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17話 「撤退戦」 前編

4か月近く空けてしまいましたが失踪はしてません。

完結まで頑張るつもりです。

 クロスストリートは突然の砲撃に対しても動じることなく、あらかじめ講じてあった作戦を発動させていた。その総指揮官であるレイヴンは、いまだに基地から部隊の指揮を執っていた。


 「クレイブの部隊は市街へ展開して、まだ残っている非戦闘員の退避を優先させろ!魔導騎士隊は基地前面を任せる。敵の砲撃への対応と、歩兵部隊との戦闘を頼んだぞ!」


 「「了解っ!!」」


 「この基地は放棄する。余計なものは置いて行け! 守る必要もないぞ!!」


 「レイヴン、状況はどうなっている!?」


 「ランスロットか、それにグレンも来てくれたか!」


 「放っては置けないからな。」


 ランスロットとグレンは基地に駆け付けるや否やレイヴンのもとへとやってきた。


 「状況は、ご覧の通りだ。敵はまだ、先行部隊から大砲しか撃っとらんが直に主力部隊が攻めてくる。それまでの間にこの基地を放棄、市街の方も抵抗をしたのち、完全包囲前に脱出を図るつもりだ。」


 「放棄するのか、それも仕方がない。俺とグレンは壁の外で迎撃することで構わないか。」


 「それで構わんよ。元からそのつもりだ。」


 「ちょっと待て、基地の放棄は分かるが、街まで捨てるとなると首都まで一直線だぞ!」


 ランスロットが何事もないように応えているが、グレンは大胆な作戦に対して、信頼しているとはいえレイヴンだろうが疑ってしまう。


 「重々承知の上だ。そのうえで、ここは放棄することを決めた。」


 「・・・分かった。あんたがそこまで言うのならもう何もいわないさ。行くぞ、ランスロット!」


 「まったく、俺の方が指揮権は上だぞ、グレン!」


 二人は役割を理解するとすぐさま駆け出して行った。


 「いつの間にか仲違いも解消しておるな。あれは、一生断ち切れない関係になりそうじゃな。」


 去りゆく二人を見ながらレイヴンは何かを予感していた。


 「レイヴン司令官。基地の重要区画の処分の準備完了いたしました。後は、退避するだけです。」


 「ふむ、そうか。総員に伝える、退避を開始せよ!!」


 指令の号令で、基地のすべてが動き出した。




 クロスストリート近郊では、機械派の部隊が続々と到着していた。先行していた砲兵部隊は、既に砲撃を開始しており、戦場からまだ離れているにも関わらず砲音が絶えなかった。


 CTR部隊も既に出撃準備を整えており、あとは出撃の号令が下るだけだった。


 「今回の作戦には、例の部隊も投入されるのか?」


 あるCTRの搭乗員が小隊の一人に話し掛ける。


 「例の部隊・・・ああ、実験部隊のことか。それなら右前方の方にいる形状の違うCTRのやつらだぞ。」


 二人の搭乗員はそろってそちらの方を見た。そこには、一般に配備されているヴァンガードとは姿かたちが異なる機体が並んでいた。


 「たしか、名前はヴァン・ブレイドだったかな。なんでも、最近名前が公表されるなど表に出てきているからな。それだけ有力視されているってことだろ。」


 「いったいどんな人間が乗っているんでしょうね。」


 「噂では年端もいかない子供が乗せられてるって話だ。」


 「それじゃあ、我々も彼らと同じじゃないですか!」


 若い搭乗員が声を荒げる。それを専任の搭乗員が仕方がないというため息を吐きながら言葉を返す。


 「はあ、所詮は戦争なんだ。上はあらゆる手段を探って勝利をつかみ取り、戦後を見据えているんだろ。俺たちがどうこう言えるもんじゃないさ。」


 「しかし・・・」


 「あくまで噂だ。余計なことを気にしていると早死にするぞ。そろそろ出撃する、気を引き締めるんだ。」


 「・・・はっ、分かりました。」


 二人が会話を終えると間もなくCTR部隊に出撃命令が下された。




 クロスストリートの壁前は激戦区となっていた。壁上と後衛の支援を受けた戦士たちが勇猛果敢に機械派の兵士たちに斬りかかっていく。機械派の兵士たちも負けじと大砲とCTRの火力によって前線を押し上げている。


