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長らくお待たせしました。

 考え事をしながら歩いているうちに、渡り廊下を通りすぎていたらしい。

「…魔技室に行こうとしてまして?」

「自分のことなのに疑問系なの?」

 ニコニコと楽しそうなクオン。

 こいつ、私が図書館行こうとしてたの絶対気付いてる。その上ですっげー挑発してくんだけど。思わずそれに乗って、魔技室に行くことになったけど、何の用もないよ☆

「あ、アクライキ嬢に話があるんだけど…魔技室に行くんだよね?よかったら、その前に少し時間もらえないかな。立ち話も何だし、出来れば図書館でゆっくり話せればと思ってるんだけど。今日は他の生徒もいないしね。でも、魔技室によっぽど重要な用でもあるなら、断ってくれても構わないよ?」

 昨日の公の場での丁寧で紳士な態度が嘘のように、クオンは腹黒を全面に押し出している。それを隣で聞いているアコウに驚いている様子がないということは、親友はクオンの腹黒を承知しているらしい。

 無表情で、驚いてるかどうかもよく分からないけどねー。それより、こいつ、昨日初めてあったはずなのに、何でこんな絡んでくるんだろ?こんなに挑発しながら、何を話すつもりだよ、ほんと…。

「公爵子息方とお話とは、大変光栄です。是非とも、ご一緒させていただきます」

「え、なんでそんなに畏まってるの。気持ち悪いなぁ。アコウのことなら気にしなくて大丈夫だから、昨日みたいに口調悪く話してよ」

 笑顔を崩さず、クオンは滑らかに言い切った。

 お前は私に失礼すぎるわ!

「あーあーあー、そうですか。じゃあ遠慮なく口悪く喋ってやるわ。あとで文句言うなよ」

「言わないよ。じゃあ、図書館に行こうか。どうぞ、お嬢様?」

 クオンが渡り廊下への扉に近付き、開けてアキを促す。わざとらしいエスコートに、アキの顔が引きつる。

「どーも」

 アキはさっさと扉をくぐり、後から続いてきた二人と並んで、図書館を目指す。

 えーと、これは…。

「スメラギ様、何か…?」

 クオンとアキが話している時から、三人横並びに歩いている今もずっと、アコウがじーっとアキを見つめてきている。アコウはクオンより頭一つ分背が高いので、クオンを間に挟んでいても視線が遮られることはなかった。端整でクールな顔に無表情、無言で見つめられると、なかなかの圧を感じる。

「俺にも敬語はいらない。クオンと同じでいい」

 おいおい、まじか。公爵の中でも格上のスメラギの坊っちゃんにため口とか…。まぁでも、今さらか。

「そっちがそれでいいなら、そうする。で、そんなに見られると穴開きそうなんだけど」

「そうか、悪い。いろいろと珍しくてな」

 短く謝り、前に向き直ったアコウに、今度はアキが怪訝な目を向ける。

「は?珍しい?」

「あぁ、あんたみたいな女は初めてだ。本当に女なんだよな?」

「何の確認?そうに決まってるじゃん、女物の制服着てるの見えてるよね?」

 学院の女子の制服は足首まであるロングワンピースで、白と紺の二色から選べる。あまりにも原型と違ったり華美過ぎない限り、手を加えて形を変えてもいい。そして、制服であるワンピースを着ていれば、上着やスカーフなどの小物、装飾品などは基本的に自由である。男子の制服は白か黒のジャケットで、女子同様にそれさえ着ていれば、後は自由だ。

 アキは手を加えていない紺の長袖の制服を着ていた。小物や装飾品は一切付けていない。

「見えてる。だが、今まで会ってきた女達と全く反応が違うからな。大体煩く騒ぐか、御家自慢してくるか、 話しかけてきたのにずっと黙ってたりだからな」

 ま、そうだよねー。家柄いいしイケメンだし、やっぱりご令嬢方が群がってたか。内気な子なんて、声をかけるだけで精一杯なんだろうね。いいね、初々しい。おばちゃんはそんなこと無理。

 そんな人気者の二人の美少年は、白いシャツに黒いパンツ、黒の制服と同じ配色の格好である。ただ、アコウは黒いスラックスにショートブーツ、クオンは黒い半ズボンに白いハイソックス、革靴と下半分は大分違う。クオンの格好だと幼さが全面に出てきそうだが、穏やかな笑みに落ち着いた口調と態度で、子ども特有の危なっかしさを全く感じられず、幼さを半減している。しかし、中性的な面立ちのクオンにその格好はよく似合っていた。

