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【完結済】神様のインタフェース  作者: 珠響夢色
結──英雄病の終着駅
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34──激戦!冒険者ファッション対決!! その1

 キャニーを捕まえようの会会長のオペラです。キャニーの動向、目的が大体分かったとの報告を受け、わたしたちは今首都ボルタへと向かっています。そう、キャニーと出会ったあの街です。っと、この話し方疲れるからやめよ。

 はい。

 そんなわけで、キャニー関係者に手紙を出して緊急招集をかけつつ(ジャンゴくらいしか連絡出せる人いなかったけど……キャニーの友達少なすぎ?)隣町のユニクシンに到着。集合日は2日後、つまり、丸一日時間がある感じ。焦る気持ちを抑えて、こっちの街で買い出しとかするぞーっと意気込んでいたら、輝かしいトラブルが向こうからやってきた。

 題して、『激戦! 冒険者ファッション対決!!』

 舞台は、『冒険者用品委員会主催 第三回 冒険者装備装飾品コンテスト』

 主役はもちろん、わたし。なんと、街に滞在すると決めたその日その時にちょうど、冒険者向け装備ブランドのモデルに大抜擢。いやー困りますなぁ。話を聞いたところ、もともとモデルの人はいたみたいなんだけど、他のブランドがミュージシャンをモデルとして用意したって聞いて、わたしに白羽の矢が立ったらしい。

 そう、これでもわたしは『冒険者ギルドの歌姫』だからね。こりゃもう百人力なわけで。

「えっ、オペラ姉さんアイドルなんですか?! ……嘘じゃないですよね?」

 わたしのステージを知らないハミングがそんな事言うけど、脳あるタカは爪を隠すって言うからね。これあってるっけ?

 とにもかくにも、モデルだよ! まさかここに来てわたしの芸能活動が次のステージに来るなんてね。しかも相手はあのキャタピラー。間抜けかわいいイモムシのマークでお馴染みの冒険者向け装備品ブランドだよ。コランとわたしの愛用品だね。これは! もう! 受けるしか! ない!

 受けると決めたら時間はない。大急ぎでサイズの合ったコンテスト用の装備を準備して、予選会場へ。

 予選の内容は新品の状態でのファッションチェックだ。未使用で傷一つない状態でのコーディネートを五人の審査員が審査する。わたしは、審査員の前で歩いたり言われたポーズをすればいい。

「まかせてよ。わたしの魅力で審査員もメロメロにしてあげる」

「オペラ姉さんテンション上がりすぎですよ。落ち着いてください」

「落ち着いていられるもんですか」

「コラン姉さんみたいになってます」

 それはちょっと落ち着かないといけないね。反省。

「おっ、嬢ちゃんたちもモデルか?」

 大部屋の控室で待っていると、す、すごい髪型をした人たちに話しかけられる。他に見たことないって意味だと、コランもすごい髪型なんだけど、この人たちはオーラが違う。

「俺たちは三人でセットのモデルなんだ。俺はナグ」

「ボクはコルト」

「アタシはジェイド」

「この三人で普段はグードホースってバンド活動やってる。決勝では魂を揺らすくらいすげえパフォーマンスしてやるから楽しみにしてくれ。サインいるか?」

 準備に大慌てでコンテストの情報を知らなかったけど、決勝は自由にパフォーマンスしていいんだって。

 それで、バンドって何?

 コランの方を向いても首を振るだけ、ハミングも、知らなそう。

「バンドって何ですか?」

「何?! そこからか! おいおいおいおい、こりゃ本格的に俺たちの演奏で刻み込むしかねぇな。絶対に決勝に見に来いよ」

「その言い方」

「コラン言わせて。ぜひわたしもギルドの歌姫って言われているんですよ。そっちこそ決勝に聞きに来てくださいね」

「なるほど。只者じゃないってわけか」

 ナグが拳をわたしの前に突き出す。

 ゴツンと、突き合わせる。

「決勝で会えるのを楽しみにしてるぜ」

 グードホースの三人はまた他の参加者のところへ話しかけにいった。

 どんな歌が聞けるのか楽しみだね。

「あの人たち、全員に話しかけてるんですかね? 営業じゃないですか」

「あんまり売れてないのかしらね」

「コランもハミングも楽しみじゃないの?」

「楽しみですよ」

「私は別に」

 捻くれ者はコランだけか。ときめきが足りないね。

 なんて話していると、順番に名前が呼ばれ始める。舞台の方から十点、五点、十五点と声が聞こえてくる。

「十七番のオペラさん。準備おねがいします」

「はい!」

 呼ばれておめかしを再確認、舞台袖へ移動する。こっそり客席の方を見ると、全体の二割……五十人くらいの人が見に来ていた。普段のわたしのライブと同じくらいだね。決勝はどうなっちゃうんだろ。

