第6話 異常存在討伐完了報告書 『口裂き女』
【機密指定:第一種秘匿案件】
異常存在調査室 第弐調査部隊
案件番号:E-0137
異常存在討伐完了報告書
対象名称:口裂き女
危険度:B+
分類:自然発生異能者
関連事象:人の卵事件
・概要
対象「口裂き女」の討伐作戦を実施。
対象による連続殺傷事件の発生を確認したため、第壱実働部隊へ討伐命令を発令。
土倉市百束地区住宅街にて対象を発見し交戦。
同日10時45分、対象の活動停止を確認。
討伐完了と判断した。
・対象情報
本名:田川 和美
性別:女性
推定年齢:29歳
分類:自然発生異能者
状態:魂堕ちによる自我崩壊
推定発症時期:人の卵事件発生後
・交戦記録
対象は異界と現世の間を揺らぎながら出現と消失を繰り返していた。
その為、第参調査部隊と合同で機材による異界振動値の測定を行い、出現地点を予測。
対象の出現地点を特定。
出現に合わせて潜入中の第壱実働部隊隊長呉山蛭子、異能『身体強化』発動。
前方10m地点に対象の出現を確認。
対象口裂き女、異能『共感切開』の発動を確認。
対象の必中攻撃条件の問答を呉山蛭子が機転を利かせて突破。
攻撃失敗による硬直を狙い対象の顔面、胸部、腹部へ連続打撃。
対象の異能出力低下を確認。
最終的に頭部への打撃により意識消失。
その後、魂魄構造の崩壊を確認した。
・討伐結果
対象死亡。
魂魄反応消失。
異能反応消失。
再生及び復活兆候なし。
討伐成功と判断。
・調査結果
対象の魂魄構造をリアルタイムで解析した結果、通常人間と比較して著しい損傷が確認された。
特に自我領域の崩壊が顕著であり、生前から人格維持が困難な状態であったと推定される。
対象は異能発現後、自身の魂魄強度が異能出力に耐えられず崩壊。
段階的な自我喪失を経て現在の状態へ至ったものと思われる。
本症例は異能調査室基準における『魂堕ち』に該当する。
・補足事項:魂堕ち
魂堕ちとは、異能の発現または急激な成長に対し魂の強度が耐え切れず、自我及び人格が崩壊する現象を指す。
発症者は人間としての理性を失い、自身の執着や欲求のみを行動原理とする傾向がある。
対象「田川和美」においては『他者から美しいと認められたい』という執着のみが残存していたと考えられる。
・所見
対象は異界由来怪異ではない。
人の卵事件以降に発生した自然発生型異能者である。
しかしながら魂堕ちの進行により、実質的には怪異と同等の危険存在へ変質していた。
今後も同様の事例が発生する可能性は高い。
自然発生型異能者の監視体制強化及び保護施設の拡大を提言する。
・特記事項
対象死亡後、対象が所持していた剪定鋏が残される。
これを夜崎幽が素手で回収。簡易的な検査の結果、異界物質で作られた物と判明。
異能の力の源は鋏。直接触れた夜崎幽への影響は全く無いと見られる。
原因は不明。
討伐実施者:第壱実働部隊隊長 呉山蛭子
討伐確認者:第弐調査部隊隊長 夜崎幽
報告書記録者:第弐調査部隊隊長 夜崎幽




