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異種族はファンタジーの基本です。3

題名が思いつかないドワーフ達との話。今回が最後です。

「それで、準備できたんですか?」

「できたわよ?しかしハル、主が一生懸命話し合いしている最中に寝てるっていうのはどうなのかしら?」

「すみません、興味なかったので」

 一日かけて話し合いをして、ようやく考えがまとまった。それはとてもいい時間だった。後悔はない。

 しかし、しかしだ。

 主である私が真面目に話し合っているときに護衛が寝ているのはどうなのだろうか。

 一応私は護衛対象で、もし何かあったら責任を取るのは護衛であるハルだぞ。まあ、私の魔法で防げないものが生身のハルで防げるのかと言われると目をそらさせていただくけれども。

 それがわかっているからか、ハルは反省する様子もなく素直に答えてくる。興味ないって何だ、男ならこういう「おれのかんがえた最強のなんとか」は好きだろ、一度は考えるだろ、私は女だけど考えた。

「いやあ、良い意見をもらえたな!」

「そうですね、いくつかはまだ実現できないようですが、可能なものはさっそく取り掛かりましょう」

 シュタールとシュタインはそんな男の子心を忘れていなかったようでご満悦だ。

 最初に話していた魔力によって展開する魔法防具は作成費用と展開するためのコストが重すぎるのではないかということでお流れになった。いつか私のためにそれを改良したものを作ってもらおう。

 でも防具よりも攻撃道具がいいな。

「こっちもいいものが出来そうだ。エルヴィーラ嬢がダンジョンに行っている間に理論を詰めておこうと思う」

 ヴェッターもほくほく顔である。こいつ、さては寝るつもりがないな?と思うようなことを言って店を出て行ってしまった。

 ヴェッターが開いたドアから入り込んだ赤い光が少し暗くて、どうやらそろそろ帰らないと兄が心配して乗り込んでくる時間になってしまったらしいことがわかった。

「お嬢、我々もそろそろ」

 そう言ってハルが立ち上がり。私もそれに続く。

「では、御機嫌よう、シュタール、シュタイン。私が帰ってくるまでの間でなにか面白いことがあったら、あとで教えてくださいね」

「おう、じゃあな、エル嬢」

「また来てくださいね、エルヴィーラ様」

 二人に見送られて馬車に乗る。この時間なので冒険者の姿はほとんどなく、止めてあった馬車を見て驚くものもいなかった。

 馬車に揺られながら工房街を抜け、貴族たちの住宅街へと馬車は走る。

「ああ、ダンジョンに行く日が待ち遠しいわね」

「そうですか」

「あら、ハルは楽しみではないの?」

「当り前じゃないですか」

 面倒ごとが起きるんでしょうし、とため息を吐くハルに幸せが逃げるわよ、と返してやった。

 失礼な奴だ、私がトラブルメーカーみたいじゃないか。

「自覚なかったんですか」

「失礼極まりないわよ?」

「お嬢は何の理由もなくケンカを売るし買うじゃないですか。冒険者はアクが強いやつも多いんです。もし絡まれそうになったら喧嘩を買うんじゃなくて俺やエリーザさんの後ろに下がってください」

「つまらないわねえ」

 そもそもケンカを売っているつもりはない。買う方は、売るやつが悪いんだから言い値で買ってあげるけれど。

 貴族というのは舐められたら終わりだ、と私は思っている。

 友好関係をむこうが築くつもりなく、ケンカを売るためだけに行動しているのなら容赦はしなくてもいい。どうせ情けをかけても仇で返されるに決まっている。

 確かに、それを市井の者に適応するのは自分でもどうかと思うこともあるが、売られたものは仕方がない。

「やっすいケンカを売る方が悪いんですの。どうせなら骨のあるやつのケンカを買いたいですわ」

「買わないでください」

 ごく自然なことを言ったというのに、ハルは何故か肩を落としていた。

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