 順番が来たので、舞台の上に上がる。目線がいつもより高い。ドキドキする~。

 ゆっくり深呼吸しながら舞台の上を歩いたり、用意してい短剣を抜いたり、リュックを背負ったり下ろしたり、審査は三分くらいで終了した。体感十分くらいあったんだけど。点数の読み上げがはじめる。

「十五点」

「十八点」

「二十点」

「八点」

「十九点」

「合計、八十点です!」

 客席の方から小さく拍手が鳴り響く。

 ちょっと汗ばんだ額をぬぐって、客席に手を振りながらもう一方の控室に行く。緊張したけど、やっぱり拍手っていいなあ。決勝までがんばろう。

 一通り審査が終了するとすぐに本戦進出の可否が発表される。もちろん本戦進出決定。順位は十番目だった。わたしの上に九組みもいるんだねぇ。冒険者向けのブランドって、こんなにいっぱいあるんだねぇ。

 残念ながら予選敗退になった人たちは散り散りに解散していく。本戦に進む人たちは、予選のときの装備のままで、本戦に進む。

 本戦の内容は実際の依頼をこなすこと、山に入って野ネズミ狩りだ。



 予選から勝ち抜いた二十組が向かったのは、街から歩いて三十分くらいの山だった。

 ファッション対決といえど冒険者、そう冒険者なのだ。いくら可愛くっても実際に役に立たなければ意味がない。さっきの審査員の人たちも冒険者だったようで、モデルの人といっしょに山に入って、実用性を見極めるらしい。

 観客のいた予選とは違って、山のなかだから運営の人とモデルの人以外誰もいない。コランとハミングもついてきてないから、ちょっと心細いけど、そんな気持ちよりも美味しいご飯を食べてそうでムカムカの方が強い。本戦は昼をまたぐから、山の中でご飯を食べないといけないのだ。分かれる前、コランとハミングがなんか怪しい笑顔していたのが、ほんっとーに気になる。何を食べてるんだろう。夜はコランのへそくりを吐き出させてやるんだから。

 山の入口で本戦の詳細が配られる。運営の人たちが見守る中ぞろぞろと大人数で、いっしょに山を登った。こんな人数で山に入ったことがないから、ちょっとしたお祭りみたい。

 新品の装備を着てるから、気分も上がるね。

 ある程度のところまで登ると、この人数でも休憩できそうな開けた場所に出る。そこで各々場所を見つけて、敷物を敷いたり木の根っこに腰掛けたりして、お昼を食べ始める。

「■■■■■」

 焚き火用の台を広げて、適当に枝を入れて魔術で火を点ける。せめて少しでも美味しくなるようにと、干し肉を炙ってパンに挟む。

 代わり映えしないいつもの味。

 はぁ。

 休憩を終えると、また移動だ。

 引き続き大人数で歩いて、ある崖の下まで到着する。ここが狩場かぁ。

 大っきな垂直の壁、その下に大きさの違う洞穴が五本ある。この中に野ネズミが生息しているらしいんだけど、さすがにこの人数で一斉に入るわけにはいかない。二十組の参加者を三つに分けて、休憩組、洞穴に入る組、洞穴の外に出てくる野ネズミを狙う組みに分かれる。

 休憩組以外は獲物を捕まえ次第、休憩組の人たちと交代する。わたしは休憩組だったので、ちょっと離れた場所からみんなを眺めた。手際よく仕留めている人もいれば、複数人でどうにか追い込んでいる人、罠を使っている人など色々だ。コランだったら……あれくらいのすばしっこさなら、一撃で仕留めそうだね。動きも単純そう。

