第12話七色の看板娘たち
「あっけなさすぎる……」
肩透かしもいい所だ。全てが出来すぎている気もする……。まるで、誰かに誘導されているみたいだ。
「そんな事より、さぁ中に行きますよ!」
カラン。
「いっ——いらっしゃいませえっーーーー!!!!」
(うおぉ、とんでもない美人!)
赤髪にルビーのような瞳をした少女。十代半ばといったところか。メイド服に身を包み、片方の耳を出し、リボンで結んでいる。
サイドテールって奴か。
「……2人でお願いします。」
「奥の席へどうぞっーーーーーー!!!!」
(こんな元気な奴が酒場にいたのか)
チラッ
(マスターのルガンがいない。いつもカウンターにいるのに)
代わりに銀髪の女がせっせと調理している。
「ドイル、ここでは食うな」
「なんでですか?」
「ここは一番疑わしい。マスターはヴィアの行先を知っていた。一服盛られてもおかしくない」
「……食べてるふりして服に隠せ、ちょうど服が汚れてるお前ならいける」
◇
「お待たせしましたっつーーーーー!!!!!」
「ご注文は以上でしょうかっっ!!!!いつでもお呼びくださいっーーー!!!!」
普段、アーサーとヴィアとばかり話していたからな。あいつらが居ない分、店員の顔や動きがよく見える。
キョロキョロ。
女が3人。赤髪の元気な奴、カウンターにいる銀髪長身の奴……床で寝そべってる黒髪の小さな子、小動物か?
なるほど、これだけ美人しかいねえならヴィアがサボってた理由もわかる。
んで客のこいつらは、昼間っから美人店員目当てか。こちらの動きが目立たない分、都合がいい。
今は最低限の情報収集だけして本命は夜——ルガンをおびき出す!
「いっただきまーす」
ドイルの呑気な声が聞こえた。……本当に大丈夫か、こいつ。
◇ヴァロン酒場カウンター
「姉さまっ!マスターはどこへ行ったのよ!」
「いつもの事よ……」
銀髪の姉はおっとりした口調で赤髪の妹を諭す。
「ケイは寝てるしっ!!!!」
「あの子はあれが仕事なのよ……」
「もうっ!!!!姉さまはいっつもケイに甘いんだからっ!!!!」
「ディヴィは普段通り、ホールをお願い……」
◇ヴァロン酒場内
酒場の店員にあるまじき態度で、床に寝そべってる小動物に話しかけてみるか……。
「俺もよく床で寝てるぞ、昨日も土管で寝たせいで、身体中筋肉痛だ」
「……ケイは寝てるんじゃない……よ」
「……死体ごっこ」




