第二十六話 真夜中の会話
ラルクールのジェシス教会、全焼
取り調べの際にシンの口から出た教会を調べさせた教会の報告書には短くそれだけが記されていた。
「レイヴン、これをどう思う」
「教会が燃えた時期と二人がこの村に到着した時期を考えれば、教会が燃えたのは二人が街を去った後、普通に考えれば教会の火事に二人は関係ない。
しかし、あまりにも都合が良すぎる」
滅多に告げられない精霊からのお告げ、嘘か本当かも怪しいそれを受けたという兄妹。
もし本当ならば教会本部に報告する義務が発生するが、その報告は成されていない。
それだけならば二人がお告げについて嘘を付いていると考えられるが、問題はその教会が燃えてしまっている事とその時期だ。
教会が燃えた時期と二人がお告げを貰ったであろう時期を照らし合わせると本部への報告書を作成している最中に教会が燃えてしまったとも思える時期だった。
作成中であったのならば本部に連絡が言っていないのも頷ける。
だが、レイヴンの言う通りあまりにもあの二人に都合が良すぎるのだ。
あの二人が街を離れた後に教会が燃えたという事実も含めて。
「教会の関係者は死亡、または意識不明の重傷者ばかりで話が出来る者は一人もいないか、確かにあの二人にとっては都合の良すぎる話だな。
しかし、これではあのふたりの身柄を取り押さえることは出来ん。
どれほど怪しくともな」
そう言って二人はしばし、沈黙した。
はああああ
そうして二人同時にため息を吐き出した
「ああ、もうくそ。
この村にいる悪魔に集中する為にもせめてあの二人の身柄を押さえておきたいというのに」
「気持ちは分かりますが例えどれ程怪しかろうと、限りなく黒に近かろうとあの二人はまだ辛うじて、辛うじてではありますがグレーです。
捕まえることは出来ません」
そう話し合いを続ける二人は顔を見合せた後、どちらともなくまた『はあああああああああああああああ』と先程よりも大きな溜息を付くのだった。
そんな二人を深まる夜の闇の中から見つめる存在があった。
『おや、まあ』
『随分と困っているみたいね』
『そうだな、随分と困っているみたいだ』
『でも、我らには関係ない』
『そう、我らには関係ない』
『でもあの子には関係がある』
『でもあの子たちには関係がある』
『我らの愛しき子と』
『我らの友たる隣人の少女とは』
『『『『関係がある』』』』
早く伝えようと言って、それらは誰に気付かれる事なくその場を離れた。
彼らの愛しき子に騎士たちの話を聞かせるために・・・・
『シン、シン』
『我らの愛しき子』
『大事な話があるの』
聞こえて来た姿なき者たちの声を聞いてシンは空を見つめ優しく微笑んだ。
「皆どうした?
どんな話を聞かせてくれるんだ?」
自分にしか見えない精霊たちの姿を捕らえながらシンは彼らに訪ねる。




