EP13 事情把握
累計数10000突破!!
皆さん読んでくれてありがとうございます。
ではどうぞ!!
「まぁとりあえず、どこでもいいから座ってくれ。別に罠なんて仕掛けてないからな。」
「う・・・・・うむ。」
「・・・・・・・・」
どうも異世界で生活している玲音だ。
今俺は先程助けた二人の女性に事情を聞く為に、モリサの森にある俺の家まで案内してきたところだ。
二人はゆっくり頷くと、近くにあった椅子に腰をおろした。
俺はそれを確認しながら、二人の容姿を確認する。
一人は、おそらく俺と同じ年だと思われる体つきの女性だった。
髪は緑そのものと思えるくらいの綺麗なエメラルド色
そして瞳は、それに似合うかのような黄色だ。
服装は、ひと眼で見てもまるで貴族である様な、高そうな純白のドレスにこれまた高貴そうなサファイア色の指輪を右手にはめていた。
靴はこの平原では歩きにくそうな靴を履いていて、よく走れていたのと思ってしまう
もう一方は、彼女よりか二つほどの年上の様な感じがする人物だった。
姿が頭から被っている黒のローブの所為で見えないが、先程治療した際に出した声から判断すると、おそらく女性だと思われる。
そして気なるのは、手に持っている杖だ。
そこから、僅かだが魔力の気配を感じ取る事が出来た。
おそらく、いつ俺が危害を加えるかわからないから、その対処として何時でも臨戦態勢に入っているのだろう。
ここで、この世界の魔法について語っておこう。
この世界には魔法が存在することは以前話した事があると思う。
そこで俺はヴェスランサに魔法について聞くと、彼女は事細かに教えてくれた。
まず魔法を使う上で大事なのは自分自身にある魔力が必要である。
魔力量は人ごとに違い、多い者もいれば、まったくない者もいるといった具合だ。
この世界の魔法は大きく分けると攻撃、補助、治癒の三つの分野に分かれるそうだ。
まず攻撃魔法。これは言わずもかな相手を攻撃する為の魔法だ。
属性が存在し、大きく分けると地水火風の四つに分けられる。
また、火は水に弱い、風は土に弱いといった力関係が存在する。
更に言うが、人ごとに得意な属性もあり、例えば火が得意とする者は、逆に対となる水の魔法は使う事が出来ないという決りがあるらしい。
いや、使うことは出来るが、制御方法がまるっきり異なる為、使われる事は稀なのだそうだ。
その所為か、全属性使えた者は今までいないと彼女は語っていた。
次に補助魔法。これはいわゆるサポートに適している魔法と言えよう。
戦闘の際に、身体の補佐や一種の強化を行う為に使われることが多いらしい。
その他に、治療の際に弱っている臓器の補助等にも使われる事もあるそうだ。
最後に治癒魔法は文字通り治療する為の魔法だ。
大きく分けて、初級、中級、上級の三つのレベルに分かれ、上にいくほど難しさが上がる。
殆どの怪我の治療には、大方治す事が出来るらしいが、失った状態での治療には莫大な魔力と時間を要するので、上級の治癒魔法には多くの人員を必要とする。
また、完全に治るというわけではなく、いわゆる生物の自然治癒の力を一時的に増大させて再生させているだけなので、完全に治るという保証もない。
更に無理に使用すれば、人体に悪影響を及ぼす可能性もあるらしい。
勿論、死者を蘇らせる事は不可能だし、何より成功した前例がない。
過去に何度か挑んだ者がいたそうだが、その者は大概がそのリバウンドで、よくして重傷、悪くて死ぬという結果に終わっている。
以上が、ヴェスランサから聞いた魔法に関する話だ。
次に先程までの経緯を話そうと思う。
俺が辿り着いた時、変な団体さんが二人の女性に攻撃しようとしていたので、幻想創造を使って、ある程度手加減して団体さんを吹っ飛ばした。
因みに使ったのは、アリシラの時に使った「ぶっ飛べ」だ。
なんせ剣や杖を持っていたもんだから、どれぐらいの強さかなと思い、気になって強めに高く飛ばしてみたのだが、如何せん高さの所為か、地面に落下した奴らの内、意識があるのはごく数名だった。
しかも、大抵の奴らは落下の衝撃で骨が折れたりしていたから、ほぼ再起不能に近かった。
その後、団体全員の意識を刈って、更にここ1週間前からの記憶を消しておくという念いりを入れて、全員空彼方に飛ばしておいた。
また仕返しに来られても嫌だしな。
まぁ生きていればの話になるが・・・・・
「ほい水。何か飲んどいた方がいいぞ。」
俺は台所から水の入れたコップを持って二人に手渡す。
「「・・・・・・・・・」」
二人は、渡されたコップを怪しそうに見る。
「・・・・・はぁ。別に毒なんて入れてないぞ。なんなら台所や家中調べてもらっても構わないが。」
どうやら未だに、二人は疑心何義みたいなので、俺は補足として付け加えてみた。
俺としては単に何故襲われていたのかの理由が知りたいだけなのだから。
「・・・・・・・なら、頂くとしようかの。」
と、女性が持っていた水を飲もうとした時だった。
「な!!姫様が先に飲むわけにはいきません!!」
急にそんな事を言い出したかと思うと、杖を持った人が、女性のコップを取ると、中の水を一気に飲み干した。
「あ・・・・」
女性は何か言おうとしたが、もう飲んでしまったので遅かった。
「お・・・・・・」
ローブの人は飲んで空になったコップを見つめながら呟いた。
「お?」
女性も心配そうに見つめている。
そして・・・・・
「・・・・・・・・おいしい。」
ガタッ!!
