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呪われた精霊使いの探しもの  作者: ルンド


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第二話 信じるもの

思った以上に長くなりました。

しかも、最初に立てていた予定ではシンはリイナに聞きたいことを聞くはずだったのに聞けずじまいになってしまいました。

「ふざけるな!!

ふざけるなふざけるなふざけるな!!

私が、父さんと母さんが私たち家族が一体何をしたっていうのよ!」


『教会の奴らだけは絶対に信じるな』

シンのその言葉が頭の中に響く。


「私たちは普通に暮らしていただけよ!

ただ普通に精霊様を信仰しながら当たり前の普通の生活を送っていただけなのに・・・・・・

なんで、なんでよ・・・」

父さん、母さん・・・


消え入りそうな声で両親を呼ぶリイナの姿を見つめながら、シンは口を開く。


「俺は教会の奴らは信じるなといっただけで、精霊を信じるなとは「何が違うのよ!教会を信じるなって、結局は精霊を信じるなってことでしょう!」・・・」

シンの言葉をさえぎり、リイナは怒鳴り返す。

彼女は知っていた。

彼女だけはたしかに知っていたのだ自分たち家族は背教者などではない。

両親は信心深く精霊達への祈りを欠かさなかった。

そんな両親の元で育ったリイナも当たり前のように精霊を信仰し、日々感謝の祈りを捧げていた。

なのに、そんな当たり前の日々はあっさりと崩れてしまった。

教会から派遣されて来た、たった一人の精霊使いによって。

その精霊使いがリイナたち家族は悪魔に魂を売った背教者だといったのだ。

そのたった一言で村人たちは掌を返しリイナたち家族を異端者だと罵り迫害した。

両親がリイナがどれほど精霊を信仰していたか、村人たちは知っていた筈なのに、彼らは長く苦楽を共にしたリイナたち家族ではなく初めて会った精霊使いを信じた。

彼が、あいつが精霊使いだったから、たったそれだけを理由に長い付き合いであるリイナたち家族ではなくぽっと出の余所者を信じたのだ。


「あの精霊使い、絶対に許さない」

「なる程な、お前の家族に異端者の烙印を押し、お前を悪魔の贄に捧げたのは教会所属の精霊使いか」

「だったらどうなのよ!」

憎悪をたぎらせた目でリイナはキッとシンを睨みつけた。

「お前の家族を陥れた精霊使いは偽物だ」

それは何でもない事の様にあっさりとシンの口から紡がれた。


「にせ・・・もの・・・?」

それを聞いたリイナはあまりの事にその言葉を理解できないでいた。

しかし、その言葉幾度もリイナの頭の中で繰り返され、そして・・・

「にせものって、一体どういう事なの?」

ようやくその言葉を理解したとき出てきた言葉はそれだけだった。


リイナの問を聞いてシンはため息をつく。

「お前に聞きたい事があったのは俺の方なんだが、まあ、いいか。

お前たちの村に派遣されたのは精霊使いでも何でもないただの何の力も持たないごく普通の人間だ」

この話を聞いたら自分はもう元には戻れない、そう直感してリイナは体を震わせたがシンの話を遮る事はしなかった。

それをしたら自分は真実を知る機会を永遠に失うと思ったからだ。

「そもそも、教会は上手く隠して入るがここ数百年精霊使いは一人も生まれていないんだ。

生まれていないという事は存在しないという事、お前の村に派遣された精霊使いは教会が用意した偽物だ」

シンの説明はついさっき聞いた精霊使いが偽物だと言う話以上に信じられない話だった。


精霊使いが生まれない?

それも数百年もの間も?

そして、教会はその事を隠蔽していた?


