第19話黄色い旋律イルテ
「おや‥?あまり驚かれていませんねぇ」
前にも疑われたからな。――前にも?いや、俺は初めてのはずだが??
「予想できたからな」
それっぽい事を答えておこう。
昨日バタバタしていたし、一人になったのはステージホールに向かう時だけだ。
人目があるから、俺やディヴィを狙うならステージホールの裏や控室前じゃないと無理だ。
「ディヴィはステージホールで襲われた」
「えぇ、なのに同じ状況にあった、あなたは生きている」
「・・・・・・」
「我々の捜査を、あなたに仕向けるためにね。」
この刑事、俺を疑ってはいるだろうが、勘が良すぎる。――アイス家に恨みでもあるのか?
なら、話が早い
「ディヴィを守ってくれ、また狙われる。」
「既に捜査員を配置しています。」
そうかと短く返事をする。
何かあったら連絡してください。そう言い捨て、タバコを吹かしながら去っていった。
そういえば、昨日偉そうな太ったじじいこと、ウサが来なかった事も関係があるのだろうか。話しそびれてしまったな―。
先生に挨拶だけして、帰ろう。俺に出来る事は・・・
ん?ケータイにメールが入っていた。ディヴィからだ。
時間からして、昨日の昼のようだ。
「絶対に優勝しましょう!」
ははっ。運営で忙しいだろうに、最後まで優勝にこだわってたな。
そうだ、ケイの様子も気になる。
休校だから、酒場にいるだろうか。ちょうどオープンする時間だ。
「行ってみるか」
酒場へと自然と足が動いていた。
「いらっしゃいませ・・・」
出迎えたのは、銀髪のでかい女だった。
「ロットだ。ディヴィの友人だ。ケイはいるか」
「!」
「そう、ロットさんが学院の転校生なのね・・・」
正確には留学生だが、ディヴィかケイが話したのだろうか。
「あぁ、ケイが心配で顔を見に来た。」
あの子なら・・・。と
「――いた」
ぬいぐるみを抱えながら、床で寝そべっている。
それに、周囲を見渡すと酒場で初めて見る、明るい黄色の髪。
「音楽室にいた奴――」
「あら、こんな所でお会いするなんて。今日は演奏する暇はなくってよ!」
髪を振り乱しながら、給仕として働く
「そういえば、名前聞いてなかったな。ロットだ。」
「私は、イルテ。」
「ここヴァロン酒場の、看板娘よ!」




