ニートでも人助けはできます。
「このあたりはなんだか違うわね」
先ほどまでの森や草原のエリアと植生はそんなに変わらないのだけれど、雰囲気ががらりと変わっていた。
まず、空が薄暗い。
気温も生ぬるい感じで、いかにも何かが起きそうである。
ここで「嫌な予感がするわ……」なんて言えばフラグが回収されて危機一髪に巻き込まれるかもしれないがその言葉は口にしない。
自ら危険に飛び込むのもどうかと思うし、その危険が私たちに影響できる気がしないからね。
「結構大物がいそうですね」
しゃがみこんで何かを調べていたハルが言った。足跡というか、地面に残った後を確認したらしい。
大物がいるのはいいことだ。手ごたえがあればなお良し。
さっそく、その大物を探して探知を広げることにした。
「こっちね」
現在少々スピードを上げている。とはいえ私は走ることに慣れていないしそちらの面では足手まといなので宙に浮いた状態だ。地に足がついていない人か(物理)バーションだ。
ハルとエリーザは息切れ一つ起こさず浮いている私についてきている。二人ともすごいなと素直に感心してしまう。
探知をした結果、大物を見つけたがその場所で人間の反応も見つけてしまった。しかも6人分の反応があったのに動いているのが3人だけである。
明らかに危険な状態だと判断し、なんとか間に合うようにと気持ちスピードを上げる。気づいたからには死人にならないでほしいものだ。
知らない人間でも「遅かったか……」的な展開は荷が重いしわりと胸に来るものだ。
「あれですね」
私が探知で探っていた人物達をハルたちが視認した。
冒険者だったハルも護衛だったエリーザも目がいい。エリーザは弓使いだからさらにいいんだろうか、どうなんだろう。
「ハル、エリーザ。あれを抑えて。どうやら先に手当てが必要なようだわ」
「かしこまりました」
「仰せのままに」
二人が一礼して、私を置いてスピードをあげる。
まって、まだスピード出んの?私ついたときに息切れしないようにスピード落としたいなあって思ってるところなのに?
いや、走ってないから息切れはするはずないって?気分よ気分。
速度を上げると息切れするような気分になってしまうが致し方ない。二人よりも遅れて登場するのはかっこよくないからね。私は登場シーンにかっこよさを求めたい。
周囲に風を集めてそれを押し出し、さらに速度を上げる。
さて、かっこいい口上はどんなものかしら。