リイナの混乱をよそにシンの説明はさらに続く。

「教会やそこに所属している自称精霊使いたちの力は実際には悪魔と契約を交わすことで得た力だ。

教会の奴らは自分たちの欲を満たすにために異端の烙印を押した奴らを贄にする事で悪魔たちから力を得ているのさ」

嫌悪と嘲りを込めた声でシンはそう語った。

リイナは自分が今まで信じていた世界が完全に崩れていくの感じた。


異端者の烙印を押されたとき

異端審問で両親が死んだとき

命がらがらここまで逃れて来たとき


それら全ての出来事がリイナの世界を壊そうと襲いかかってきたがそれでも憎悪たぎらせつつもまだ、かろうじて保っていた世界が、シンから聞かされた真実によって完全壊されたのだ。

そして、シンは更に信じられない事を紡ぐ。


「リイナ、お前たち家族が異端の烙印を押されたのは恐らくお前が精霊に好かれやすい体質だったからだ」

「・・・・・・精霊に好かれやすい?

私が・・・?」

「そうだ、精霊に好かれやすい人間というのはままいる。

そこから更に精霊使いになれるだけの素質を持つ者が少ないだけでな。

と言っても珍しいことに変わりはないが、お前自身、心当たりはないか?

例えばお前の家の作物だけやたらと出来が良かったりな」

その言葉に心当たりがあったのだろう、リイナの身体がピクリと反応する。

そして静かに口を開いた。

「・・・・・・味がいいとよく言われていたわ。

私の家で取れる野菜が一番美味しいって。

でも、でも・・・

それだけで?

たった・・・

たったそれだけの事で私たちは異端者として蔑まれなければならなかったの?」


静かに涙を流しながらリイナそう言った。

「精霊に好かれる人間の魂は悪魔にとってはご馳走だ。

お前を贄に捧げればより強い力が手に入ると思ったんだろう。

だが、リイナお前とお前の両親が異端の烙印を押されたのはお前のせいじゃない。

全部、教会から派遣された精霊使いのせいだ。

お前は何も悪くない。

そんなに責めたらお前の両親もお前たち家族を助けようとした精霊たちも浮かばれない」


自分が精霊に好かれるから、だから両親は死んだのか、自分のせいで今まで知らなかった自分の体質のせいで両親は死んだ。

自分が殺したも同然なのではないかそんな考えがリイナの頭をよぎったがそれを察したのだろう。

シンはリイナは何も悪くないと悪いのは全て教会から派遣された精霊使いだとそう言った。

そして、精霊がリイナたち家族を助けようとしていたと。

「精霊様は私達を助けようとしてくれたの・・・?」

涙に濡れた目でシンを見つめながら聞くと、シンは優しい笑みを浮かべながら『ああ、そうだ』と言った。

「精霊たちはお前たち家族を助けようとした、力及ばずお前の両親の命は助けられなかったが、お前の命と両親の魂だけは悪魔に食われる前に助け出せたみたいだ。

今頃はあの世でお前を見守っている筈だ」

その言葉を聞いてリイナの胸に広がったのは安堵だった。

父と母は、命こそ落としたがその魂は無事だったのだ!!

精霊たちが必死に守ろうと、いや、守ってくれたのだ!


「よかった・・・

よかった・・・・・・とうさん・・・かあさん・・・」

嗚咽を漏らして泣きながらも安心した事でそれまで意識を保っていた緊張の糸が切れたのだろう。

リイナはひたすら『よかった』繰り返しながら意識を失った。


「あっ、おい待て!

まだ、聞きたい事が・・・って

ああ、もう仕方がねえなぁ」

悪態をつきながらも、仕方がないとあらかじめ用意していた寝床にリイナを寝かせる。


「これじゃあ、話を聞けるのは早くても明日の朝だな。

シルフ悪いが周囲の見張りを頼めるか?

サラマンダーは火の番を頼む。

俺も少し休ませてもらうからな」

『ええ、我らの愛子よゆっくりとおやすみなさい』

シンの言葉にどこからともなく返事が帰り、それを聞くとシンもリイナと同じように眠りの世界へと誘われていった。

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