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呪われた精霊使いの探しもの  作者: ルンド


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第一話 異端者達の出会い


パチパチと焚き木の爆ぜる音が静かな夜の森に響く。


焚き火に新しい薪を継ぎ足しながら漆黒のローブを纏った一人の青年がじっとその火を見つめていた。

そこには青年一人しか存在しないにもかかわらず。

青年の前には二人分の食事が用意されていた。


青年は火を見つめ木の葉のさざめく音と火の爆ぜる音に耳を傾けながらじっと客人が来るのを待っていた。


暫くすると、それまでの静寂を破るかの様に夜の森には不似合いな音が響く。

青年はそれまで焚き火に向けていた視線を自らの眼の前に向ける。


やがて現れたのは一人の少女だった。

野盗か獣にでも出くわしたのか衣服は破れ剥き出しになった手足には細かい擦り傷ができていた。

息も絶え絶えにここまで逃げてきたのだろうが、青年の存在に気付き「ひっ」と恐怖の声を上かけ、自身の胸元を隠すように覆う。

本の一瞬、微かにではあるが覗いたその肌に僅かに見えた禍々しい漆黒の痣を目にした青年は思わず口元に微かな笑みを浮かべてしまった。


「ようやく来たか。

安心しろ。ここは安全だお前を追っている奴らはここには来れない。」


そう言って青年は少女にマントを投げ渡し、自分の前に置かれた食事を食べ始めた。

あまりの事に少女は呆気に取られた様子で青年を見やる。


「何をしている。

それはお前の分だ。早く食え。

お前には聞きたい事があるが。その前に腹ごしらえを済ませろ。」


そう言われて、少女は自分の目の前に用意されている暖かな食事に目をやる。

木皿の中に並々と注がれた暖かな具たくさんのスープ。

ここ数日まともな食事にありつく事など出来なかった少女は忘れていた空腹を思い出し、無我夢中でそのスープを掻き込んだ。


久しぶりにありつく暖かなまともな食事に涙さえ流しながら少女はスープを口にする。

その様子に話を聞けるようになるまでしばらく掛かりそうだなと、青年は思わず肩を竦めた。



「落ち着いたか?」

青年の問いかけに少女は警戒をにじませながら小さく頷く。

「そうか、俺の名前はシン。

お前に聞きたい事があってここでお前が来るのを待っていた。

お前の名は?」


「・・・リイナ」


「それじゃあリイナ。

まずは安心しろ最初に言った通りお前を追っている奴らはここには来れない。

そういう術を周囲に施してある。

ここに来れるのは俺が許可を出した奴だけだ。」

青年シンはそう言って少女リイナを見やる。

「・・・術?」

「そう、術だ。

それともう一つ俺もお前と似たような事情を抱えてる身なんでな。

お前を追ってる奴らにお前を突き出す事はしないというよりも出来ないと言った方が正しい」

そう言ってローブのフードを外して自分の顔の右半分を覆う銀色の仮面を軽く叩く。

それを聞いてリイナは完全にとはいかずとも僅かに警戒を解く。

「貴方も・・・その・・・・・・あの」

何かを言いかけては、ためらい口を閉ざす。その言葉の先を口にしても良いものかどうか迷っている様子のリイナを見て、シンは躊躇いなくその先の言葉を口にする。

「ああ、そうだ俺もお前と同じで教会から異端の烙印を押されている。」


まるで何でもない。世間話をするかの様にあっさりとその言葉を口にするシンを信じられない者を見るような目を向ける。

「まあ、お前と俺じゃあ押された理由が違うがそんなものは些細な違いだろう」

そう言ってリイナの胸元をひたりと見つめる。

正確に言えばその胸元に刻まれた痣を。


「それは悪魔の贄に刻まれる刻印だろう。

異教者に贄に捧げられたか、それとも」


クックックッと笑いながら彼は悪魔の様なその言葉を紡ぐ。

『教会の奴らに悪魔に捧げられたか』

その言葉を聞いてリイナは驚愕に目を見開いた。


「・・・なんで、なんでそう思うの・・・・・・」

「表では聖人面してる欲の皮が突っ張った獣が考えそうな事だからな」

そうして、シンはリイナの目を見つめる。

「リイナ、この先お前が何が何でも生き残りたいと思うのなら、何を信じようが誰を頼ろうが勝手だが、教会の奴らだけは絶対に信じるな」

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