京都百鬼夜行祭 参
遅くなってすみません。
なかなか、まともに執筆出来る時間が取れませんでした。
出来るだけ頑張って書いていきますので、引き続き応援をお願いします。
※本作中の挿絵・画像は自動生成AIによるものです。
イメージや雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
なお、キャラクターの容姿や髪型、衣装などは
作中の描写と多少異なる場合があります。
あらかじめご了承ください。
「――『酒呑童子』が来た」
そう言い残した刹那様は、「用事がある。先に行く」とだけ告げて、どこかへ去っていった。
俺は一人、鴨川の河川敷でぼうっと立ち尽くし、これからどうするべきかを考えていた。
――正直、認識が甘かった。
どこかで「大丈夫だ」「問題ない」「自分なら解決できる」と思っていた。
だが刹那様の言う通り、俺の認識は甘かった。
ゲームや物語の主人公気取りだった。
現実だと受け入れていたはずなのに……
まだ、どこかでゲーム感覚が抜けてい……。
絶対なんて、ない。
勇者でも主人公でもない。
俺はただの学生。
なるほど、二宮様に言われるわけだ。
「お主の記憶がどうかは知らんが……もう少し、この世界を知ることじゃ。さもなければ、大事の時、何も出来んぞ」
言われた言葉が頭の中をかけめぐった。
なるほど確かにそうだ……
今の俺は、何も知らない。
だからどうしたら良いのかが分からない。
「はぁ~……確かに、何も知らなければ、何も出来ないな」
俺は一人そう嘆きホテルに戻った。
ホテルへ戻る頃には日が沈み、辺りはすっかり暗くなっていた。
遅くなったな――そう思いながらホテルに入った。
すると、ロビーは騒然としていた。
先生や生徒たちがバタバタと走り回わっていた。
俺がその光景を眺めていると、風見先生が駆け寄ってきた。
「よかった……獅子堂君、戻ってきたんですね。ひとりで勝手に出かけたら駄目じゃないですか」
俺の顔を見るなり、先生は安堵の表情を浮かべ、そのまま小言が始まった。
俺は「すみません」と頭を下げながらも、周囲の慌ただしさが気になり、口を挟む。
「先生、何があったんです?」
「あっ……そうでした!」
先生は思い出したように声を上げ、話しだした。
「本部から退避命令が出たんです!」
「退避命令?」
「はい。『現状が悪化したため、学生の領分を超えた』と……。それで今、慌てて帰り支度をしている最中で……」
そこで先生は、言葉を濁した。
「何かあったのか?」
俺が問うと、先生は複雑な表情で答えた。
「本部から連絡が来る少し前に……三組が祭りに行ってしまったんです。連絡を受けてすぐ呼び戻そうとしたのですが、連絡が取れず……人も出しましたが、いまだ戻ってきていなくて……」
先生の声には、はっきりと焦りが滲んでいた。
俺は、少しでも安心させようと軽く言った。
「御剣なら大丈夫だろ。多少の荒事なら、なんとかするさ。それに、クラスの連中も一緒なんだろ?」
「……はい」
「なら問題ない。三組は御剣の分家や関係者が大半だろ?」
「……はい」
「だったら、全力で御剣を護るさ」
「……いえ……生徒に何かあった時点で問題なんですが……」
そのときだった。
――荘厳な鐘の音が、空気を震わせた。
ゴーン。
ゴーン。
ゴーン。
ロビーのざわめきが、凍りつく。
羅生門の出現を確認。
幻界の侵食を確認。
九尾――玉藻前の復活を確認しました。
これよりレイド戦を開始します。
討伐目標:九尾 玉藻前。
鬼神 酒呑童子。
防衛目標:二宮 姫華、一条 綾女の生存。
これより近隣一帯が夢幻界化します。
ワールドアナウンスが、無機質に響いた。
時間を少し遡り、京都某所――地下祭儀場。
「ガハハハハ! 良いのう! 祭りは実に良い!」
高笑いとともに、鬼の面をつけた三人が現れた。
それを見た一条は、静かに問いかけた。
「お祭りは、もうよろしいのですか?」
「あぁ! 満足じゃ! 良い男も見つけたしの!」
そう言って、黒い鬼の面は豪快に笑った。
「お頭は遊びすぎなんですよ~」
赤い鬼の面が呆れたように言うと、白い鬼の面は「うんうん」と頷いていた。
「ところで……」
黒い鬼の面が、ふっと空気を変えた。
「うちの総大将は、まだ目覚めんのか?」
ギロリ――
その視線が一条を射抜いた。
一条は臆することなく、祭壇へ視線を向けたまま答えた。
「今朝のうちに、封は解いております」
「なら、なぜ出て来ん? 失敗じゃあるまいな?」
黒い鬼の面の言葉に、一条は首を振る。
「分かりません。まだ、お目覚めになられていないのかもしれません」
そのとき――
「シッ」