 グレンとランスロットは最前線にて二つ名持ちに恥じない戦いぶりを見せていた。


 「一刀流奥義、紫電っ!!」


 グレンの一閃にて頑強なCTRの胴体が切り裂かれる。矛でもあり盾でもあるCTRを失った機械派に対してランスロットがすかさず号令を下し戦士たちとともに斬りかかる。


 「兵士のみを狙え!CTRはグレンにでも任せておけ!!」


 「おおっー!!」


 「無茶言いやがるな!」


 そういいながらもグレンはすぐさま次の目標へと駆けていく。狙いは小隊長機。一気に周辺戦場の趨勢を決めるつもりだった。


 機械派も名の知れている二つ名持ちの狙いがわかっているからこそ、小隊長機の周りの兵士たちはグレンのみを撃っていた。


 「邪魔だ!!」


 グレンは右手を振って、炎の渦を周囲に拡散させ兵士たちを吹き飛ばす。すると横から加速してきたもう一機のCTRが剣を振り下ろしてくる。


 「くっ・・・!!」


 何とか躱したグレンだが、小隊長機が狙ったように止まったところを狙撃する。


 「ストーンウォール!!」


 詠唱とともにグレンと小隊長機の間に岩の壁が形成される。岩の壁はわずかながら弾丸を受け止め、その間にグレンは移動を始めた。


 「すまない、助かった。」


 「いえ、礼には及びません。」


 名も知れない魔法使いに感謝して一気に距離を詰める。


 「くそっ!!」


 そうCTRから聞こえてきそうなくらいあわただしい動作で後ろに下がろうとする。しかし、加速が乗る前にグレンは人間離れした速度で追いついた。


 「逃がさん!!」


 グレンは二本の刀でCTRの足を破壊し、倒れかけたところを搭乗席めがけて炎の球でとどめを刺した。

残ったもう一機もランスロットたちが魔法を集中させて破壊していた。


 緒戦の前線はこう着していたが、時間が経つにつれ戦場は変化していった。


 クロスストリート在住の魔法騎士隊は精強で、CTR部隊が相手でも互角に戦えていた。加えて2つ名持ちが戦場全体を支える事で数日は城壁外で持ちこたえられていた。


 グレンたち魔法派は頑強に抵抗したがしかし、続々と到着する機械派との数の差を埋めることは出来ず、ついには壁際まで押し返されていたのだ。


 「やはりきついなっ!」


 グレンは愚痴をこぼしながら敵を魔法で食い止めていた。既に防衛部隊の半数が損失しており、街の内部にまで敵の砲火に晒されていた。それでも侵入されていないのは魔法派の意地と言わざるを得なかった。


 「そろそろ退却を考える時期だな。各部隊に門まで集めるように伝達しろ。」


 「はっ!!」


 ランスロットは部下に伝令を頼んだ。その部下が走り去っていくのと同時に一人の魔法使いが息を切らして報告しに来た。


 「報告です!! 敵の新型兵器が出現し左翼の部隊が危機にさらされています!!」


 「なにっ!? 新型となると報告にあったCTRのことか?」


 「おそらくそうです!」


 「なら、グレン!! 貴様が行ってくれ。俺も後から行く!」


 「分かったぜ。」


 ランスロットは事前に得ていた情報から今現在CTRに対抗できる存在がグレンしかいないことを鑑みて、撃退を頼んだ。グレンは命令として受け取るとすぐさま駆け出した。そして後詰としてランスロットもグレンを失わせまいと戦線を維持させようとしていた。

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