第18話真犯人
ついに酒場の明かりが消えた。……どうやら姉妹たちが寝静まったようだ。
最初に酒場に来た時は、変な占い婆のせいで調子が狂ったがやることに支障はない。
盗聴器から音は聞こえない。1階には誰もいない。
いざ、裏口から侵入する。
前と同じだ。ヤバいであろう2階も織り込み済みだ。しかし、怖いもんはどうしても怖い。先に2階を確認しよう。
ギシッ。
暗くてよく見えない……。だいたい部屋は7部屋ある。他にも空き部屋はあるだろう。張り詰めた空気と、水面のような静けさだ。
部屋に番号がふってある。
(シフト通りの番号の部屋に微かな気配を感じる……)
「ん……?」
これは——。
ガツンッ!!!
「ぐっ!?」
脳を激しく揺さぶられる。
(殴られた!?いや、肩を切られたッ!)
(いつの間に後ろに——これは戦うしかない……)
警察署からくすねた特殊な銃だ。弾は入っていないから威嚇するしかない。
ポンッ。
「!!!!」
敵が驚いている。俺じゃないぞ……?誰かが1階から煙幕を投げ込んだ。
(誰だ——ドイルか!?)
急いで2階を出て裏口を目指す。
タタタッ……
「そりゃ追ってくるよなッ!鼻からわかってんだよ!」
階段から逃げ切るッ!!
豪華な作りの窓を見て異常に頑丈だと予想した結果、2階から華麗に階段下へ飛び降りる選択を取った。
「成功っ!!!」
あとは外へ逃げ切るだけ!ドイルは!?先に行ったかッ……?
キョロキョロ。
(酒場の裏に来た。あとは路地裏まで行って合流しよう。朝になるまで、そこで過ごす)
(思ったより肩も切れてねぇ……)
傷口をなぞる。ピリッと電流が走る。
パチッ。
深夜の暗がりの中、懐中電灯の明かりが俺の目の中に虹の円を描く。
「ドイルか……!」
「大丈夫でしたか?」
「煙幕、ナイスタイミングだった」
「はい?」
「なんだ、違うのか」
マジかよ。あの場にいた奴で味方がいたのか。それとも姉妹の誰かが助けたのか?
「ロットさんの職場にあったバイクの回収と、路地裏に行って2か所目の拠点作りをしていました。その後ずっとここにいましたよ?」
「……誰かに助けられた」
「それより、ケガしてるじゃないですか」
「寝れば治る。それに犯人の確証も得た」
「傷口から見て凶器はノコギリ——ヴィア殺害犯と同じだ」
「ノコギリをぶん回して解体までできる奴なんて、酒場のメンツじゃフルールだけだ」