 昨日の正装も半ズボンだったよね。白い膝小僧が眩しいゼ。

「あと、クオンが素を見せている女なんて、身内以外に初めてだからな。やっぱり話に聞いた例のおんぐっ」

「おんぐ?」

 意味不明の単語をおうむ返ししながら、アキがアコウに視線を向けると、そこに彼はいなかった。立ち止まり振り返ると、少し後ろでアコウが左脇腹を押さえて悶絶していた。

「ごめん、アコウ。肘が反射的に動いちゃって」

「容赦なさすぎだろ…っ」

「アクライキ嬢、そんなことよりアコウって意外にお喋りでしょ」

「あ、確かに」

 肘鉄という一撃を見舞った張本人なのに気にせず話すクオンも酷いが、そんなことってなんだよおい、と訴えているアコウを無視してクオンの話に応えるアキも酷い。

「感情が表情に出てこないのは元からなんだけど、無口なのは作ってるんだよね。良く言えば素直なんだろうけど、アコウは基本的に無神経というか、デリカシーがないというか。余計なこととか失礼なことばっかり言うんだよ。さっきも言われたでしょ。だから、アコウはスメラギ家から社交界の場での余計な発言禁止令が出てるんだ。そして僕は、そのフォローを頼まれてる」

「暴力振るった上に、悪口言ってるお前の方が失礼だろ」

「違うよ。肘が当たったのは事故で、悪口言ってるんじゃなくて事実、でしょ?」

 脇腹の痛みから復活したアコウの抗議を、クオンは笑顔でバッサリ切り捨てた。

「あーもう、じゃれてないで、さっさと図書館行くよ」

 止まっていた歩みを再開させて、アキは二人を促した。

「本当に、アコウはいつもじゃれてきて困るんだ」

「おい、そろそろ殴ってもいいよな」

「暴力はんたーい」

 賑やかに二人はアキの後に続く。リズム良く言葉を交わすクオンの楽しそうな笑顔は、アキを挑発していたときとは違って、年相応に無邪気なものだった。

 へー、クオンってこういう子供っぽいところもあるのか。だって、まだ12歳だしね、そうだよね。昨日もほんのちょこっとだけあったかな?ずっとこう、可愛いげがあればいいのに。なんで私には嫌味に皮肉のオンパレード。ま、それを流せない私も大人げないけどね!

 二人の美少年のじゃれあいは、図書館に着くまで続いた。



「で、話って何?」

 図書館の奥、読書や勉強が出来るように机と椅子がたくさん並べられたスペースの一角。長方形のローテーブルの周りを囲んだソファに、アコウとクオンは一緒に二人掛けに、アキはその向かいに一人で座っていた。

 腰を落ち着けてから早速のアキの催促に、クオンが苦笑する。

「そんなに急かさなくても、ちゃんと話すよ。だけどその前に、昨日は僕のポーン指名を受けてくれてありがとう」

「渋々だけど」

「正直だね。まぁ、受けてくれただけ嬉しいよ」

 周りには天井まである本棚が立ち並び、三人以外他に誰もいない図書館は厳かな雰囲気を纏っている。普通の音量で話しているはずの二人の声が、本棚の間を抜け遠く響き渡る。

「なぜ会ったばかりのアクライキ嬢にポーン指名したのか、不思議でしょ?」

「すっごい不思議」

「だよね。アクライキ嬢も知ってると思うけど、ポーン指名って庶民にも下位の貴族にも出世の大きなチャンスなんだよね。だから、大勢の人がポーン指名されようとアピールしてくる。大体、アディスは自分のポーンを決めると、翌年またアディスに選ばれた時も同じ人を指名することが多いんだ。ポーンの変更はすごく珍しい」

「いや、今からでも変更してくれて構わないよ」

「そんな予定は当分ないかな、安心した?」

「不安しかねーよ」

「それは大変だ」

 アキに口を挟まれ、嫌みを言い合いながら話を進めていく。

「一途な僕みたいに指名の変更はなかなかしないから、今の内に将来プレアディスにも選ばれるかもしれない有望株の一年ルークにポーン指名されたい、ってみんな思ってるんだよ。そして、一年ルークは最初の入学祝パーティーでは、まだポーン指名しない場合が多いし、今回は俺たち二人、周りはみんな、絶対ポーン指名はまだしないと思ってただろうね」

「周りの期待を裏切るなんてサイテーだぞー」

「応える必要のない期待を、全力で裏切ることほど楽しいことはないよね」

「サイテー以上だった…」

「期待を裏切り楽しく、僕はポーン指名をした。これからゆっくり僕にアピールすればいい、と思っていた人たちの思惑が崩れた。それに、さっきも言ったと思うけど、僕らご令嬢方に人気があるみたいだから。有り難くも迷惑でもあるけど。だから、僕らのポーンが女性だと、嫉妬の対象になりそうだろうね。そういう、周りからのやっかみを上手く捌ける人をこれからの学院生活の中で探そうとしてたんだ」

「それで、その計画を放棄してまで私?ふてぶてしそうってか?」

「簡単に言ってしまえば、そうとも言えるね」

「スメラギ様のこと失礼な奴とか言ってたけど、ハカライヤ様も人のこと言えないよね?」

「僕はわざとだからいいんだよ。アコウは無意識に言うから、質が悪いんだ」

 公の場で、無意識に失礼なこと言われたら確かに困るけどさ。今の場合、より失礼なのってどう考えてもクオンだよね?

