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呪われた精霊使いの探しもの  作者: ルンド


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第十四話 精霊使いの思惑

アルカ村にある小さな教会の一室。

おそらくは村人たちの相談に乗る為の部屋なのだろうその部屋は今あちこちに箱が置かれておりとても片付いているとは言えない状態だった。

精霊使いは苦笑しながら、この村に赴任してきたばかりで荷物を片付け終えていないのだと言った。

その為、村に訪れた客人を泊める事も出来ず、村人の相談もこの部屋ではなく一先ずはあの集会場代わりの広場で行っているのだと申し訳なさそうに告げる。


「落ち着かれましたか?」

シンの目の前にコトリと温めたミルクを入れたカップを置きながら精霊使いが訪ねる。

シンは自身の気持ちを落ち着かせるかの様に目の前に出されたカップに口をつけた。

「お見苦しいところをお見せいたしました。」

先程の醜態を思い出したのだろう、気恥ずかしそうに顔を少し俯かせながら言った。

そんなシンの隣には妹のラナがもう大丈夫かと伺う様に兄の服の袖を軽く握りしめていた。

おそらくは人見知りするのだろう。

先程の広場でも兄であるシンの後ろで、どうすればいいのか分からずにただ立ち竦んでいた。

今も兄の背に隠れる様にして精霊使いの様子を伺っている。

「そちらの妹さん、ラナさんと仰いましたね。

もしよろしければあなたもどうぞ」

そう言ってラナの前にもミルクを置く。

ラナは黙ったまま軽く頭を下げて感謝を示すと、恐る恐るといった風にカップに口を付ける。

「申し訳ありません。

妹は人見知りが激しくて・・・・・・」

シンが慌てて、妹の失礼な態度を謝罪する。

「ふふ、気にしておりませんよ。

聞けば幼くして父君を亡くされたとの事、さぞ苦労も多かったでしょう警戒心が強くなるのは致し方ない事。

それよりも、母君の容体をお聞かせ頂けますか?」

優し気な笑みを浮かべながら気にしていないと告げる精霊使いがふと先程まで浮かべていた笑みを消し、真剣な顔で母の容体を尋ねる。

そんな精霊使いにシンは安堵し、ラナはまだ僅かに警戒しながらも母の病状をなるべく詳しく話すのだった。



―――――――ああ、一時はどうなるかと思ったが、天は私に味方した様だ。

母の病状を話す二人の兄妹を見ながら偽りの精霊使いはほくそ笑む。

―――あのリイナとかいう娘が逃げたときは焦ったが、代わりにあの娘以上の極上の贄が自分からやって来るとはな。

目の前の兄妹、特に兄であるシンを見つめながら精霊使いは内心舌なめずりが止まらなかった。

そもそも彼がこんな辺境の田舎の村に来たのは精霊に好かれやすい体質のリイナを生け贄にと自身が契約した悪魔が望んだからだ。

なのについ出て捕らえた娘の両親を贄として捧げたはいいが、肝心の娘には逃げられ、せっかく捧げた両親の魂も精霊たちの妨害のせいで悪魔の口には入らずに終わってしまう結果となってしまい。

悪魔から得られる筈だった力を手にする事が出来なかったのだ。

忌々しい思いを抱えていた時に村にやってきたこの兄妹を見た悪魔が、この兄妹、特に兄の方を強く所望したのだ。

曰く妹の方は先日逃げられた娘と同じくらい上質な贄ではあるが、兄の方はそれとは比べ物にならないほどに極上の魂を持っていると。

その魂を贄として捧げるなら先日、所望した娘を捧げたときに与えるはずだった力の倍、いや十倍の力を授けるとまで言うのだ。

今度こそ逃すものか、慎重に慎重に罠に絡め取り、確実に贄として捧げるのだ。

その先にある自身の栄達を想像し、そしてそれが必ず来ると信じて疑わない精霊使いは気付かない自分が相手を罠に填めようと蜘蛛の巣を張り巡らしているように、相手もまた蜘蛛の巣を張り巡らしている事に―――――



紛い者の精霊使いとの騙しあい、最後に笑うのはシンか、精霊使いか、それとも悪魔か―――――

それはまだ誰にもわからない―――――

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