宇宙人なのね 1
私たち三人と一匹は、約束していた通り、ミディアルたちに会いにきた。
駅で合流してバスで移動。――古びた大きな屋敷に到着。
「古いけど、おっきな屋敷やねぇ」とマサミちゃんは建物を見上げた。
ユイナさんも驚く。
「わぁ~あ。ここなんですねぇ~」
一度訪問している私は心配する二人をエスコートしながら、三人で手をつないで玄関の前に立つ。ロンは私の横にいる。
「こうしてみると不気味ねぇ」と大きな扉を見て警戒するユイナさん。
マサミちゃんも緊張しながら私に訊いてみた。
「なぁ。突然、飛び出して来たりしてこないよね?」
私は「大丈夫だよ」と安心させる。
前回と同じく自動で開くドアに、二人も驚いた。
そのさきに見えるのは双子の綺麗な女性たち。
私たちが来るのを待っていてくれた様子。
「さあ、どうぞ、よく来てくれました」
ミディアルがこちらに声を掛けて屋敷の奥の部屋へと案内してくれる。
――応接室に通されとユイナさんとマサミちゃんも室内の雰囲気に驚く。
「わぁぁ~」「す、すごいですぅ」
部屋の中央に置かれたソファーに「こちらにどうぞ」とミディアルに勧められて着席。妹のリディアルが隣の部屋からティーセットとお茶菓子をカートに乗せて入ってくる。
「では、私から。初めましてミディアルと申します」
「妹のリディアルです。お見知り置きを」
それに合わせ、マサミちゃんとユイナさんも挨拶して再び座り直した。
ミディアルからの(お礼の)言葉が始まる。
「チハルさん。先日のご活躍ありがとうございます。こちらも無事に身の安全が保てました」
そこにマサミちゃんから私に念話が入った。
『なあ、チハル。彼女たち宇宙人なんだよね?』
『そうだよ。来る前に話していた通り、あれで変装していないんだよね』
『チハルちん。今は話を聞いた方が良いぞぇ』とロンから注意される。
『はい。ロン様』とマサミちゃんが謝る。
ロンはマサミちゃんには高貴な神獣を演じている。
ミディアルの話では地竜を送り込んできたサハギン人との侵略行為違反で調停がついたそうだ。(……うん、政治だね)
話を聞きながら差し出された紅茶に……みんなで驚き。
ロンは隣で茶菓子として出されたドライフルーツパウンドケーキを美味しそうに食べた。
あらまし今回の話が終わり、再びお礼を言われた。そのあと……。
「ところで、チハルさん。そちらの子ぎつねはペットですか?」
唐突に聞かれて驚く。さて、どう答えるべきか。
マサミちゃんが尋ねる。
『チハル。彼女たちには神獣様の話はしているのか?』
『チハルさん。向こうが知らないことは説明しない方が良いかと』
ユイナさんからも念話で意見をもらう。
『チハルちん。妾のことは話さなくてもよい』
結局、ロンから直接意見をもらった。
「はい、そうですが、何か?」と私がそう答える。
「そうなんですね。ふふっ。失礼しました。ここ最近ですが、この辺りで害獣が出て困っている話をお聞きします」
「それは、どういうことでしょうか? 教えてください」
ミディアルは紅茶を静かに飲み、喉を潤してから話を始めた。
彼女が言うには、前回私とロンがこの屋敷に訪れた後から近くの畑が荒らされる被害が度々あった。なんでも、近所のおばさまたちが、私とロンの姿を目撃していたとかで、ロンにあらぬ疑いがかけられたらしい。
害獣とは、人間の生活圏に被害をもたらす野生動物のこと。キツネも含まれる。
この地域は新興住宅地として開墾された場所らしく住宅地の裏には山がある。
その麓には畑も多く、この近隣の住宅と住宅の間にも畑がある。
この屋敷からも少し行けば山なのだ。
その前に(山に生息する野生動物を疑え)と言いたいが、どうやら、近所付き合いの悪いミディアルたちへの嫌味かとも思われる。
そこで自治会の活動として近隣住人たちで害獣駆除をすることになったらしく、ミディアルたちも協力する。
しかし、山の麓の畑は被害に合っていないみたいだ。
それでロンが疑われる原因となった。
(……なんてこった。とんだ勘違いだよ)
だが、この冤罪を晴らすために私たちはミディアルたちと協力することになる。
その理由が、どうも宇宙人が関係しているかも……とリディアルの意見だった。
(それなら自分たちで退治しなよぉぉ―)と叫びたいが、笑顔を取り繕う。
さて、どうするべきだろうか。…………よし、帰ろう。
三人揃ってソファーから立ち上がり礼を言う。
「さようなら。ミディアルさん、リディアルさん。本日はごちそうになりました」
「そ、そんなことは言わず、ご協力をお願いします」
リディアルが慌てて私たちに頼み込む。
ミディアルが、ふっと口元だけは笑みをつくり言う。
「あなた方にお願いします。害獣。または、関係する宇宙人を見つけて頂ければ、報酬をお支払い致します」
早々とユイナさんが(最近ほしいものがあるらしく)……折れた。
それで、マサミちゃんも今日だけならと受けることにした。二人とも先日のバーベキューの一件で釣られたみたい。そうなると仕方なく二人が申し出たため、私も協力せざる得ない。
そもそもが私とロンが疑われたのが原因だから……。
そこでリディアルが、ここ一帯の住宅地図を持って来て説明する。
その手際の良さに何かが違うと言いたい。
ところがユイナさんは、なにゆえに害獣対策にやたらと詳しかったことに驚く。
その理由を訊いて見れば、ユイナさんの家では家族と協力して駆除しているとか。
それが先日バーベキューのときに持参した(あの)、いのしし肉だったのかと。
私とマサミちゃんも納得した。
……そうだよね。いのししの肉って、肉屋さんで見かけないよね。
どっからもらって来たんだろうと謎が解けた。
そうなると害獣のプロがいる。私から見てだが……すごいよね。
宇宙人と宇宙怪獣を倒して、害獣も倒せるなんて野性味を感じるよ。
「チハルさん。しっかり聞いてくだいね」とユイナさんに注意される。
(……うぅ。気づかれたか)
そのあとはユイナさんが中心となって調査方法とか作戦が立てられた。
お読みいただきありがとうございます。
※宇宙人編3話連続で続きます。




