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四半期3位!!アイスマジック 死んだ少年が母の肉体で蘇り真相を追う!?  作者: 薬屋がいる限り1位無理!tanakatakusi
第2章 4女ディヴィアの誓い 学園ラブコメカードバトル編

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第12話波及する奏者

 蛍光灯の下スポットライトのように照らされた少女。そもそも地毛がかなり明るい黄色の髪だ。

 ピアノに座っていた時は分からなかったが、女生徒にしては背が高い。だいたい160センチくらいだろうか。


「こんな時間まで、アイスゲームの実行委員かしら?」


 首を少し傾げる彼女の表情は、不思議そうでもあり、どこかあえてとぼけているようにも感じる。


「いや、音が聴こえたもんでな」


 前に音楽室から聴こえてきたのはハープの音色だったが、今日はピアノだ。他の部員もまだ何人か残っているのだろうか。


「――お前も、アイスゲームに参加するのか?」


 少なくとも、こいつは3年生じゃない。今日、校内のクラスは一通り見て回ったからな。だったら、本人に直感的に聞いてみる方が早い。


「お前だなんて、失礼だわ! 私は出場者ではなく、奏者としてよ」


 ――あなたが本戦に残っていれば、間近で聴けますわ。

 そう言って、彼女は高らかにクスクスと笑った。典型的なお嬢様のようだ。今にも「おーっほっほ」とか言い出しそうな気品と少しの尊大さがある。


「それではご機嫌あそばせ――」


 すれ違いざま、ふわりと甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 ヴィアやディヴィも相当な美形だと思ったが、彼女はどこかアイドルっぽい華やかな可愛らしさを持っている。学校じゃさぞかし男子人気が高いに違いない。


 ◇


 夜。俺はいつも通り、アーサーの家にいた。

 まだ家主は帰っていない。代わりに帰り道の路地裏で『白』を拾ってきた。


「にゃーあ」

「なぁ白、俺たち命を狙われてるんだぜ?」


 当の白に問いかけても、気の抜けた「にゃあ」しか返ってこない。仕方がないので、俺の頭の中にいる『妄想白』と脳内会話をすることにした。


『ご主人、ゲームの勝率は半分もないんじゃないかにゃ?』

『ヴィアやアーサーがいるとは言え、優勝は人頼みじゃにゃぁか』


 ――こいつ、猫のくせに言いづらいことをズバズバと……!

「うるせぇ! 最悪3人の内誰かが勝てばいいんだよ!」


『あまいにゃ!』


 ボコっ!!


 妄想の中で強烈な一撃を喰らって吹っ飛ばされた。猫パンチって威力じゃねえぞ。


『そもそも不老薬が本当にあるのかにゃ。交渉が決裂した場合、ご主人も含め皆殺しにゃ!』


「怖えーこと言うな! どうせ金持ちばっかり来るんだからよ、いざとなったらヘリを奪えばいいんだよ、ヘリを!」


『あまいにゃ!!』


 今度は視界がホワイトアウトした。妄想白、恐るべし。


「――何やってんのよ。ついにあんたの本性が出たわね」


 気がつくと、キッチンから冷ややかな視線を送るヴィアが歩いてきていた。

 白にボコボコにされる妄想をしながら、床にひっくり返って一人でジタバタとじゃれ合っていただけだ。失礼なこと言うんじゃねえ。


「いやらしい」

「妄想を飛躍させるんじゃねえ!」


 むしろこの状況から変なコトを連想して考えているお前の方が、よっぽどいやらしいだろうが!

 しかし、アーサーの奴は一体どこで何をやっているんだ。しゃーない、ちょうどいいからヴィアに明日の練習相手になってもらうか。


「お前をボコす戦術を練ってたんだよ。白と一緒にな!」

「私相手じゃ一生無理よ」


 ヴィアはふっと不敵に微笑む。

「――心でも読めない限りね」と、小さく付け加えた。


 何が言いたいんだろう……? 俺がヴィアの気持ちを読めてないってことか?

 そういやこいつ、前にイルテって奴に負けてたな。


「非公式戦でアーサーが無敗、お前が1敗、俺が50敗……」


 改めて数字にしてみると、こいつらの強さはやばすぎる。ほんとにゲームは初めてか? と疑いたくなるレベルだぞ。


「私たちの勝率を上げる為よ。協力してあげる」

「なんだ手伝ってくれるのか」

「命がかかっているもの。……私の分もね」


 ヴィアはカードを分けながら、容赦のない条件を突きつけてきた。

「0時までに私から3勝できなければ、校内戦は徹夜で臨みなさい」

「むちゃ言うな!」

「ここで私に勝てないなら、アイスゲーム本番の優勝なんて無理よ」


 チッ、ぐうの音も出ない正論を言いやがって……! 分かってるよ。

「よし、改めて再戦と行こうじゃないか!」


 ◇


「ただいまっ」


 深夜、アーサーがどこか軽快なトーンで帰ってきた。

 外で運動でもしてきたのだろうか、心なしか少しスッキリした顔をしている。


 結局の所ヴィアとの勝負は深夜遅くまでかかってしまった。

 時間切れという形にはなったが……ギリギリ3勝した。今回は最低限の睡眠時間は確保できそうだ。


「フン――最低限度ね」


 ヴィアはそう言い捨てると、そっぽを向いて部屋を出て行ってしまった。どうやらシャワーを浴びるらしい。

「おい、家主のアーサーが帰ってきたぞ!」

「まぁまぁ」

 不満を漏らす俺を、アーサーが苦笑しながら宥める。


「明日の校内戦、楽しみだね」

「お前は余裕だろ」

「本番はそんな事関係ないさ」


 相変わらず、どこまでも爽やかな男だ。

「どこ行ってたんだ? 心配したぜ」

「仲間を増やしにね。――おや、いい勝負をしてるじゃないか」


 アーサーは机の上に残された戦績表を見て、楽しそうにニコニコしている。

 本番は俺たちの命がかかっているってのに、やっぱりこいつもどこかネジが飛んでるというか、イカれてるな。

 アーサーはそれで満足したのか、持ってきた資料を読みながら、いつの間にかソファで眠りについていた。


 ……よし、俺も寝るか。

 まず明日――いや、もう今日か。校内戦、絶対に勝つ。

 根拠はないが、この戦いが、俺たちの未来を大きく変えるような気がしてならなかった。

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