小さな音が横から聞こえた。
次の瞬間。
――ドゴォォン。
目の前の祭壇が、黒い鬼の面によって粉砕された。
拳が振るわれただけだった。
轟音とともに祭壇は弾け、破片が衝撃波に押し出されて四方へ飛び散った。
それを見た一条は、「はぁ……」と、大きくため息をついた。
埃が舞い上がる中、瓦礫の奥から声が響いてきた。
「……誰じゃ。わらわの眠りを妨ぐるものは」
妖艶で、艶やかな声。
「なんと騒がしきことよ。
久方ぶりに目を覚ませば、随分と無作法な客人がおるものじゃのう……」
瓦礫の奥で、気配がゆらりと揺れた。
「わらわを呼び覚ましたのは、そなたらかえ?」
空間が歪み、その裂け目から一人の女性が姿を現した。
黒く長い髪。
白い着物をまとった、妖艶な女性だった。
着物は大きく着崩され、美しく艶やかな肌を惜しげもなくさらしている。
豊満な胸元を誇示するかのように、衣はゆるく開かれていた。
だが、一目見ただけで、彼女が人ではないことは明白だった。
頭には狐の耳。
そして背後には、ゆらりと揺れる九本の黒い尾。
その姿は、まさしく――
九尾の妖狐。
「やっとお目覚めか、女狐」
黒い鬼の面がそう言うと、九尾の女はゆっくりと視線を向け、鼻で笑った。
「……ふん。不躾な阿呆が誰かと思えば、丹波の小鬼か」
その言葉に、黒い鬼の面のこめかみに血管が浮き上がる。
「……何だと。年老いた獣ババアが、いい歳こいて醜い姿態さらしてんじゃねぇよ!」
「なんじゃと、餓鬼風情が!」
「おーおー、怖い怖い」
黒い鬼の面は肩をすくめ、嘲るように笑った。
「老いぼれた色香でしか男を誘えねぇとは、哀れなもんだな」
九尾の女性の目が細くなる。
「脳味噌まで筋肉の餓鬼が……。
そんなんじゃから、皆に逃げられるのじゃ。哀れじゃのう、戦馬鹿は」
「っあァ⁉」
その瞬間――
二人の妖気が激突した。
空間が軋み、地下祭儀場の空気が悲鳴を上げる。
見えない圧力がぶつかり合い、空間そのものが歪んでいく。
そのときだった。
パンッ!
乾いた音が響いた。
二人が同時に視線を向けると、そこには、手を打ち合わせ、静かに佇む一条の姿があった。
「お二人とも、児戯はそこまでですよ」
「誰じゃ?」
九尾の女性が、目を細めて問いかける。
「初めまして。玉藻前様。
京の都の守護を賜っております、一条 綾女と申します。以後、よしなにお願い致します」
玉藻前は「ふん」と鼻を鳴らし、蔑むような視線を向けた。
「そなたか……わらわの封を解いた愚か者は。……いま、何と言った?」
玉藻前の目が鋭くなる。
一条は表情を変えず、答えようとした。
「ええ……都の守護を賜っております、一条――」
「それじゃあ!」
玉藻前は、一条の言葉を遮るように叫んだ。
「なぜじゃ!京の守護結界を司る一族が、わらわの封を解いておる!
そなたは帝の守護者であろう! なぜじゃ!」
突然の怒声に、黒い鬼の面が顔をしかめる。
「うるせぇな、ババア……急に叫ぶなよ」
耳を指で押さえながら、吐き捨てるように言った。
「黙っておれ、酒呑!」
玉藻前は吐き捨てるように酒呑童子を一喝すると、そのまま一条へ詰め寄った。
「小娘!説明せい!事と次第によっては、ただでは済まさんぞ!」
怒気を滲ませながら迫る玉藻前に対し、一条はまるで意に介した様子もなく、淡々と答えた。
「その話は……立ち話では何ですので、奥の間で。宴の準備も整っております」
そう言うと、一条は玉藻前たちを奥の間へと案内し始めた。
先を歩く一条の背を、玉藻前は目を細めて見つめていた。
その様子を見て、酒呑童子が口を開いた。
「どういうことだ?」
玉藻前はちらりと酒呑童子を一瞥しただけで、何も言わず黙って歩きだした。
「おい、待てよ」
酒呑童子はそう言って玉藻前を追いかけた。
険しい顔のまま黙って歩く玉藻前に、酒呑童子が詰め寄る。
「いい加減、黙ってないで教えろ」
すると玉藻前は、わずかにため息をつくようにして答えた。
「……一条家は、藤原五摂家の一家。帝に仕える公家の一角じゃ」
玉藻前は酒呑童子を横目に見る。
「要するに――わらわたちの敵、陰陽寮の上役よ」
玉藻前はそう言って黙って歩き続けた。
玉藻前
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。
物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、
あくまでイメージや雰囲気を楽しむための要素として見て頂ければ幸いです。
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