ローブの人の言葉に、女性は盛大にズッこけた。
「ッ――――!!こらアイリス!!!我を心配させておいて、飲んだ感想がそれか?!一瞬でも心配したわらわの気持ちを考えろ!!!」
「す・・・すいませんエリス様!!」
そう言って、怒涛の言葉攻めをする女性、エリスと言うらしい女性と、必死に謝るローブの人、アイリスは涙目になって謝罪している。
うん・・・・なにこの光景?
「・・・・・・どうしようか?」
二人の光景を見ながら、俺はただ一人で愚痴った。
「ふぅ・・・・・お見苦しい場面をお見せしてすまなかった。」
「あぁ・・・・。」
あれから少しして、ようやく元の調子になったようでエリスが俺に謝罪する。
対し俺も、気にするなと手をひらひらさせる。
「貴様!!」
俺の反応に激昂したアイリスが杖を手に掛けるが、エリスがそれをいさめる。
「これアイリス、気にするな。」
「しかし「アイリス!」ッ!わかりました。」
そう言われ、アイリスは俺を睨みながらゆっくりと椅子に座る。
「すまぬ・・・・うちの部下が無礼を・・」
「いやいいよ。見た感じ、どこぞの貴族かそれ以上の階級の人だろ。動作や言動がそういう感じに見えたからな。そんな人に一般人が普通に接してたら、当然怒るわな。」
俺の言葉にエリスの眉が微かに上がる。
「・・・・なんじゃ、わかってたのか?」
「さぁね。」
彼女の問いに、俺は知らないかのように答える。
実のところ確証があるわけではなかったが、どうやら当たりの様だった。
「ってことは、あんたは・・・」
「うむ・・・・・・察しの通りじゃ。」
そう言うとエリスは立ち上がり、ドレスの端をを掴んで貴族らしい一礼をする。
同時にアイリスは床に片膝をつき、頭を垂れる。
「我が名はエリス。エリス・フォン・カーラスライト。この大陸にある国、カ―ラス王国の王、ダイハート王の一人娘じゃ。」
エリスの言葉に俺は率直にこう思った。
とんだ拾いもんをしてしまった。と
そう思っている間にも、時間だけが過ぎていく
「はぁ・・・・」
月らしき恒星の光に照らされながら、俺は家の外にあるテラスの椅子にもたれながら深くため息をついた。
今の時刻は夜の7時を回ったところだ。
エリス達の事情を聞いているうちに、外が暗くなり始めたので、俺は二人に今日は泊まるよう勧めてみた。
アイリスは即座に反論してきたが、疲労の表情が見えるエリスをみて、結局仕方なくではあったが了承した。
現にエリスは、疲労による疲れの為か、俺が用意した部屋に入ると、即座に眠ってしまっているとアイリスが伝えてきた。
「それにしても、クーデターとはね・・・」
俺はもたれながら、エリス達の言葉を思い出してみた。
「クーデター?」
「はい・・・・」
俺の言葉にアイリスは苦痛の表情を浮かべる。
エリスも顔には出さなかったが、目から涙が今にも溢れそうになっている。
彼女たちの説明を略するとこうなった。
彼女たちの国、カーラス王国は俺が住んでいるモリサの森から東に20キロほど行ったところにある小さな国だ。
緑豊かな土地のおかげで、生産業が盛んで、その恩恵で他の国に資源などの提供することで、他国からの侵略をうけないようにしている。
国内も治安もしっかりしており、特にエリスの父親のダイハート王が即位してからは事件数が劇的に減ったと言われている。
エリスもそんな父の背中に追いつこうと日々、勉強を怠らず、またダイハート王もエリスに溺愛していて、楽しく暮らしてたという。
だが幸せは長くは続かなかった。
エリスがアイリスを含む部下10人を連れて、俺が住むモリサの森付近を視察に出掛けた日の夜、突如王宮内でクーデターが勃発した。
ダイハート王は部下を連れて応戦したが、敵に数で圧倒され、ついには帰らぬ人となってしまったらしい。
