第二十五話 リイナの不安
リンドカルドとシンの二人と共に星空を見詰めながらリイナは不安を感じていた。
『奴らの目的は村の人間全員を殺す事』先程、取り調べを受ける前にシンから聞いた騎士団の目的、しかし、楽しくて仕方がないと言う様な笑顔を浮かべているリンドカルドと話しているとどうしてもそれは本当なのかと疑う気持ちが湧き上がってくる。
思い返せばシンに会ってから、いやそれよりも前の異端の烙印を押されたときから、立て続けに信じられない様な事実や出来事が起こってそれらの情報を処理する処か状況に追い付く事すら出来ず、思考を放棄しているのと何ら変わらない状態だった。
今こうやって星空を見上げて様やっと思考が状況に追い付いた様に感じられた。
情報を処理し切れているとは言えないがだからこそふと不安に思い疑問を抱いてしまった。
『自分はこのままシンを信じていいのだろうか?』
異端の烙印を押され悪魔の贄にされそうな中必死に逃げた先で出会ったのがシンだった。
シンは自分も悪魔に呪われ教会に追われる身だと言い、リイナはそれを信じた。
しかし、それは全部シンがそう言っただけであり、リイナは呪いを受けたという証拠を見てはいない。
騎士団の事だって、精霊についてだってそうだ。
シンはリイナが知りたいと思った事、知るべきだと思った事全て教えてくれた。
でも、そこに偽りが含まれていないと何故言える。
リイナはシンの事など何一つ知らない。
でもこの短い付き合いの中でも一つだけ分かる事がある。
シンは演技が異常に上手い。
別に役者の様だとは思わない。
それとはまた違った次元で人を騙すのが上手いのだ。
リイナは今まであの口の悪い姿こそがシンのありのままの姿だと思っていた。
でも、もし・・・・・それが・・・違っていたら?
自分がシンの素顔だと思っていた姿すらシンの演技だとしたら・・・・・・
もし、そうだとしたら
「ん?
如何したラナ気分でも悪いのか?」
「えっ、ううんなんでもない・・・・」
リイナの様子に違和感を感じたのだろう、シンが心配そうにそう尋ねてきたが、リイナは慌てて誤魔化した。
もし、本当にそうだとしたら
自分はこのままシンを信じても大丈夫なのだろうか・・・・・・・
リイナの中に芽生えた疑問と共に夜は更に深けていく。




