたら。

 アストレイア女学院の卒業アルバムが一冊、隅に押し込まれていた。なぜここに?           ——表紙を開いた手が止まる。


 1ページ目。

 2つの顔が塗りつぶされていた。名前ごと丁寧に。

 誰が消したのか。なぜ消したのか。消された二人は今、どこにいるのか。


 三つの問いが同時に浮かんで同時に消えた。

 棚の最奥に手が届いた。


 小さな箱だった。オルゴールほどの大きさで、蓋の中央に小さな窪みがある。鍵穴ではない。何か特定の形をしたものをはめ込む仕組みだ。

 心臓が、大きく鳴った。

 間違いなく初めて見る箱のはずだった。なのに指が窪みの縁をなぞった。形を確かめるように。思い出すように。


 開け方を知っている。

 頭の中ではない。記憶の中でもない。もっと深い場所骨かあるいは血の中に刻まれたような確信だった。

 俺はこの箱をどこかで——

 廊下から、足音が近づいてくる。


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