京都百鬼夜行祭 肆
※本作中の挿絵・画像は自動生成AIによるものです。
イメージや雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
なお、キャラクターの容姿や髪型、衣装などは
作中の描写と多少異なる場合があります。
あらかじめご了承ください。
ワールドアナウンスを聞いた瞬間、俺は反射的にホテルを飛び出していた。
御剣がやばい。
そう思ったからだ。
背後で先生やイザベリアたちの声が聞こえた気がしたが、振り返らない。
構っている時間などないっと感じたからだ。
脳裏に、騎士団長セレナの言葉が駆け巡った。
「次に会う時は――戦場になるでしょう……」
――あの時、すでに分かっていたのか。
そう思った瞬間、身体は完全に走り出していた。
俺は街を走り抜ける。
人混みをかき分け、祭りの会場へ向かって。
幸いにも、人の流れは止まっていた。
先ほどのワールドアナウンスに、誰もが足を止めている。
ざわめきの中を、俺だけが逆流するように走り抜けた。
「すまない! どいてくれ!」
「悪い――通してくれ!」
声を張り上げながら、人混みをかき分け、押しのけるように進んだ。
やがて、祭りの会場が近づいたそのとき。
前方から、悲鳴が聞こえてきた。
「キャーッ!」
「いやあああっ!」
一瞬で空気が変わった。
次の瞬間、人の流れが反転した。
会場へ向かっていたはずの人々が、今度は一斉にこちらへ押し寄せてくる。
まるで、何かから逃げるように、人の流れが逆流してきた。
人の波に呑まれ、足が止まりかける。
「――クソッ」
人の波に呑まれながら、俺は無理やりかき分けて進んでいく。
「邪魔だ! どけ!」
もはや、苛立ちは隠しきれずに、悪態を吐きながら押し返すように前へ進んだ。
――その瞬間。
ぱたり、と。
人の流れが消えた。
踏ん張っていた力が空を切り、身体が前へと崩れそうになった。
倒れかけそうになったところを、かろうじてたたらを踏みながら踏みとどまった。
そして、ゆっくりと顔を上げると……
……誰も、いない。
さっきまでの喧騒が嘘のように、人影が消えていた。
街の明かりも落ち、屋台の灯だけが、ちらちらと頼りなく揺れている。
本来なら真っ暗なはずなのに、妙に“見える”。
明るい?
いや、違う。
視界が、開けすぎている。
「……ここは」
思わず、声が漏れた。
何が起こった?
俺はわけがわからなくなり、警戒心を一気に高めた。
人がいない…
騒がしかった音も今は何も聞こえない。
俺は近くにあった屋台に近づき、置いてあったたこ焼きを手に取った。
……温かい。
いや、違う。
熱い。
さっきまで誰かが焼いていたいたように熱々のたこ焼きだ。
俺はそっとたこ焼きを元の場所に戻すと、警戒しながらゆっくりと進んだ。
しばらくの間、屋台の列を慎重に進んだそのとき。
遠くから、金属がぶつかり合う音が微かに届いた。
剣戟だ。
乾いた音が、激しく、空気を震わせている。
俺は息を潜め、音のする方へと足を向けた。
一歩ずつ、確かめるように距離を詰める。
やがて、屋台の陰に身を滑り込ませ、姿を隠した。
そこに、何がいるのか。
俺は慎重に様子をうかがった。
見つけた。
そう思った瞬間、わずかに気が緩んだ。
クラスの女子生徒たちが、御剣を中心に円陣を組み、守るように囲んでいた。
――だが。
状況は、明らかに悪い。
すでに何人かが地面に倒れている。
救助に回る余裕すらないのか、御剣達は押し込まれ、じりじりと後退していた。
このままでは、保たないな。
攻撃に出ていた生徒たちが、次々と弾かれるように倒れていく。
「……っち」
思わず舌打ちが漏れた。
相手は、たった一人。
だが、その“たった一人”が、場を制圧していた。
ノヴァリア神聖王国
近衛騎士団団長、セレナ・アークラディアだった。
後方に控える騎士団の中には、アリアの姿もあった。
セレナが強いことは、初めて会ったときから分かっていた。
だが、ここまでとは思っていなかった。
御剣を護るクラスの生徒たちは、分家や関係者とはいえ、腐っても探索者ランクA。
本来なら、並の相手では押し切られることはない。
それなのに――
セレナは、その全てを“いなしている”。
力で押し潰すでもない。
圧倒的な速度で蹂躙するでもない。
ただ、軽く捌くように。
まるで、最初から勝負になっていないかのように。
その在り方が、あまりにも異質だった。
――いや。
最初から、勝負になっていなかったのか。
赤子をあやすようにいなしている。
最初から、土俵が違った。
前線は崩れた。
時間の問題だな。
俺は踏み出した。
一瞬で距離を詰め、御剣たちの前へ飛び込む。
振り抜かれる大剣。
それを、真正面から、受け止めた。
セレナは、俺の存在を認めると、口元を歪めた。
「……来たか」
わずかに、楽しむような色が混じる。
「やっと来たのか、少年」
そう言って、薄く笑った。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。
物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、
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