Episode7
心折れては立ち直り、泣き明かしては笑って――そんな日々を繰り返しながら、あっという間に一年が過ぎた。海外で過ごした貴重な一年は私の心に確実に根を張り、少しの自信へとつながる。
帰国と同時に一人暮らしを始め、就職し、海外旅行を趣味にして、まったりとした日常を送っていたある日。
アメリカ旅行以来連絡も取っていなかった諒太と、食事に行く機会が巡ってきた。
仕事終わりに都内のイルミネーションが綺麗に輝く街で、何年ぶりかに会った諒太は少しだけ太っていた。他愛のない会話をはじめ、美味しい料理とお酒を楽しみ、1時間が過ぎたころ……
「俺、結婚したんだよね。子どもも産まれたさ。それ、言ってなかったなと思って」
「あー、諒太の友達のケンくんからさらっと聞いたんだよね。本人から聞く前に教えてごめんって言われた」
「そっかそっか。知ってたなら良かった」
子供が可愛くて仕方がないと顔を綻ばせる諒太を見るのが切ない。私の気持ちを察してか、あまり奥さんの話を決してしなかった。
「てか、ワーホリどうだった?よく一人で頑張ったね」
「めっちゃ大変だったけど、すごく楽しかったよ。私も諒太みたいに、どうしても海外で仕事してみたかったんだ」
「俺はさ、会社の指示で行ってるから割とウェルカムな状態で働けたんだよ。凛は誰も知らないところで仕事も家も見つけて、俺なんかと全然違う。本当にすごいと思うよ」
憧れの人に、そう褒められることがどれだけ嬉しかったか。
少しだけ、諒太のようにエリートな世界で認められた気がした。
「アメリカで会った時、店員さんと諒太が何話してるかもわからなかったし、英語も読めなくて注文すらできなかった。それが悔しかったんだよね。今も英語は全然できないけど、生きて帰ってこれるくらいには成長できたと思う」
「いや、それがすごいよ。可愛いし賢いし、そりゃモテるわ」
「私、モテたことないけど」
そんな他愛のない会話が、ただただ楽しかった。
心の奥底まで、幸せがじんわりと染みていった