 そう待たされずに、狩りの順番が回ってくる。交代した人が洞穴の中の組だったので、洞穴に入る。三人くらいなら並んで入れるくらい大きい洞穴だった。

 洞穴って、キャニーと初めて会った場所を思い出すなぁ。あのときは雨だったっけ。

 魔術具でそっと灯りを付けて奥に進むと、今朝のグードホースの人たちがいた。

 参加者同士の会話はダメって言われてないけど、邪魔しちゃ悪いし、やっちゃうか。

 音を立てないように短剣を抜いて、一匹のネズミへ狙いをつける。

 さー出ておいでー。

 抜き足差し足で近づいて刺激しないように身をかがめる。

 コンっと壁を短剣の柄で叩く。

 驚いたネズミが岩の隙間からこっちの方へ走ってくるので、エイッエイッエイッ。

 ちゃんと当たらなくて三回くらい振った。

 用意してきた袋にそっと入れる。外に出て、血抜きをしたら完了だ。

「ちょっとそこのお嬢さん? ちょっとやり方を教えていただけないでしょうか」

 グードホースのナグがすっごく頭を低くして近づいてきた。わたしより低くなってるじゃん。

「いいですよ」

「恩に着る。恩に着る」

 朝話したときのオーラはどこにいったのか、おどおどした感じで、わたしのアドバイスを聞いている。

「助かりました」

「あなたすごいのね」

 他のメンバーのコルトとジェイドも、申し訳なさそうにしている。

「嬢ちゃんほんとに冒険者なんだな」

「当たり前じゃないですか」

 野ネズミの捕まえ方が分からなかったところに、わたしみたいな女の子も手際よくクリアしてるのを見て流石にやばいって思ったんだろうね。

「逆に、ナグさんたちは冒険者じゃないんですか?」

「冒険者は副業というか……」

「ナグはCランクまで取ってるけど、ここ二、三年は冒険者としての活動はやってないんです。ボクとジェイドはDランクで素人同然だし」

「嬢ちゃんは?」

「わたしはなんと、Cランクです」

「その歳でか、どうりでしっかりしてるわけだ。こりゃ決勝進出もふかしじゃないな」

「まさかこんな可憐な冒険者がいたなんてね」

「ふふん」

 そりゃあね。キャニーを探す中で色んな大冒険をしてきたから。コランよりも早いペースでBランクになることもやぶさかではないよ。

「本当に助かったぜ。今度なんかお礼させてくれ」

「あら。高くつきますよ」

「覚悟しておこう」

 ナグたちも無事に野ネズミをゲット。血抜きの方法も教えて外へ。ちなみに血抜きを教えてるときに、コルトさんがフラッと来ていたのはびっくした。派手な格好して繊細らしい。

 洞窟から出ると、他の参加者たちはもう野ネズミの処理まで終わっていて、わたしたちが最後の方だった。

 すぐに全員が揃って、またぞろぞろと大人数で山を下っていく。

 登りとちがって、歩くペースがばらばらで、人と人の間があいている。

「嬢ちゃん元気だな。疲れてないのか?」

「まだまだいけるよ」

 あ、分かったみんな疲れててペースが落ちてるんだ。コランとわたしなんて常に旅してるわけだから、ちょっとやそっと山を歩いただけじゃバテないけど、他の人はそうじゃないんだ。でもそれだけかな。一応みんな冒険者なんだよね?

 特に危険なこともなく出発地点の山の入口に戻ってくる。まだまだ空の青い時間だ。これでバテてたら、冒険者としてやってけないよ。野営用の荷物もないし、飛んだり走ったりもしてないのに。

 全員欠けることなく集まっていることが確認できると、本戦最後の審査が始まった。一組ずつ順番に呼ばれて、予選の審査のときみたいに軽く歩いて審査員の人がチェックする。

 予選とは違って、その場で点数は読み上げられない。んだけど……、たまに不合格って声が聞こえてくる。

「十七番オペラさん」

「はい!」

 呼ばれて審査員の人のところへ。軽く歩いたり、装備の状態を確認されたり。

「はい、ちゃんと目的のものも狩れていますね。お一人で?」

「もちろん」

「ちょっと、剣を振ってみてもらえますか。この獲物を狩ったときみたいに」

「はい」

 短剣を抜いて、ステップしながら数回振ってみせる。

「良いですね。もう大丈夫ですよ」

 予選のときと違って、審査員の反応がよく分からない。もっと分かりやすく、何点とか言ってくれないと。何が良いんだいっ。

「あのーさっきの、不合格の人って何かあったんですか?」

「あー。その人ね、走れないくらいヘトヘトだったんだよ。動きづらい装備だとそうなるんだよね。それだとやっぱり冒険者装備として失格だから。あとは、壊れかけてたりね。君は大丈夫」

「なるほど」

 街を出て実際の依頼に近いことをやるのは、ちゃんと理由があったんだ。周りの参加者たちを見回してみると、オーバーサイズで飾りが多かったり、変な場所にスリットが開いていて草木を引っ掛けてる人がいて、大変そうだと思った。その点、わたしが着ているキャタピラー製のインナーや革鎧なんかは、長い期間山を移動しても問題なくて流石だね。

 全員のチェックが終わると、すぐその場で決勝戦の出場者が発表された。

「決勝戦のパフォーマンス順に、発表します」

 一番目と二番目の人は知らない人だ。決勝戦は残り二枠。

「五番グードホース!」

 三番目にナグたちのバンドが呼ばれる。あと一枠。両手をギュッと握り込む。

「十七番オペラ!」

「……よし!」

 大トリだなんてドキドキさせるじゃない。

 うふふ。

 久しぶりの大舞台。

 冒険者アイドル。盛り上げるぞー!

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