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転生した世界の現実は甘くなかった  作者: 蓮華
第四章 京都百鬼夜行

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京都百鬼夜行祭 伍 (画像あり)

※本作中の挿絵・画像は自動生成AIによるものです。

イメージや雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。


なお、キャラクターの容姿や髪型、衣装などは

作中の描写と多少異なる場合があります。

あらかじめご了承ください。

「ようやく来たのだな、少年。遅かったではないか」


セレナはそう言うと、大剣を静かに引いた。


――痛ぇ……。


受け止めたのはいい。

だが、腕が痺れている。

重い、などという言葉では足りなかった。


強すぎる。

ただ一撃受けただけだというのに、両腕の骨が軋み、今にも悲鳴を上げそうだ。


なるほどな……

どうりで、あいつらが一撃で沈むわけだ。

俺はちらりと視線を動かした。


地面には、倒れ伏すクラスメイトたちの姿。

誰も弱くはない。


くさっても探索者ランクA。

御剣家分家やその関係者達だ。

普通なら十分すぎる実力者達。

それでも、セレナの前では、まるで相手になっていなかった。


俺はセレナを睨みつけた。


「これが、お前の狙いかセレナ・アークラディア!」


俺の言葉に、セレナは一瞬きょとんとした顔を見せた。


そして……


「あーっはっはっはっは!」


腹を抱えながら、高らかに笑い出した。

その笑いは嘲笑ではなく、心の底から可笑しいとでも言うような笑い方だった。


「何がおかしい!」


俺が怒鳴ると、セレナはようやく笑いを収め、目尻に浮かんだ涙を指で拭いながら答えた。


「はは……何を言い出すかと思えば……」


そして、小さく肩を竦めた。


「これは必然だよ、少年」


その言葉には迷いがなかった。


「そうだろう? イザベリア第三皇女殿下」


そう言ってセレナは視線を横へ向けた。

その視線の先には、こちらへ駆けつて、倒れた女子生徒たちの救護にあたるイザベリアの姿があった。

その傍らにはヴィヴィアン、鈴凛の姿もあった。


イザベリアは周囲に残った生徒たちへ指示を出し終えると、こちらへ向き直った。


「えぇ、そうですわね。セレナ団長」


俺は眉をひそめた。


「閣下、一条邸で彼女たちと会った時には、こうなることは予測……いえ、確定しておりましたわ」


その言葉を聞いた瞬間、俺はセレナへ視線を向けた。


セレナは口元を吊り上げる。


「イザベリア殿。いくら優秀な子種が欲しいからといって、これはないだろ。」


そう言って、俺を指差した。


「だから良いんですわ」


イザベリアはそう言って微笑んだ。


それを見たセレナは、小さく息を吐いた。


「なるほどな……」


「いや、何がだよ!」


思わず大声でツッコんでしまった。


イザベリアは優雅に口元を隠しながら、「女性の話ですわ」そう言って、にこやかに話を打ち切った。


一方のセレナは首を横に振りながら「やれやれ……」っとそんな顔だった。





「さて――役者も揃ったことだ。そろそろ始めようか」



挿絵(By みてみん)



セレナはそう言うと、静かに姿勢を正した。

先ほどまでの余裕のある笑みは消え、その瞳には鋭い闘志が宿っている。


「アリア。ここから先は、ただの私怨だ。引き返すなら今のうちだぞ」


セレナは俺たちを見据えたまま、後方のアリアへ声をかけた。


「……いえ。私どもも団長について参ります」


アリアは何かの覚悟を決めたように答えた。


それを聞いたセレナは、大きくため息を吐いた。


「そうか……」


そう呟くと、今度は騎士団全体へ向けて号令を発した。


「全力で御剣家嫡男、御剣葵を確保しろ!」


その声が響く。


「ここからは戦場だ! 邪魔する者は容赦なく斬り伏せろ!」


騎士たちの目つきが変わった。

だが、セレナは続ける。


「ただし、ブデザムの娘には手を出すな。これ以上の面倒事はごめんだ」


そして――


「行け!!」


セレナが大剣を前方へ突き出した瞬間。

後方に控えていた騎士団が、一斉に駆け出した。


「イザベリア!」


俺は咄嗟に叫んだ。


「御剣を連れて全力で逃げろ!」


騎士たちを止めるため飛び出そうとした、その瞬間。


「そうはさせんよ」


声と同時に、セレナが上段から大剣を振り下ろした。


俺は反射的に剣を構えた。


――ギャイィィィン!!