 話に出てきたアコウは、ソファの肘掛けにもたれて豪快にあくびをしている。完全に傍観者の立場である。

「それに、アクライキ嬢を選んだのはそれだけが理由じゃないよ。僕らは入学祝パーティーの前に、ルークに選ばれるかもしれないって前もって少し知らされてたんだけど、その時にプレアディスの先輩方からポーンは慎重に選べよってすごい言われたから。アディスの威光を笠に着て、裏で好き勝手してたりとか。アディスの仕事の補佐のはずなのに、いつもミスばかりで逆に仕事増やされたり、仕事の邪魔されたりとか。昔いろいろとあったらしいよ?」

「明らかな人選ミスだね」

「その点、アクライキ嬢は安心だと思ってね。入試の女子の順位で、二位と大差を着けて一位になるくらい頭がいいみたいだし。僕の聞いた情報によると、男女合わせても十位以内に入るらしいよ?」

「そう。男女合わせたものの順位は貼り出されないから、知らなかったわ。勉強頑張った甲斐があるってもんよー」

 学院への入学条件は二つ。貴族の子女子息であることと、学費をきちんと納めること。それらさえクリアしていれば、誰でも入ることができる。入学試験は新入生の順位をつけるためで、合格不合格はない。そして、この順位でクラスが決まる。

 昔は、男女混合だと50位くらいまで男子が占めていた。それでは、学業の他に貴族間の交流や婚約相手探しも兼ねている学院の目的に沿わない。そこで、男女別の順位でクラス分けをすることになった。各10位以内の男女20名を零組とし、次の一組からは各11位から順位に従って分けていく。男女混合でクラスの人数が30~40名になるように調整して、年によってまちまちだが、大体4クラス出来る。つまり、零組はエリートクラス、四組は落ちこぼれクラスになる。

 そうして、男女混合のクラス分けをしているのだが、アキは男女混合の順位でさえ10位以内に入る。それは、ここ数十年の中で一番の快挙と言っていいくらい名誉なことなのだが、当の本人は全然興味を示さない。

「でも、試験の順位イコール仕事で使えるってのは、違うと思うけど」

「確かにそうだね。でも、一つの判断材料にはなると思うよ?ご兄姉がプレアディスで活躍してることも、ね」

「上と比べられても困る」

 アキは眉間に皺を寄せてみせるが、心の片隅では自慢の二人への誉め言葉に鼻高々である。

 まぁ、ハル兄とナツ姉ですから!

「あとは、実際に話してみての雰囲気とか、僕の勘とか?」

「勘かよ」

「そうやって、いろいろ考えて指名したアクライキ嬢が推薦するからどんな子かと思ったら、庶民の子だったからほんと、驚いたよ」

「それが話の本題か。回りくどいなー」

 おどけた拍子で返しながらも、クオンから目を逸らさないアキの目はいつになく鋭い。クオンはその視線を受け止め眉を下げて困ったように笑っているが、目は全く笑っていない。

 実は、庶民でも第一学年から学院に入る方法がある。

 それは、貴族から推薦されること。

 第四学年からの編入は、編入試験の結果が学院に入れるか否かを決める。これは身分を問わず、学費を免除されたりなどの優遇措置が付いてくるので、厳正なる審査にかけられるのも当然である。

 しかし、この推薦だと順位のための試験だけで済む。膨大な学費も、それぞれの貴族との取り決めで、条件と引き換えに払ってもらったり、肩代わりしてもらったり。

 ミュリもスミノフ侯爵家に推薦してもらい、アキと一緒に入学していた。

「侯爵令嬢のアクライキ嬢でも羨望や嫉妬からくる嫌がらせを受ける可能性があるのに、庶民のサーリャス嬢は尚更だよね。さっきは丁寧に説明したけど、そんなことされなくても最初から分かってたよね?ポーン指名の周囲の反応なんて」

