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ep24.悪女は価値を証明する(2-1)

 私が皇宮に帰ってきて1週間が経った。


 第二皇子が私に、帰ってきた翌日顔を見に来て『今日は休むこと』と心配?で来てくれたのかは分からないが、また胸が温かくなったのは事実だった。


 けれど、やっぱり私は人質だ。それ以上でもそれ以下でもそれ以外でもない。


 公爵令嬢という祖国での身分も、婚約者という立場も、全部表面上でしかない。


 私は人質。後の死刑囚。自分によく言い聞かせた。でないと、私は強欲にも、あの人たちのことを家族だと勘違いしてしまいそうになる。


 あの温かさは全てみんなの優しい善意から成り立っているものだと、しっかりしっかり言い聞かせた。


 そして私は、次に価値を証明しに行くべき人の元へと向かった。


◇◇◇


「お久しぶりです。皇女殿下」

「ええ、久しぶりね」


 皇女殿下とも、2人きりで話すのは魔法を教えたあの日以来だ。


 皇女殿下は私が魔法を教えて2年、劇的な成長を遂げた。魔法の才が見事に開花したのだ。


 中級の魔法を扱えるようになるまでは通常3年から5年程の時間を要するのだが、皇女殿下の場合は経ったの2年で習得した。


 これはかなり凄いことだった。


 そのうち私よりも魔法を扱うのが上手くなる日もそう遠くないかもしれない。


「皇女殿下、最近何かお困りごとはありませんか?」

「困りごと?わたくしに?まさかそんな「例えば」」


 なんの根拠もなしに『困り事はないか』と聞いたわけでは当然ない。


「皇女殿下には思い合っている殿方がいますね?」

「なっ…!」


 皇女殿下は勢いよく立ち上がった。


 これは、多分皇女殿下が秘密にしたがっていたことだ。私だってそれくらいは分かる。


 けれど、その秘密を皇女殿下自身の前で明かさなければいけない理由があった。


 これは私のためではない。完全に皇女殿下のためだった。私が個人的に、社交界にいて少し気になったこと。


「だけど滅多に会えない。その理由は、皇女殿下の美貌におありですよね」


 皆何も言わないが、今日だけははっきりと言わせてもらおう。


 美貌が過ぎる。


 皇帝陛下も皇后陛下も結構な年齢だが、貴婦人らしい美しさ、紳士らしい威厳のある綺麗な顔をしているし、第一皇子に第二皇子、皇女殿下もしっかりとその綺麗なお顔を受け継いでいる。

 

「どうして分かったの…」

「社交界に顔を出している時に、少しだけお耳に挟んだくらいですので、確証はありませんでした」


 あれくらい自信満々に言った方が相手も焦って本当のことを吐露しやすい。


 公爵家でさんざん学んだことだった。


「…そうよ。第二騎士団の団長、アイザック・ホワイト現侯爵様。わたくしは彼と思い合っているわ。でも…」

「ホワイト侯爵様に心配をおかけしたくないのですよね?」

「…ふふっ、あなたはなんでもお見通しね。そう。わたくしが何人もの男性にストーカー被害に合っているなんて言えば心配をかけてしまうに違いないもの」


 2年前もそうだったが、皇女殿下は少々抱えすぎる癖がある。


 魔法が使えなくて悩んでいた時も、表情には一切出さず、密かに劣等感として存在しているだけだった。


 その劣等感を自分から人に話すことは決してない。


 だから気付いた時に言わなければいけないのだ。


「皇女殿下」

「なに?」


 余裕そうな表情で余裕のなさそうな返事をする。


「殿下は、侯爵様のことを信用していらっしゃいますよね?」

「当たり前だわ。信頼がなければ今頃会えなさすぎて別れてるわよ」


 その言葉を聞いて安心した。


 皇女殿下にも、ちゃんと頼れる人がいた。

 後は、皇女殿下が頼るべき時にちゃんと頼り、限界を迎える前に辛いのだと話すことが出来れば、もう大丈夫だろう。


 だが、皇女殿下は頼ることがどうも苦手なようだ。


「分かりました。では、どんな噂が流れようと、必ず侯爵様の言葉を信じてください。」

「?、分かったわ。分かったけど、何するつもり?言っておくけど、美貌を変えるなんて嫌よ。好きな人のためにキープしてる顔なんだから」


 あら可愛らしい理由。


 好きな人のために頑張る女の子は確かに強い。

 けれど、一度崩れたらまた立ち上がるのは難しい。


「ご安心ください。皇女殿下は今度開かれる皇室のパーティーにご出席頂くだけで大丈夫ですわ」

「それだけ?」

「はい」


 思ったよりもずっと簡単なことに皇女殿下はびっくりしているようだった。


 皇女殿下のお顔は私も眼福であるため是非とも維持を続けてほしい。先皇女殿下が言った方法はもってのほかだった。


「ご安心ください。殿下。必ず、侯爵様と皇女殿下が堂々と公の場を歩けるよう尽力させて頂きますね」

「…そう、分かったわ。ならお願いね、エヴァ」

「…!はい。お任せください」


 そう言って私は皇女殿下の部屋を出た。


 びっくりした…、急に私の名前を呼ぶなんて…


 皇女殿下が私の名前を敬称をつけずに呼ぶのは初めてのことだった。


 確かに驚いたけど、むず痒い嬉しさがあったのは確かだった。


 

 









最後まで読んで頂きありがとうございました!

次話も見てくださると嬉しいですm(_ _)m

投稿が遅れて申し訳ないです。現在体調不良で少し投稿が遅れるかもしれないのですがご了承お願いします(>人<;)

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