エリスがその報を聞いたのは、王都を出立してから二日目のことだった。
すぐさま引き返そうとしたエリス達だが、その直後に恐らくクーデター側の差し金かと思われる賊に奇襲を受けた。
何とかエリスだけでも逃がそうと一人、又一人と部下が犠牲になり、もはやこれまでか思ったときに、俺と出会ったということだった。
「そうか・・・・」
事の事情を聞いて、俺はそれだけしか言えなかった。
なんにしても、事情を聞いた以上、このまま彼女をほっとく訳にもいかなくなってしまった。
幸い、彼女がこの森にいることを知っているのは、俺とアイリスだけだ。
とはいえ、このまま日が過ぎれば、また討伐隊が作られて此処にくる可能性は十分にある。
「お前たちの事情は分かった。」
俺がそう言うと、二人は静かに俺に視線の向ける。
その顔は、親の言葉を待つ子供のようだった。
「聞いた以上ほっとく訳にもいかなくなったしな。もしそちらがいいというなら、しばらく俺の家で匿ってやるよ。」
「「え?」」
二人が眼を見開いて俺を見る。
「何だよ、その眼は?」
俺は二人の反応を見て、問いかけてみた。
「・・・・・・だって・・」
エリスが俯きながら答え始める。
俺も真剣な表情で耳を傾ける。
「だって?」
「・・・・・・・・わらわ達の事情聞けば、直ぐに家から追い出すものかと思ったのだが、予想外の返事が返ってきたからの・・・・」
「・・・・・・おいおい・・・」
エリスの言葉に俺は椅子からずり落ちそうになった。
俺はそこまで信頼されないのかね・・・・ちょっと泣きたくなってきたぞ。
「でも・・・・・・」
「ん?」
しかしエリスの言葉はまだ終わっていなかった。
「そう言ってくれるなら、こちらとしてはありがたいのじゃ。」
エリスは俺に深々と頭を下げる。
「頼む。しばしの間でよいから、わらわとアイリスを匿ってくれまいか?」
その言葉に俺は即答した。
言う言葉は決まっていた。
「元よりそのつもりだ。」
こうして、エリス達が住むことが決まったのだった。
「やれそれ・・・」
エリス達とのやり取りを思い出しながら、俺は何度目かわからないため息を漏らす。
「まぁ、しばらくの蓄えはあるから苦労はしないけどさ。」
元より、家には俺一人しかいないわけだから、食料もだいぶ残っているので問題ない。
(もしもの時は、幻想創造を使えばいい話しだし。)
そう思いながら、俺はゆっくりと立ち上がる。
「いつまでそこにいるつもりだ?」
後ろの家影でこそこそと俺を見ているやつに問いかける、
「・・・・・・・・・」
やがて影から現れたのは、ローブを取ったアイリスだった。
ローブがなくなったためか、彼女の素顔が月の明かりに照らされて露になる。
まず眼に入ったのは、腰まである青紫色の髪。
そして瞳は、俺と同じ黒色
ただその表情は、未だに険しいままだ。
「なんか用か?」
俺の問いに、アイリスは何も答えない。
「・・・・・・・」
返事がない変わりに、彼女は手に持っていた魔法の杖を俺に向けてくる。
「やれそれ・・・・・」
先程と同じ言葉を言いながら、俺はアイリスに視線を集中させる。
どうやら今日やるべきことは、まだ終わってないようだ。
そう思った瞬間、彼女の杖から炎が放たれた。
「おいおい・・・・」
炎はそのまま俺に向かって進んでいき・・・・・
「消えろ・・」
当る直前に、俺の呟きと共に消滅した。
「・・・・・・・・」
それを見たアイリスの表情がさらに険しくなる。
「はぁ・・・」
もう何度目のため息か分からないくらい、俺はため息をついてアイリスを見る。
夜が明けるのは、まだまだ先のようだった・・・
次回はアイリス戦にはいります。
どうなるかはお楽しみに!!
ではまた!!




