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呪われた精霊使いの探しもの  作者: ルンド


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第十九話 取り調べ3

シンとラナ(リイナ)lは教会に通され、昨日とはまた違う部屋へと通された。

昨日の部屋に比べれば物は少ないがそれでもいくつか荷解きのされていない箱が積まれている。

「このような部屋で申し訳ない。

現場を保全するためにも教会内の荷物を運び出すわけにはいかなくてね。

この部屋が一番荷物が少なくて使えるスペースが広いんだ」

苦笑しながらジュールが二人に言い訳がましくそういった。

流石に掃除はされているのだろう。

埃などは見当たらないが、それでも昨日の部屋ほどでもないとは言え物置の様な部屋で取り調べを行うというのは彼らも罪悪感を感じたのだろう、その声は本当に申し訳なさそうに聞こえた。

「いえ、大丈夫です。

教会に荷物が多い理由についてはその・・・

精霊使い様から聞いていましたので・・・・・」

今朝見た光景が忘れられないのだろう、顔を俯け言葉を途切れさせながらもシンはそう言った。

それを見てジュールは短く『そうか』とだけ言って二人に座るように促すと二人の前にコトリと皿を置いた。

「クッキーという焼き菓子だ。

・・・・二人には聞きたい事があって此処に呼んだが、なに安心してくれ。

何も二人が精霊使い様を殺したと思っている訳じゃない。

ただ、話を聞かせてもらいたい。」

そう言って二人だけではなくリンドカルドとレイヴンの二人にも座る様に促し五人で席に付くと雑談の様な形で二人に話しかけた。


――――二人は何でこの村に来たんだ?


――母が病気で、平癒のための巡礼をしていた際に教会でお告げを頂き来ました。


――――精霊様からお告げを頂けたのか!!

それは素晴らしい、お告げは滅多な事では頂けないと言うのに。


――はい、お告げを頂いた教会の司祭様も驚いていました。

これも偏に私たち兄妹の祈りが精霊様に届いたのだと思っています。


――――ほう、それはそれは。

それでお告げを頂いたのはどこの教会かな?

私もぜひその教会に参拝したいものだ。


――っあ、ラルクールという街にあるジェシス教会です。


――――ラルクールか、この任務を終えたらぜひ寄ってみよう。


――――ジュール隊長、話がそれております。


――――なんだレイヴン、少しくらいは良いだろう。


――――隊長


――――っう、分かった真面目にするからその塵を見る目で見るのは止めてくれ。


――――分かればよろしいのです。


くすくすくす


――――おい!

何も笑う事はないだろう。

特にリンドカルド、お前自分の上司を笑うとは何事だ!!


――――っく、もっ申し訳ありません隊長。


――――だあああ、リンドカルドお前この任務が終わったら訓練の量を倍にするからな!!


――――そんな殺生な!!


――――お二方!!

いい加減にして下さい!!


――――はい、申し訳ありませんでした。


――――えーと、ああそうだ二人は精霊使い様と会ったのは昨日が初めて間違いないんだな?


――はい、昨日村の集会所代わりの広場でお会いしたのが初めてです。

その後話をするために此処とは違う教会の一室に移って母の病状などをお・・・


――――そうか、今朝はなぜあんなに早くに教会に?

薬が出来るのは今日の昼頃の予定だったんだろ?


――教会で改めて精霊様に感謝の祈りを捧げ様と思って・・・


――――それで、あの光景を見付けてしまったという訳か・・・


――はい・・・


――――これで最後だの質問だが、この村に来る前にこの村について何が聞いたりはしなかったか?

どんなに小さなことでもいい。


――一昨日の夜にルルドさんから、妹が眠った後眠れずにいた私を気遣って色々と話して下さりました。


――――それでは君はこの村で何か起きているかある程度知っていたと思っていいのかな?


――はい・・・

あの、妹は本当に何も知らなくて悪いのは全部俺なんです!!


――兄さん・・・?


――――大丈夫、聞きたい事はこれで全部だから天幕に戻って休むといい。


――――あっ、なら俺が送っていきます。


――――リンドカルド


――――ふくたいちょぅ・・・?



チリンチリンと話を終えるとジュールはベルを鳴らして部下を呼びその部下にシンとラナ(リイナ)を天幕に送るように指示した。

「隊長、副隊長、態々人を呼ばなくても二人なら俺が天幕まで・・・」

送って行ったのにと続くはずだったリンドカルドの言葉は自分を止めた二人の表情を見て消え去った。

ジュールとレイヴン敬愛する二人の上司が今まで見た事も無い感情の抜け落ちた人形の様な表情をしていたのだ。

「あの二人、妹の方はまだ分かりませんが兄の方は間違いなさそうですね」

「ああ、そうだな。

だが、確定かどうかは関係ない。

今、この時にこの村にいた。

それで十分だ。」

感情のこもらない声で交わされる二人の会話、それを聞いてリンドカルドは嫌な予感がしてならなかった。

この先を聞いてはいけない。

しかし現実は無常だった。

「リンドカルド、今回お前を連れてきたのは経験を積ませるためもあるが、もう一つ理由がある。

この騎士団の本当の役目を教えるためだ」

騎士団の本当の役目、何故だろう。

今まで立派な騎士となるのを目標として鍛錬に励んできた。

念願かなって一人前の騎士と認められ、初めて任務に同行する事も許された。

なのに今、自分は知りたくないと、騎士団の本当の役目など知らずにいたいと切に願っている。


――冗談はよしてくださいよ隊長――


そう言いたいのに言葉が出ない。

ただ、ヒューヒューと空気が喉を通る音がやけに大きく聞こえてくる。

乾いた唇をなめて、湿らせた後何とか言葉をひねり出そうとしたが、それよりも早くにジュール隊長がその役目を告げた。

「この騎士団の役目は悪魔と関わりのあった人間たちの粛清だ。

悪魔と契約した者はもちろん契約者を介して悪魔の力に縋ろうとした者たちや同じ町や村に住まう者たちもその対象に入る」


今まで信じていたものが、ガラガラと音を立てて崩れていくのを感じた。

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