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理想の世界で苦しむ私へ  作者: Miley
KENTO's story
11/13

Episode11


「俺、火曜日休みだから凛ちゃんの仕事終わりの時間に職場まで迎えに行くよ」


 私の仕事終わりに合わせて休日の打ち合わせを終えた健斗が職場の最寄り駅まで迎えに来てくれる。「これがルーティンになるといいね」と健斗は言うけど、私は「負担にはならない程度に会いたいよ」と答えた。


 とある日、仕事帰りに迎えに来てもらって道中寄ったお店で食事をしているとき


「そういえばさ、健くんも離婚を切り出されたって言ってたじゃん?何が原因だったの?」

「んー、それが恥ずかしながらわからないんだ。聞かなかったから。でももし原因を聞いてもそれを反省することはないだろうから、まぁ、知らなくてもいいかなって」

「ふーん」


 ちょっと黄色信号だなとうっすら思ってしまった。


 健斗の仕事は思ったより忙しいらしく、日に日に連絡の頻度は減っていった。火曜日の約束も、疲労から体調を崩しドタキャンされる日も続いた。気づけば、連絡は一日に一通戻ってくれば良いほう…というシフトに変わっていった。


 私の休みに健斗の地元まで行くこともあったが、土日こそ忙しい仕事ゆえ、夜間の打ち合わせが入れば突然会えなくなる日もある。


 仕事が忙しいのはいいことだ。私は、仕事に直向きな男性を求めている。それに諒太と同じで、有名大学を卒業し、大手企業に入社、新卒から変わらず同じ会社でキャリアを積んでいる男性。ずっと求めていた理想のステータス。


 だけど、その理想を求めるがゆえに、寂しい気持ちを我慢するのは本当にいいことなのだろうか。


 そして何より、健斗からの連絡。


「凛ちゃん本当にごめん、今日そっち行けそうにないや。起きたら熱があってこれから病院行ってきます。土曜日時間作れるかな?」

「申し訳ない、夜打ち合わせが入って会えなくなった。凄い会いたかったんだけど…。火曜日会いに行くね」


 外から見れば、謝罪もリスケの意思もあり、会えないときにしっかり連絡してくれる人に見えるだろう。


 しかし、こうも会えない日が続くと、私は思う。


 ――その数時間のために、私は数日前から準備しているのに。

 ――前日には服を決めて、当日は少し早起きしていつもよりメイクを頑張る。楽しみにしているのは私だけなのかな。


 そんな不満すら出てくるようになった。



 そう、健斗からの連絡には『私』という存在が見えないのだ。



 これまでの恋愛で、ここまで自分本位な連絡をする男性はいなかった。でも、こんな忙しい仕事の人と一緒にいたこともない。


 私は、何を信じて、どこまで我慢すればいいのかわからなくなっていた。


 本当に付き合っているのだろうか。健斗は遊びのつもりで一緒にいるのではないか――そんな不安が、徐々に私の気持ちにブレーキをかけ始めた。

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