耳をつんざく金属音。

受け止めたはずなのに、身体ごと後方へ弾き飛ばされた。


「ぐっ……!」


痛ぇ……。

相変わらず、とんでもない馬鹿力だ。


気づけば周囲は完全な乱戦になっていた。

騎士団と生徒たちが激突し、あちこちで剣戟が火花を散らしている。

鈴凛とヴィヴィアンも善戦しているようだ。


イザベリアは……

アリアと対峙していた。


俺は御剣へ視線を向ける。

本人も必死に戦っているが……

押されている。


このままでは時間の問題だ。


「……っち」


思わず舌打ちが漏れた。


「よそ見をしている暇があるのか?」


その声と共に、再びセレナの剣が迫ってきた。


――ギャイン!


――ギャギィン!


――ガキィィン!!


振るわれる斬撃を、必死に受け流す。


重い。


速い。


そして何より……

隙がない。


「邪魔をするな!」


俺はそう叫び、セレナの剣を弾き返し、そのまま反撃にでた。


――ギャイン!


――ギャギィン!


――ガキィィン!


何度も剣を振るい、斬りつける。

だが、セレナは余裕の笑みを浮かべたまま、俺の斬撃を軽々と受け流していく。


「っち……!」


思わず舌打ちが漏れた。


焦り。


苛立ち。


それが剣筋に現れたのだろう。

セレナは、その一瞬の隙を見逃さなかった。


気付いた時には、懐へ潜り込まれていた。


「甘い」


腕を掴まれた、次の瞬間。


世界が回転した。


「――っ!?」


全力で振り回され、そのまま投げ飛ばされた。


――ドゴォォン!!


背中から建物の壁へ叩きつけられた。


「がっ……!」


肺の中の空気が一気に押し出される。


息ができない。

視界が揺れる。

意識が飛びかけた。


慌てて視線を前にもどしたが……


遅かった。


目の前には、振り抜かれたセレナの足裏。


「なっ――」


――バゴォン!!


回し蹴りが頭部へ直撃した。


頭が壁へ叩きつけられる。

鈍い衝撃が頭蓋を揺らし、視界が白く弾けた。


「たわいもない」


セレナは興味を失ったように呟いた。

それだけ言うと、ゆっくりと足を下ろし、背を向けて歩きだした。

まるで終わった戦いから立ち去るように。


「…………待てよ」


霞む視界の中。

俺はセレナを睨みつけた。


「やめておけ、少年」


セレナはそう言うと、大剣を収めた。


「これ以上争っても、実力差は明白」


静かな声だった。


「死に急ぐものではないぞ」


そう言って、セレナはこちらを振り返る。


「だからって……」


俺は歯を食いしばった。


「ダチが……連れて行かれるのを、黙って見ていられるかよ……!」


剣を支えにしながら、ゆっくりと立ち上がろうとする。

全身が悲鳴を上げていた。

痛みを堪え、必死にたちあがろうとしていた……


その瞬間。


「シッ」


風を切る音が聞こえた。

次の瞬間には、腹部へ凄まじい衝撃が突き刺さる。


「がっ――!」


――ドゴォォン!!


セレナの蹴りだった。

身体がくの字に折れ曲がり、胃の中の物が逆流しそうになるほどの衝撃。


崩れ落ちそうになった俺の髪を、セレナは無造作に掴んだ。


そして……


拳が振り下ろされる。


――ゴッ!


――ガン!


――ドゴッ!


視界が揺れる。


何度も。


何度も。


容赦なく顔面へ叩き込まれる拳。


意識が霞む。

何が起きているのかも分からない。


ただ一つだけ分かる。

圧倒的な力の差だった。


やがてセレナは、動かなくなった俺の様子を確認するように見下ろした。

そして、興味を失ったように手を離した。


俺の身体は地面へ崩れ落ちた。


「……」


セレナは何も言わない。

ただ背を向け、そのまま歩き出し去っていった。

まるで、もう相手をする価値もないと言わんばかりに。





ここまで読んで頂き、ありがとうございます。


本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。

物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、

あくまでイメージや雰囲気を楽しむための要素として見て頂ければ幸いです。


感想・考察・ツッコミなど、

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