「さて、どうでしょーね?」

「分かった上で、庶民の子を推した理由を聞きたくてね」

「多分そっちは、貴族から脅されたりでバカな事して、仕事増やされないかとか心配してるんでしょ。そんなこと絶対起きないよ」

 迷いもなくはっきりと言い切ったアキに、クオンは驚きに目を見開き、今まで暇そうにしていたアコウも興味深そうにアキを見る。

「根拠を聞いてもいい?」

「昨日、パーティーが終わってから、ミュリについて調べられるだけ調べたんでしょ、どうせ。なら、ミュリの家についてももう知ってるよね」

「知ってるよ、スミノフ家の御用達のサーリャス商会だよね。でも、商会としてはそんなに大きくないし、影響力はなさそうだったけど」

 クオンの言葉にアキはニヤリと笑った。

「まあ、一晩じゃそんなもんかー」

「…どういうことか聞いてもいい?」

「そこは自分で調べてくださいなー。まぁ、ハカライヤ様が思うほど、柔なところじゃないよ。それに、ミュリ自身も」

「彼女自身?」

「あいつは貴族から脅されたくらいで、ビビるようなか弱い女の子なんかじゃないから、ほんとに、全くもって。あの度胸は男と言っていい」

「へ、へぇ?」

 アキのあまりの力強い物言いに、応えたクオンだけでなく、黙って二人の話を聞いているアコウも少し態勢が引いている。

「従うふりして相手の情報ごっそり盗んでいくことくらい簡単にやるよ。その後、いろいろと情報操作して仕返しした上に、立場逆転させて自分の手駒にするような女の子は嘘でもか弱いなんて言っちゃダメだよね?」

「優秀なんだね…」

「そう、優秀。私なんかよりよっぽど使えると思うけど」

「嬉しいこと言ってくれるじゃん?」

 二人の会話に入ってきたのは、女子の声。その声に、アキの顔が引きつる。

 おいおい、まさかさっきの聞かれてた…?

 アキがゆっくりと振り返ると、本棚にもたれているミュリがいた。

「なんであんたがここに」

「昨日、いろいろと説明してほしかったのに、さっさと帰られて?アッキーなら、休みの今日、どうせ学院に来るんなら図書館に行くだろうと思って待ち伏せてたんだけど、公爵子息方と連れ立ってくるもんだから、隠れてたのよ」

 近づいてきたミュリは、アキの隣に座る。

「ポーン指名もそうだけど、他にも言いたいことが」

「な、何?」

 訊ねたアキに、ミュリは微笑んでみせる。

「誰が度胸が男並みって?例えそうだとしても、アッキーからは言われたくないかなー」

「痛い痛い!」

 アキの両頬を摘まみながら、笑顔で凄むミュリ。

「ほんとのことしか言ってな、いてててて!」

「お喋りなのはこの口かなー?」

 じゃれる二人を目の前に、急な乱入者に驚いていたクオンは我に返る。

「それぐらいにしてあげて。本当に痛そうだよ」

 クオンの呼び掛けに、ミュリは渋々手を離す。そして立ち上がり、改めて高貴な二人の少年に向き直る。

「お見苦しいところをお見せしました。昨日も申し上げましたが改めて、カミュリ・サーリャス・スミノフと申します」

 左手を胸に当て、優雅に礼をする。

 推薦入学をした庶民は、推薦した貴族の仮の養子という扱いになる。故に、学院に在学中に名乗るときは、推薦した貴族の家名を自らの家名の後に付けなければならない。

「よろしくお願い致しますわ」

 にっこりと艶やかに、ミュリは微笑んでみせた。

 すると、アコウも立ち上がりミュリに礼を返す。

「こちらこそよろしく頼む」

「という訳で、ミュリを推した理由、ご理解いただけた?」

「そうだね。それで、二人はいつまでそうしてるつもり?座れば?」

 立ったまま座ろうとしないアコウとミュリに、クオンが訝しげに問いかける。それを黙殺し、互いに挨拶をしていたはずの二人はクオンに向かって、いやクオンの背後に向かって最敬礼をしていた。

「そうか、じゃあ遠慮なく座らせてもらうなー」

 ミュリに続く二人目の乱入者は、勝手にクオンの言葉に答えて、上座の一人掛けのソファにドカッと座ると、その長い脚を組んでまた口を開く。

「公式の場じゃねーし、そんな畏まらなくてもいいぞ」

 最敬礼する二人への言葉を紡ぐ声に、記憶の中の声が合致する。

 直ぐ様アキは立ち上がり、ミュリと同じ方に身体を向け、最敬礼をする。同時に、クオンも同じ動作をしているのがアキの横目に見えた。

 礼をする前にちらりと見えたのは、艷めく銀と煌めく碧。

 なんで、ここにあんたがいるんだよ…っ!

「…なぜ、今この場所にあなたがおられるのでしょうか。…王太子殿下?」

 アキの心の声とクオンの言葉が重なる。

 クオンの言葉使いは至極丁寧だが、反対に言い方は限りなく雑というか、冷ややかである。

「え?なぜ、ってサボったからに決まってんじゃん」

 不機嫌を隠そうともしないクオンを気にした風もなく、ソファにもたれかかったカーライト・フィ・サテジェリネは、極自然にあっけらかんと答えた。

お読みいただき、ありがとうございます。

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